生け花の世界は、少しあこがれてはいるものの、
あまりの敷居の高さに、いつもしり込みしていた。
そんなとき、埜納 タオ 著の「百花日和」を読んだ。
舞台は、専門学校のいけばな芸術コース。
いけばな芸術コースは2年間で、クラスは15人と少数。
いけばなを中心に勉強し、将来は花にまつわる仕事につく
ことを、夢見ている生徒が多い。
そんないけばな芸術コースの1年生、南を主人公として、
物語は進んでいく。
南は、花が大好きな女の子。個性豊かなクラスメイトに
かこまれて、「花を生ける」ことを学んでいる。
中には、いけばなを好きになれない子や、夜の世界に
足を踏み入れて、学校にこなくなる子もいる中、南はいけばな
の楽しさについて、一生懸命伝えていく。
お話も丁寧でおもしろく、絵柄も雰囲気があって、とても
読みやすい作品。
話の中心に生け花が常にあるけれど、それだけにとどまって
いないところも、おもしろい。
花に興味のある人、自分の進路に迷っている人には、ぜひ
読んでほしい作品だった。