好きな作家の一人に、東野圭吾をあげる人も多いだろう。私もその一人である。
彼の作品は、どこまで読んでも先が見えてこない。ラスト20ページほどで、大きなどんでん返しにあうこともある。一度読み出すと眠れなくなる、そんな作品ばかりだ。
そんな彼の作品の中で、一番印象深いのが「赤い指」である。デビューから数えて60冊目となるこの作品は、人間の重く冷たい部分をリアルに描き出した作品である。
崩壊寸前の家庭で、中学生の息子が幼女を殺してしまったことから始まる、魔の2日間を描いたストーリー。読み勧めるほどに、このダメ息子に腹が立つし、それをきちんと律することのできない両親にもイライラしてくる。でも、よくよく考えてみると自分の家庭もいつこうなってしまうか分からないな、と思えてくる。ありふれた家庭で起こった凄惨な事件。
ラストの大どんでん返しは、読んでいて思わず声がでそうになるほどだった。
眠れなくなるかもしれないという覚悟を決めてから、読むのをオススメする1冊だ。