こんにちは、もったいない本舗です。
突然ですが、異世界モノが好きです。
それも、ほんの少しだけ、片足だけ別の世界に足を踏み入れているような感覚の。
先日、また面白い本に出会えたのでご紹介します。
恒川光太郎さんの『無貌の神』という作品です。
恒川さんはデビュー作『夜市』からずっと追いかけている作家さんですが、
現実のすぐ隣に異世界への扉が開いているような、独特の作風が特徴で、
知らず知らずのうちに、現実と異世界の境目がぼんやりと曖昧になる感覚がクセになります。
今作は、ブラックファンタジーと言うべきか、ホラーSFと言うべきか…
恒川ワールド全開、様々なジャンルの作品が詰め込まれた珠玉の短編集です。
表題作『無貌の神』は、『夜市』に近い雰囲気で圧巻の面白さ!
赤い橋を渡った向こうにある、閉鎖的な村のおかしな因習。
輝きを放つ、不気味なのっぺらぼうの神(ここは突っ込まない)の恩恵を受けながらも、
途端に手のひらを返す村人達の残酷さ、不条理さが何とも言い難いです。
無心で神を喰らう様子がなんともおぞましいのですが、
それでも恒川さんのストーリーテラーっぷりが炸裂、ついつい引き込まれます。
『死神と旅する女』も秀逸です。
大正時代、学校帰りに謎の男にさらわれた12歳の少女フジが主人公。
百舌間(もずま)という刀で77人の標的を暗殺するまでは、元の世界に帰れないというのです。
中盤までは、どこの方向へ向かっていくのか全く予測もできなかったのですが、
最後に一本の線として繋がった時には、思わず膝を打ちました!
そしてラストに『カイムルとラートリー』を持ってくるあたりが心憎いです(笑)
人間の言葉を話すことができる獣と、彼をプレゼントされた千里眼の皇女のお話。
獣のカイムルが話す言葉が、全て”ひらがな”なのが可愛すぎます。
大人のための、ほんのり切ないおとぎ話のようで、
でも最後にふっと爽やかな風が吹き抜けていくような、清々しい感覚でした。
不気味で、空恐ろしく、でもどこか優しい『無貌の神』。
これが初恒川作品という方にも、是非オススメしたい一冊です!!
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【執筆担当者】
ナナミ(ハイボール女子)
ハイボールをこよなく愛するアラサー。
小説、コミックが日々の活力で、好きな作家はとことん追いかける。
愛読書は北方謙三の『三国志』と、栗本薫の『グイン・サーガ』。
ミステリ、ファンタジー、SF、ホラー、古典まで幅広く読む。
好きなゲームが発売されると、徹夜でハイボールを飲みながらプレイする。
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