「変-鈴木君と佐藤君」で人気を集めた、奥浩哉著の「め~てるの気持ち」を読んだ。
15年間引きこもりだった主人公が、義母の助けによって、社会復帰する物語。
慎太郎は、ひきこもり暦15年の30歳。
母親と死別した父親に、「彼女ができたら、外にでてきてやる」と無謀な条件を突きつけた。
さえない中年男の父。まさか彼女なんていないだろう、と思っていたら、なんとも
かわいらしい彼女、はるかと結婚してしまう。
結婚してすぐに、父は病気で急逝。
残された慎太郎をどうにかしようと、はるかは奮闘する。
一見して、重たいテーマを取り扱っているようだが、中身は浅い。
15年も引きこもりだった人間を、素人のはるかが救えるとも思えないし、
ようは、性行為のシーンを描きたかったのだな、としか思えない。
もっと、慎太郎とはるかの交流を、じっくりと描くことができれば、
まだ深い作品になったのではないかと思うし、慎太郎が社会復帰するまでの姿も
もう少し丁寧に描いてほしかった。
テーマとしては、面白い作品だっただけに、すこし残念な気持ちになる作品だった。