- 2024/07/01
【短編小説】スキマ時間で読める!中高生にもおすすめの作品29選
古本店『もったいない本舗』のスタッフが厳選した短編小説29選!忙しくてなかなか読書時間を確保できない、読書の途中で飽きてしまうという方にぴったりの短編小説をご紹介します!朝読書や休み時間、通学時間などでサクッと読めるので、中学生・高校生の方にもおすすめです。
短編小説ってどんな小説?その魅力とは?
短編小説とは名前の通り、長編や中編の小説に対して短い小説のことを指します。その定義について諸説ありますが、よく言われるのが原稿用紙換算で10~80枚程度。...といってもよくわからないですよね。換算してみると文庫本では1作品6〜55ページ程度、個人差はありますが8分〜1時間ほどで読み終わるそうです。そう聞くとチャレンジしやすいですね!
短編小説の魅力は、なんといっても短い時間で多くの作品を味わえること!例えば、今回の選書にも含まれている"アンソロジー"という複数の作家の作品が一つの短編集になった本は、一冊でさまざまな作家の作品を楽しめるため、飽きずに読み切ることができます。同じ一冊でも、色々な作品を読めるってなんだかおトクな気分になりますね!
今回は50ページ程度の長めの短編から、掌編小説やショートショートの短い作品まで、ジャンル別のランキングでご紹介しているので、ぜひ自分に合った本を探してみてください!
【定番】迷ったらこれを読め!幅広い読者に愛される短編集7選
短編小説の魅力はわかったけれど、何を読めば良いのか迷ってしまう...。そんなあなたに、数ある短編集の中でも特に人気のある作品7冊をランキング形式でご紹介します!これを選べば間違いなし!圧倒的な人気に裏付けられた面白さのある作品ばかりです。
1位 短編工場(著者:桜庭一樹、道尾秀介、ほか)
短編工場
| 作者 | 集英社文庫編集部(編),桜庭一樹 ,道尾秀介,宮部みゆき,村山由佳,浅田次郎,伊坂幸太郎,石田衣良,荻原浩,奥田英朗 ,乙一,熊谷達也,桜木 紫乃 |
| 出版社 | 集英社 |
| 出版年月 | 2012年10月 |
数多あるアンソロジーの中でも特に人気が高いのが、こちらの『短編工場』です。2000年代の「小説すばる」に掲載された短編作品の中から、集英社文庫の編集部が厳選した12作品が収録されている質の高いノンジャンルの短編集です。まだ好きな作家が見つかっていない方や、本をこれから色々読んでみたいという方におすすめの一冊。
なんといっても、超人気作家が一冊に凝縮されているのが一番の魅力。それぞれ独立した短編で、5ページの作品から、50ページを超えるものまであるので、自分が読める時間の作品をチョイスすることができます。私は奥田英朗さんの『ここが青山』がおすすめで、会社の倒産という重い内容を人物の魅力的な会話でコミカルに明るく展開されているところが素敵でした。
2位 箱庭図書館(著者:乙一)
こちらは一般公募されたボツ原稿の中から、著者が選びリライトして完成した作品を収めた短編集です。一般の方と一緒に小説を作り上げるのは珍しいですよね!いつもの乙一さんとは違った雰囲気ですが、乙一さんらしくまとめあげた作品が読者を楽しませてくれる一冊です。
こちらの作品群は募集されたものですが、すべて「物語を紡ぐ町、文善寺町」という舞台をメインにして描かれています。日常的な風景の町で自分の周りに起こるちょっと不思議な物語。こうしてファンと一緒に物語を完成させたり、『小説のつくり方』という題の作品を入れていたり、読者でもあり書き手でもあるファンのことを思っているのがひしひしと伝わります。作家の卵がこの中から生まれるかも!?
