薬剤師のリアルな業務内容を描いた漫画がある。
新井葉月著の「薬屋りかちゃん」。作者は、漫画家であり
現役の薬剤師でもある。
物語は、子ども嫌いだけれど、小児科門前処方箋薬局勤務の薬剤師の
塩乃樹りか。仕事を通して、薬剤師として、人として成長していく
りかの姿を描いた物語。
話はいたってシンプル。薬や薬剤師の仕事について知ることができる。
ただ、絵が少し気になる。一昔前の少女漫画のような絵柄で、時に
主人公のりかが、誰か分からなくなるときがある。
それに加え、りかのキャラクターが話しによって、変わっている
気がする。子ども嫌いという設定も、途中から取ってつけたように
出てくるし、同僚との関係性も話毎に違う気がする。
それでも、普段表舞台に出ることのない、薬剤師という仕事を
のぞけるこの作品。普段、ほとんど病院にかかることがないので
知らなかった薬局の仕組みや、お薬手帳の意味などを知ることができた。
薬について知りたい人や、薬剤師という仕事に興味のある人は、
読んでみるといいかもしれない。

ツイート

「毎日かあさん」や「おんなのこ物語」でおなじみの、
西原恵理子著の「毎週かあさん」を読んだ。
まず、この本に付けられている帯に驚いた。
「注　パチもん!! 毎日かあさんにあらず」自分の作品を、
よくここまで言えたものである。
内容としては、携帯サイト「コミック小学館」で、週刊1コマ漫画
として連載されている、カット集。毎日かあさんと同じく、こちらでも
西原ワールドが全開なのだ。
本人曰く、黒さ全開で書かれているこの作品。確かに表現が
きつかったり、かなりブラックな笑いだったりするのだが、的は
得ているし、とても人間臭くて好感が持てる。
無邪気に見えて、抜け目のない子どもの姿や、ちょっと笑えない情勢まで、
西原節全開で描かれているのだ。
元々、ファンだからかもしれないが、きれいごとばかりでない
人生を、すっぱりあっさりと描かれているこの作品は、かなり好きだ。
読んでいて、すっきり爽快な気分になれるこの作品。西原ファンでない
人にも、ぜひ読んでみたい作品なのだ。

ツイート

今まで知ることのなかった世界をのぞけることも、漫画の
魅力のひとつである。今回紹介したいのは、佐藤智美著の「ムショ医」。
舞台は、女性囚人向けの刑務所。主人公はそこで勤務する
ことになった粂川晶。
晶は大学病院に勤務する医師。人の生死に直面するのが辛くなり、
故郷に近い刑務所の非常勤医師となる。囚人の健康管理だけが
仕事だろうと考えていた晶は、赴任初日から囚人同士の喧嘩による
傷害事件という、トラブルに見舞われる。
刑務所という、知られざる世界の、さらに知られることのない医師の話。
普通の医者と違い、患者の人生に目を向け、病気だけでなくトータルで
治療しようと励む晶。しかし、まだ若い彼女には迷いが多く、
刑務官と衝突することもしばしば。
それに、一概に判断しかねることばかりが起きる現場で、本当に
大切なものはなにかを、切々と訴えてくる作品だ。特に、2巻で囚人の
出産に関する話が取り上げられているのだが、生と死について、とても
考えさせられる。
刑務所という閉ざされた空間で、いろいろな人生模様が浮かび上がる
この作品。今後の展開が楽しみな作品だ。

ツイート

医療を題材にした漫画は数多くあり、そのどれもが
わりと重たく、シリアスなものが多いように感じる。
そんな中、わりと軽いタッチで描かれているのが、
なかお白亜著の「麻酔科医　ハナ」。タッチは軽いけれど、
内容はいたってシリアスだ。
医師不足問題の中でも、もっとも深刻といわれている
麻酔科医にスポットを当てたこの作品。正直、この漫画を
読むまで、麻酔科医という存在を認識していなかった。
主人公の華岡ハナコは、大学病院に勤務する麻酔科医。
セクハラやハードな勤務、何より他の医師からもさげすまれ、
患者から感謝の言葉をかけられることのない麻酔科医に
嫌気がさしている。しかし、手術に絶対必要な麻酔科医の
仕事を辞めることはできなくて・・・
コミカルなタッチと、かわいらしい絵柄で、すいすいと
読めるこの作品。しかし、内容はすさまじくシリアスで、リアル。
麻酔科医という仕事について、いろいろ考えさせられる作品だ。
1巻の帯にある「年収３５００万円でもやりたくない仕事＝麻酔科医」という
キャッチコピーも、あながち言い過ぎではない、麻酔科医の仕事。
もっと、真剣に考えなければならない問題なのかもしれない。

ツイート