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結末を知っているのに、読むほどにドキドキする小説がある。
中島らも著の「人体模型の夜」。12話のお話で構成されている
ホラーオムニバスだ。
盗聴のために、引越しを続ける男性の話や、生命の尊さを
考えるあまり、ベジタリアンになった女子高生。読んでいるうちに
周りの空気がすっと薄くなるような気分になってくる。確か初めて
読んだのは、小学生の頃だったと記憶しているが、未だに
読むたびにドキドキするのだ。
わたしのお気に入りは、「はなびえ」というお話。主人公は、
異常なまでに鼻が利くＯＬ。鼻が利きすぎるゆえに、ベジタリアンに
なることを、余儀なくされていた。そんな彼女が、昔の恋人に頼んで、
引越しをしたことから物語は始まる。
まるで都市伝説でありそうな、どこか薄気味悪く、でもリアルな
お話は、読むものをとりこにさせること間違いない。
その奇抜なキャラクターに目がいきがちな、中島らもだが、
彼の小説は本当に面白く、読むものを飽きさせない。ぜひ一度、
読んでもらいたい作家なのだ。
タイトルを見ただけで、これは面白いに違いない！と確信する
映画がある。松山ケンイチ・永作博美主演の「人のセックスを笑うな」
である。
インパクトのあるタイトルとは裏腹に、内容は淡く切ない
恋愛模様を描いたストーリー。
美大に通う、みるめ（松山ケンイチ）が非常勤講師のユリ（永作博美）に
恋をすることから、物語は始まる。しかし、ユリは人妻。いわゆる不倫の
関係になりながらも、ユリに対する思いを抑えきれないみるめ。
連絡を取りたいのに、取ってはいけないというジレンマから、みるめは
携帯電話を針金でぐるぐると縛るシーンは、あまりの切なさに、胸が
つまりそうになる。
原作では出てこなかった、えんちゃん（蒼井優）の演技もすばらしい。
みるめのことが、すきなえんちゃん。ユリにはまっていくみるめを、
ただ見ていることしかできずに、思い悩む日々。
「人はみーんな寂しいんだよ。だから寂しいって言っちゃだめなんだよ」
と独り言のようにつぶやくシーンは、秀逸だ。
観たあと、絶対に好きな人に会いたくなる映画なのだ。
つい先日、友人がインコを飼いはじめた。
それを聞いたときは、なぜインコ？？と疑問に思った。
わたしは、動物はスキだけれど、鳥類はどうも好きになれない。
別段かわいいとも思わないし、飼ってみたいとも思わない。
しかし、友人のインコを見せてもらって、その考えが
大きく変わった。
友人のインコは、大きさはある程度大きいのだが、まだ子供らしく、
自分で餌を食べることができない。だから、親鳥代わりになって、
餌を与えないといけないのだが、その餌を食べる様が、本当に
かわいいのだ。
さらには、手乗りになるようにしつけているので、指を差し出すと、
その指の上に乗ってくる。丸い小さな目で、小首をかしげながら
こちらを見る姿に、わたしはすっかりとりこになってしまった。
今すぐにでも、インコを飼いたいのだが、我が家には猫がいる。
狩もしないようなおとなしい猫なのだが、インコを見たとたん、
襲い掛かってしまうかもしれない。
しばらくは、友人のインコを愛でることにしようと思う。
読んでいて、背筋がぞくりとする漫画がある。羽海野チカ著の
「3月のライオン」。「はちみつとクローバー」で、一世を風靡した
彼女の新作である。
主人公は、中学生でプロ棋士になった桐山零。17歳。幼いころに、両親と
妹を交通事故で亡くした。元々人とコミュニケーションを図るのが
下手で、家族を亡くしてからは、将棋を通じてしか、人とコミュニケーションを
図ることができなくなっていた。
家族を亡くしてから、父親の友人である棋士に内弟子として育てられたが、
その幸田家でも、上手く家族とコミュニケーションが図れず、中学を卒業してから
1人暮らしをしている。
そんな彼が、ひょんなことから、川本一家と知り合いになり、次第に
人の温かさに触れ、成長していく姿を描いたストーリー。
圧巻なのは、その心理描写である。各登場人物の心理が、ずしりと
響いてくる。それぞれの思いや背景を背負った人々の気持ちが、
ダイレクトに伝わってきて、読んでいて、背筋がぞくりとするのだ。
まだ連載中のこの作品。少女漫画の世界とはまた違う、羽海野ワールドを
楽しんで欲しいと思う。
皮肉にも、放送終了後人気がでるドラマがある。
「セクシーボイスアンドロボ」も、そんなドラマのひとつだ。
主人公は、七色の声を操るニコ（大後寿々花）と、ロボットオタクの
ロボ（松山ケンイチ）。この2人が事件を解決していく、
1話完結型のドラマだ。探偵モノというよりは、どちらかといえば
ヒューマンストーリー。
個人的にお気に入りなのは、「プッチーニ」と呼ばれる看護士集団の
話である。
プッチーニは看護士3人が、ひっそりと死にゆく人の願いを叶えるために、
集まった集団。依頼があれば、人殺しもいとわない。
そのプッチーニのメンバーである小林さとみに、ロボが恋をしてしまう。
ロボの部屋に、彼女の髪留めが１つ残されていた。それが夕日に照らされ
輝いている様子を、ロボが見つめながら、
「なんで夕日の中にいるのと、好きな人の横にいる時間はにているんだろう」
とつぶやくシーンは、何度見ても胸がきゅんとする。
ドラマ全体に流れる、独特の間と空気。よく考えると辻褄のあわない話。
そんなものも全部ひっくるめて、このドラマの魅力なのだろう。
放送当時は、視聴率の低迷にあえいだドラマだったが、ＤＶＤＢＯＸは、
かなり売れたそうだ。
本当に面白いドラマというのは、そのようなものなのかもしれない。