3位 アイネクライネナハトムジーク(著者:伊坂幸太郎)
『重力ピエロ』『逆ソクラテス』などの代表作を持つ大人気ミステリー作家・伊坂幸太郎さんによる短編集。それぞれ物語自体は違いますが、互いに関係する6つの作品が収録されています。
この本のテーマは「出会い」。作中に出てきた人たちがさまざまな形で出会い、繋がりを持ってこの短編集が紡がれています。読み進めると別の作品の人物が出てきて、それぞれ違う視点で登場人物が物語られていく面白さがあります。実は表題作『アイネクライネ』はシンガーソングライターの斉藤和義さんに依頼されて書いた小説なんだとか。斉藤和義さんの『ベリーベリーストロング〜アイネクライネ』という曲の作詞には、伊坂さんの名前が添えられており、音楽を聞きながら読んでみるのも良いかもしれませんね。
4位 ボッコちゃん(著者:星新一)
星新一さんはショートショートの神様という異名を持つ短編界のレジェンド的存在。生涯で1000編という信じがたい数の作品を生み出してきました。今回紹介する『ボッコちゃん』はその中でも傑作短編小説集と言われる一冊でショートショートが50編収録されています。一つひとつが短いので、3〜5分ほどで読み終えるショートコントのような作品群です。
星新一さんといえば、社会の実情をユーモアたっぷりに描いてくれるところが特徴で、今回の表題作『ボッコちゃん』では、人間と見間違うほど精巧に作られた美女ロボット・ボッコちゃんと人間との関係を描いています。こちらは60年以上前に書かれたそうですが、どの作品も色褪せず、私たちに時代を超えて深いメッセージを与えてくれます。
5位 光の帝国 常野物語(著者:恩田陸)
数々の文学賞歴を持つ実力派作家・恩田陸さんによるシリーズ一作目の連作短編集です。常野(とこの)という地域で育った特殊能力を持つ一族にまつわるさまざまな物語が綴られています。〈常野物語シリーズ〉は他に『蒲公英草紙』『エンドゲーム』があるので、ぜひそちらもチェックです!
表題作『光の帝国』は、常野の人々の疎開先でもある東北の小さな学校で、先生や生徒が平和に暮らしていたところに、ある日軍が来て実験の手伝いをしてほしいと連れ去ろうとします。無惨な戦いと悲しい結末が涙を拭わずにはいられない作品です。短編全体を通して、学園、恋愛、戦いなど、さまざまなジャンルで描かれており、その幅広さからは著者の力量の高さが感じられます。また、作中人物が作品を超えて登場したり、読むにつれて常野の一族とは何なのか、その暮らしの中にある苦しみなどを知っていくファンタジーミステリーで、最後までワクワクが止まりません!
6位 シャイロックの子供たち(著者:池井戸潤)
著作には〈半沢直樹シリーズ〉や『下町ロケット』などがある、お茶の間の人気作家・池井戸潤さんです。理不尽な立場から逆転する痛快ストーリーで、多くの人を感動の渦に巻き込んできました。そんな著者が執筆したこの『シャイロックの子供たち』は池井戸作品の例に漏れず、銀行で起こったある事件を中心とした連作が10編収録されています。阿部サダヲさんが主演で映画化されているので、作品自体は知っている人も多いのではないでしょうか?
こちらは銀行で起こった100万円紛失事件を中心に、銀行の闇や人々の生き様が描かれている短編集です。短編は同じ出来事をそれぞれの銀行員の視点から綴られたもので、ミステリーとして面白いのはもちろん、それぞれ立場が違う銀行員がどう決断していくかが、みどころです。
7位 鉄道員(著者:浅田次郎)
人情味あふれる笑いあり涙ありの物語が特徴の浅田次郎さん。今回は表題作をはじめ、ドラマチックで人の優しさが涙を誘う8編の短編が収録されています。表題作『鉄道員』は第117回直木賞を受賞しました。
表題作の舞台は北海道の田舎駅。妻子を失い、その影を重ねて幾度も涙しそうになりながら、鉄道員として涙を堪え仕事を全うした駅長・乙松が最期に奇跡の出会いを果たした物語です。乙松の妻子への思いが綴られ、切ないながら愛を感じる感動の一作です。また、作中で登場する北海道弁の語調が、ほっこりと温かさを演出しています。
【ミステリー】作者の腕の見せ所!衝撃の結末に息を呑む6選
ミステリーって面白いけれど、長編では登場人物が多かったり、話の構造が複雑になりがちでついていけない...という人もいるはず。しかし朗報です!実はミステリー短編小説集も数多く出版されています。なんだか難しそうで敬遠していた方も、伏線たっぷりのミステリーに魅了されること間違いなし!
