別に「鉄子」というわけではないけれど、鉄道に
興味がある。列車そのものもいいのだけれど、駅独特の
雰囲気や、風景がすきなのかもしれない。
レトロな列車の絵柄にひかれて、池田邦彦著の「カレチ」を
読んだ。舞台は昭和40年代後半の大阪。当時存在した、「カレチ」
と呼ばれる、乗客を専門に担当する人々を中心に、鉄道に
携わる人々を描いている。
主人公は、新米カレチの荻野。乗客に一生懸命になりすぎる荻野は、
さまざまなトラブルや出来事を通して、カレチとして成長していく。
淡々とした絵柄と、ストーリー。ぐっと盛り上がったり、笑ったり
することはないけれど、読んだ後、ほのぼのと心が温まる。鉄道で
旅をするときに感じる、郷愁や哀愁がぎゅっと詰まった作品だ。
主人公荻野の、若さゆえのまっすぐさも、読んでいて好感を持ったり、
若いなぁと苦笑したりする。
読んだ後、特に鉄道ファンでない人でも、鉄道に興味を持つこと
間違いなしの作品だと思う。