1位 儚い羊たちの祝宴(著者:米澤穂信)
著者は〈古典部シリーズ〉の『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し2001年にデビューした、若い世代に支持されるミステリー作家。本作はお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」に関わる人々の周りで次々と起きる殺人事件を描いた連作短編集です。真実が語られる場面では、人の怖さが際立つホラー要素ありのミステリー作品となっています。
すべての物語がそれぞれのお屋敷で起こっているので、人物の設定は違うものの、小説全体で雰囲気が統一されていて、だんだんとその世界観に没入していくような感覚があります。また、どの作品も最後の種明かしは強く衝撃が残ります。短編ですがしっかりミステリーなので満足感抜群の短編集です。
2位 素敵な日本人(著者:東野圭吾)
名作を挙げるとキリがないほど数々の作品を発表し、昨年には国内累計発行部数が一億部を超えた超人気ミステリー作家・東野圭吾さんの短編集です。長編作品が有名ですが、短編集も出版されています。今回は、光文社から発行されている推理小説雑誌『宝石』で発表された作品を中心として9編収録しています。
こちらは、殺人事件を解く王道ミステリーから、家族や友人の意外な秘密を知る日常ミステリー、SFやファンタジー要素のあるミステリーなど、一人の作家が書いたとは思えないほどさまざまなジャンルのミステリー作品が集結し、読み応えのある一冊になっています。町長が下着姿で神社で倒れているというシュールな作品『正月の決意』から始まり、数珠が伝えてくれる子を思う父の感動物語『水晶の数珠』に終わる、素敵な短編集です。
3位 私の頭が正常であったなら(著者:山白朝子)
先ほど『箱庭図書館』でご紹介した乙一さんの別名義・山白朝子として執筆されたこちらの作品は、懐かしさや喪失を感じる美しい世界観の短編集です。ホラー、ミステリー、ファンタジーそれぞれの要素を持ちながら、家族や子どもを題材にした作品が多く心温まるような物語です。
首を失った鶏と遊ぶ子に、子を失った親。子どもや赤ちゃんが登場する作品が多く、その純粋無垢な存在がさらにホラーの怖さを倍増させています。喪失による切ない物語に胸をきゅっと締め付けられたり、ときにはほっこりしたり。そんな心揺さぶられる短編集です。
4位 二重の罪(著者:アガサ・クリスティ)
普段本を読まない人も、一度は著者の名前を聞いたことがあるはず。著書『そして誰もいなくなった』は累計発行部数が1億部を超え、世界的に有名なミステリー作品の一つです。こちらはそんな著者の作品の中から厳選された5編が収録されています。
表題作『二重の罪』ではアガサの作品お馴染みの名探偵・エルキュール・ポワロが登場し、バスの中で盗まれた精密画の謎を解き明かします。推理をはじめると浮かび上がる一人の容疑者。しかし、真犯人は別にいる。ユーモアあふれる登場人物が鋭い人間観察力でマジックのように事件を解決する、鮮やかな一冊です。
5位 一日だけの殺し屋(著者:赤川次郎)
名著には『三毛猫ホームズ』シリーズ、『セーラー服と機関銃』があり、ユーモアあふれる面白ミステリーが持ち味の作家さんです。本作ではそんな笑いありのミステリー作品を短編8編を収録しています。
表題作は、不幸にも殺し屋と良く似た格好をしたサラリーマンの市野が、殺し屋に間違えられ依頼を受ける、というお話。一方殺し屋もそれに気づくも、何も言わず市野として生活する。市野はバレずに任務を遂行することができるのか!ツッコミどころ満載の異色のミステリーです。
6位 小説の惑星 ノーザンブルーベリー篇(編集:伊坂幸太郎)
こちらは作家・伊坂幸太郎さんが本当に面白いと思う作品を厳選したアンソロジーで、本人曰く「小説を見限るのはこれを読んでからにして」というほど。伊坂さんが言うなら...と期待感が高まりますよね。もちろんその期待も裏切らず、隠れた名作が10作品収録されています。
どの作品も傑作揃いですが、おすすめは谷川俊太郎さんの『コカコーラ・レッスン』。詩人としてのイメージが強かったので、まさかこんなところで出会えるとは。井伏鱒二さんや芥川龍之介さんなど少し前の作品もあり、かなり掘り出し物の作品揃いで、ミステリーや純文学好きにおすすめの一冊です。
【恋愛】色とりどりの胸キュンを一冊で!心打たれるおすすめ作品5選
世代を超えて人気の絶えない恋愛小説。恋愛小説短編集の魅力はなんといっても、多種多様な恋愛の形が一冊にたっぷり詰め込まれていることです。あなたの今の気持ちに重なる、素敵な作品が見つかるかもしれません。
1位 クジラの彼(著者:有川浩)
著者は『阪急電車』や〈図書館戦争シリーズ〉、『旅猫リポート』などの名作を生み出す恋愛小説の名手!本書には自衛隊員との恋愛を描いた6つの短編が収録されています。
こちらはとにかくキュンキュンしたい方におすすめ!自衛隊という特殊な職業の男性と恋愛をすることの辛さと、それをかき消すほどの甘さを感じるリアルな恋愛を描いた作品です。表題作『クジラの彼』はクジラのように潜水艦で潜る海上自衛隊との切なく甘い恋愛を描いた一作。遠距離恋愛など、同じ境遇でいる人たちから共感の嵐!涙必至の作品です。
2位 デッドエンドの思い出(著者:よしもとばなな)
よしもとばななさんは書籍ではもちろん、noteなどのSNSでもエッセイや日常の出来事などを発信されています。著者はさらさらと流れるように読みやすく優しい文章ながらも、心の深くに刻まれるお守りのような言葉ばかり。今回の一冊では幸せと切なさが混じり合う恋愛短編を5編収録しています。
この本は私小説のような作品群だと著者も仰っており、細やかに描写された感情表現が切ない気持ちにさせてくれる、しかしどこか温もりを感じるような作品集となっています。表題作は婚約者に裏切られた主人公の女性が、ある男性と出会い、だんだんと元気を取り戻していく物語。ラストにある二人でいちょう並木を歩くシーンは、想像するだけで温かく幸せな気持ちになります。
3位 号泣する準備はできていた(著者:江國香織)
著者は海外絵本の翻訳や児童短編の執筆など幅広く執筆活動をしており、第130回直木賞受賞したこちらの短編集は、生活の中に隠れている哀愁漂う女性視点の恋愛が描かれた12の短編が収録されています。
江國香織さんは、わたしたちの日常に潜むなんとも言い難い感情をうまく表現してくれる作家さんで、今回の表題作『号泣する準備はできていた』というタイトルもその一つです。全体として、どこか悲しみをまとった作品群で、静かに胸の深くを突き刺す大人な短編集。一方で『じゃこじゃこのビスケット』や『こまつま』など著者の造語がかわいらしさを生み出しています。
4位 しょうがの味は熱い(著者:綿矢りさ)
歴代最年少の芥川賞作家・綿矢りささんによる連作短編小説集。同棲する男女の物語が2篇収録されています。結婚したい彼女と結婚に無関心な彼氏。同棲して3年目を迎えた2人が結婚の話を通じて自分の思いを互いに吐露する切ない物語。
綿矢りささんの描く女性は、あれこれと一人で考えすぎてしまう女性が多いんですよね。でもそれって現実でもあるあるですよね。例に漏れず、今回の作品でも同棲と結婚について考える主人公は、女性の心中を的確に表現しています。今では、結婚という選択肢を取らないカップルも増えていますが、二人はどうなってしまうのか!?同棲カップルの結婚観のギャップをリアルに描く緊張感と、端々に散りばめられているユーモアのある視点でシュールに表現した作品です。
5位 最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。(著者:阿川佐和子、ほか)
恋愛小説の名手8人が「最後の恋」をテーマに描いたアンソロジーです。同じシリーズに『最後の恋MEN'S』があるので自身に合う方を読んでみても良いかもしれませんね。
同じ「最後の恋」というテーマでも、作家によって全く違う恋愛物語を読むことができます。ミステリーな恋、犬の恋、おばあちゃんの恋など、題材が面白く内容も甘すぎないので、恋愛小説が好きでない人も楽しめます。読みやすい作品ばかりなので、サクッと読みたい方や、小説を読み始めた方におすすめの短編集です。
【人気作家】隠れた名作!?有名作家が描く短編作品6選
文学賞などを受賞して長編が有名になった作家も実は短編集を出版しています。実力派作家たちは短編だって名作ぞろい。むしろ短編にこそ、その作家の実力が詰め込まれている!?誰もが知る作家たちの隠れた名作短編集を6冊ご紹介します。
1位 カンガルー日和(著者:村上春樹)
こちらは今回取り上げた中で、一番お気に入りの一冊!著者は『ノルウェイの森』『1Q84』など数々の名作を残す、言わずと知れたノーベル文学賞候補・作家村上春樹さん。純文学作家である著者の独特な空気感あふれる18の作品が掲載されています。どの作品も本文が8〜10ページほどと、短いので時間がない方におすすめです。
表題作『カンガルー日和』は、動物園に行き、カンガルーの柵の前でやりとりする男女二人の様子を描いたものです。こちらも村上作品の例に漏れず、特に大きな何かが起こるわけではなく、淡々と進み、終わっていきます。しかし読了後、ぼんやりとその物語が気になってしまう。そんな不思議な読書体験ができるのがこちらの短編の魅力です。
2位 自選恐怖短編集 鍵(著者:筒井康隆)
日本を代表するSF作家・筒井康隆さんの短編集です。筒井さんは特に短編を得意としており、ショートショートも含めこれまでに出版した短編集は、なんと70冊を超えています。こちらの『鍵』はSF要素も含まれたホラー作品が16篇収録された短編集です。
ホラー作品でありながら、政治や社会問題に切り込むような姿勢を感じられる作品も多く、それをSF作家ならではの世界観にうまく落としこんでいます。全体的に静かな印象で日本のホラーのような雰囲気をまとっています。個人的には人柱になった妻をどうにもできずやりきれない気持ちになる『佇むひと』や、いじめられていた少年が学校で飛び降り自殺をした後の出来事を描いた『二度死んだ少年の記録』が社会問題の闇を思わせるところがあり心に刺さりました。
3位 サファイア(著者:湊かなえ)
後味の悪いミステリーや救いようもない話が人気を博し"イヤミスの女王"という異名を持つ著者が描く短編集。宝石の名前にちなんだ7作品が収録されています。
著者によると「恩返し」をテーマに執筆したそうですが、読んでみて本当に恩返し?と思いたくなるようなお話もあり、さすがイヤミスの女王。しかし、良い話として終わる作品もあるため、心をえぐられずに湊さんの作品を読み切ることができます。代表作『告白』を躊躇している方は、まずはこちらを読んでみるのもアリです。
4位 戦国の忍び(著者:司馬遼太郎)
名作『梟の城』は同じく忍者を題材にした作品で直木賞を受賞しています。今回の短編集では、そんな著者の新聞記者時代の体験・取材を元に、忍者のリアリティある作品を5編収録しています。
海外で忍者は、侍と同等に人気のあるザ・クールジャパンなイメージですが、この小説では、そんな忍者のみじめな実情が描かれています。忍者は階級も低く、誰かの命令の下で動き、自分の身は自分で守らねばならず、常に死と隣り合わせな存在。雇われる現代の人々と、どこか似たものを感じますよね。そんな気の毒な身分ですが、任務のためには死をも厭わない志の高さが描かれています。時代小説でありながら、現代社会に生きる私たちにも共感・感動できる作品となっています!
5位 ぼんぼん彩句(著者:宮部みゆき)
ミステリー作家と時代小説作家二つの顔を持ち、小説に縁のない人もテレビなどで名前を聞いたことはあるのではないでしょうか。『火車』『ソロモンの偽証』などの長編で有名な作家さんなので、短編は少し意外に思う方もいるかもしれません。
実はこちらの短編集、同世代でBBK(ボケ防止カラオケ )というグループを作った著者が、そのメンバーで句会をし、そこで生まれた俳句をタイトルとして短編を書く、というなんとも楽しげな理由で生まれた一冊です。しかしその愉快な経緯とタイトルとは裏腹に、どんな優しい一句もミステリーやホラーにしてしまうところは著者らしさがあふれています。文学作品のハイブリットな楽しみ方ができる新しい短編集となっています。
6位 Presents(著者:角田光代)
著者は数々の文学賞を総ナメし、自ら文学賞の選考委員にもなるほど超実力派作家・角田光代さん。『対岸の彼女』や映画化された『愛がなんだ』など女性が孤独感と戦いながら苦しみもがくリアリティのある作風で人気を博しています。
今回おすすめする『Presents』は「女性が一生のうちにもらう贈りもの」をテーマに12篇の小説が掲載されています。『名前』や『合い鍵』など物語で贈られるものがタイトルになっており、物語というよりもエッセイのように心にすっと入ってくるような文章で綴られています。また、本書の表紙を手がけた松尾たいこさんによる挿絵が1編ごとに添えられており、見て楽しい短編集です。1作10ページ前後と短いので、読書初心者の方におすすめしたい一冊です。
【新作】2023年下期〜2024年に発売された短編集5選
とにかく新しい小説を読んでみたい!そんなあなたに2024年6月現在より1年以内に出版された作品をピックアップ!新作ならではの時代感を汲み取った作品や、シリーズ最新作、これから人気急上昇!?期待の新人作家の短編集を厳選して5選ご紹介します。
1位 カーテンコール(著者:筒井康隆)
こちらの短編集は著者自身が「これが最期の作品集になるだろう」と言って出版された最新作。実は、筒井さんは今年90歳を迎え、作家歴はなんと64年の超大ベテランです。本書は2021年〜2023年に雑誌などで発表された短編・掌編作品を25編収録しています。
今回の作品を読んでみると、落語小説と言ったような雰囲気で、最後の一行でスパッと締める。皮肉っぽく終わるものが多くて、思わずクスッとしてしまいます。また、『楽屋控』『手を振る娘』などは筒井さん自身の体験談かな?と思わせるような内容で、また違った面白さがあります。
2位 夜明けの花園(著者:恩田陸)
こちらの短編は1997年に始まった、水野理瀬が通う学園でさまざまな事件の謎を解いていく〈理瀬シリーズ〉の過去作を含めたスピンオフ編です。この短編を読んで気になった方はぜひシリーズを読んでみてください!
こちらはシリーズものですが、一つずつの短編として完結されているので、今まで連作シリーズを読んだことがない方でも、読むことができます。学園内で起こる不可解な事件を絡めながら、主人公・理瀬の幼少期や、作中人物のさまざまな経緯が綴られた短編なので、ここからそれぞれの人物が本編でどんなキャラクターになっているのかというのが気になってしまいますね。
3位 私労働小説ザ・シット・ジョブ(著者:ブレイディみかこ)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で爆発的ヒットをした著者は、小説家だけでなく保育士やコラムニストとしての顔を持ち、労働や差別など社会問題に対して鋭く切り込む物語に定評があります。作品を読むと、この現実社会にある違和感や弱者の存在を考えずにはいられません。
今回の一冊では、少し前に文学の界隈でも注目を集めていた「ケア労働」を含めた「シット・ジョブ(クソのような仕事)」について描かれています。仕事環境のリアルや苦しさが描かれているだけでなく、実在する学者の労働に関する知識なども登場しているので、労働する私たちにとっても、勉強になる小説です。
4位 ルミネッセンス(著者:窪美澄)
短編集『ふがいない僕は空をみた』でデビュー。出産や子育てなど女性の健康やライフスタイル関係の編集ライターだった著者は女性の生きる姿をリアルに描いた作品が特徴です。今回の短編集では暮らしや日常の中に潜む闇がメインテーマとなっています。
かつての同級生との出会いや、団地での暮らしなど日常的なストーリーから垣間見える闇がじわじわと主人公を襲い、最後は飲み込まれる。そんなホラー要素ありの物語たち。作品に登場する団地の池はすべての物語を通じて重要な場所となります。決してハッピーエンドとは言えない終わりと、陰鬱な雰囲気が漂いますが、どこか安らぎをも感じる魅力的な短編集です。
5位 ぼくらは回収しない(著者:真門浩平)
著者は1999年生まれと今回取り上げた作家の中で最年少。今回の短編にも収録されている『ルナティック・レトリーバー』が第19回ミステリーズ!新人賞を受賞し、期待のミステリー作家さんです。今回の短編集では受賞作に加え、書き下ろし短編が4編収録されています。
数十年に一度の部分日食で人々が空を仰ぐ頃、同じ寮の女子大学生が密室で殺された。犯人は誰なのか、寮の仲間と探偵の如く謎を解く!受賞作はミステリー作品の醍醐味"伏線回収"と自分の人生における"伏線回収"が見事にリンクした作品です。他の短編も考え抜かれた舞台設定で、読者も一緒に謎を解いていく青春ミステリーとなっています!
まとめ
いかがでしたか?短編小説は世間的に見ると話題になりにくいのですが、長編小説にも劣らないほど、読みやすくて面白い作品がたくさんあります!また、少ない時間でもあらゆる作品を読むことができるので、時間や気分に合わせて小説を選ぶなど、生活の中に取り入れやすいのも魅力です。
古本店『もったいない本舗』では、あらゆる作家の短編集も数多く取り揃えています。普段読書をしない方や読書の習慣を身につけたい方は、まず短編小説からはじめてみませんか?
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ライティング担当 : もりたま札幌在住の20代。現在、学芸員になるため美術系の大学に在学中。本に興味を持ったのは、高校生の頃、部員たった1人だけの文芸部に同情9割で入り、小説を書いていくうちに読書をするようになったのがきっかけ。好きな小説のジャンルは純文学や海外文学など。趣味は写真とアクセサリーのハンドメイド、製本。紙愛好家でもあり、好きな紙は「NTスフール」。 |
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