• 2022/07/01

【ウマ娘シンデレラグレイ】魂が燃やされるオグリキャップの軌跡

競馬界に伝説を残した芦毛の怪物・オグリキャップ号。『ウマ娘 シンデレラグレイ』は、その名前と魂を受け継いだオグリキャップのウマ娘を主人公とした、百万馬力激熱漫画!『ウマ娘プリティーダービー』の公式スピンオフでありながら、ド迫力のレースを描いた名作をご紹介します!

シンデレラグレイTOP画像

《ウマ娘》って?『プリティーダービー』と『シンデレラグレイ』の概要

『ウマ娘 シンデレラグレイ』は、現在『週刊ヤングジャンプ』で連載中の漫画作品です。
大人気アプリゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の公式スピンオフで、《芦毛の怪物》と呼ばれた競走馬、オグリキャップのウマ娘が主人公の物語です。漫画:久住太陽さん、脚本:杉浦理史さん、企画構成:伊藤隼之介さんにより制作されています。

《ウマ娘》とは

《ウマ娘》とは、Cygamesのアプリゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』に登場する、競走馬を可愛らしく擬人化したキャラクターのことです。実在の競走馬をキャラクター化、という多方面に繊細な事情から、必ず馬主の許諾を得てから名前を使用しているそうです。ゲームのジャンルは、《ウマ娘》を育成しレースで勝ち続け、多くのファンを獲得することが目的の育成シミュレーション。2021年は国内推定売上1295億7300万円でトップ、日本のGoogle Playゲームセールスランキングで111日間連続1位、『Google Play ベスト オブ 2021』でゲーム部門の大賞を獲得など、素晴らしい戦績を数多く残しました。今後も多くのファンたちに夢と希望を与えるというゴールを目指して、ひたすら爆走中の人気作品です。

▼公式サイトはこちら▼

オグリキャップ号は、平成初期に活躍した芦毛(灰色)の競走馬です。地方競馬出身でありながら、中央移籍後のデビュー戦からエリート相手に勝利の連続。それまでの競馬界の常識を覆す凄まじい活躍から《平成三強》と称され、その出自や戦績などから競馬を知らない層からも絶大な人気を獲得。日本に、第二次競馬ブームと呼ばれる社会現象を引き起こしました。そのオグリキャップ号が辿った苦難や栄光の軌跡をモデルとして、オグリキャップのウマ娘が駆けぬけるシンデレラストーリーが、熱く重く描かれています。

スピンオフ作品ではありますが、2021年に行われた、第7回「次にくるマンガ大賞」のコミックス部門では第2位を獲得。2022年5月時点(既刊7巻分)での累計発行部数は350万部を超えるという高い人気ぶり。原作ファンの間では《バトル漫画》とも称される『ウマ娘シンデレラグレイ』の魅力を、古本店『もったいない本舗』の漫画好きスタッフがご紹介します!

プリティーだけど熾烈!作品紹介とおすすめポイント

▶あらすじ

全国に存在する、ウマ娘のトレーニングセンター学園。その中でも、のんびり緩み切ったカサマツトレセン学園に所属するトレーナーである北原は、皆に愛され応援される真のスターを輩出することを熱望していた。そんな折、入学してきたオグリキャップの異様な走りに魅了され、共にレースを勝ち上がることを決意する。

登場人物紹介

こちらでのご紹介はごく一部となります。なお、あくまでも『ウマ娘 シンデレラグレイ』における設定となり、アプリ版やアニメ版とはデザインや設定が異なっている部分も存在します。アプリ版やアニメ版には登場しないウマ娘のデザインは、Cygamesの監修のもと漫画担当の久住氏が手がけられているそうです。久住氏オリジナルデザインであるウマ娘のかわいさにもご注目ください!

オグリキャップ

オグリキャップ

走ること以外は無頓着な、芦毛の主人公。服装は常にトレーニング後の汚れたジャージ。マイペースな天然で、周囲からの悪意はすべて無効化してしまう。生まれつき脚が悪かったが、母親による献身的なマッサージにより克服した。規格外の大食漢。

ベルノライト

ベルノライト

オグリの同級生。実家がウマ娘用のスポーツ店で、装備の知識が豊富。最初こそオグリに圧倒されるものの、仲良くなってからはサポートに徹し心身ともにオグリの支えになる。

タマモクロス

タマモクロス

《白い稲妻》の異名を持つ、オグリと同じ芦毛の小柄なウマ娘。オグリの凄まじい走りを偶然見かけたときから、オグリをライバルと認め真っ向勝負を挑む。繊細な面があり、レース前は食が細くなることが多い。昭和末期に活躍した競走馬、タマモクロス号がモデル。

シンボリルドルフ

シンボリルドルフ

オグリキャップの才能を見出した、中央トレセン学園の生徒会長。《皇帝》と呼ばれ、史上初の七冠馬シンボリルドルフ号をモデルとした、史上唯一の七冠ウマ娘。

サクラチヨノオー

サクラチヨノオー

内気だが、ひたすら根性論の努力家。マルゼンスキーに憧れている。(モデルとなったサクラチヨノオー号はマルゼンスキー号の子どもであるため)

ディクタストライカ

ディクタストライカ

常にフードを被っている、不良オーラを放つエース。《栗毛の弾丸》の異名を持つ。戦績やデザインなどから、モデルはサッカーボーイ号ではないかと言われている。

きたはら じょう

北原 壌

カサマツトレセン学園のトレーナー。寂れた学園で惰性でトレーナーを続けながらも、夢を捨てられずにいた。そんな折にオグリキャップと出会い、共に夢を駆ける決意をする。これまでオグリに関わった、歴代の騎手や調教師たちがモデルになっているのではないかと言われている。

むさか ぎんじろう

六平 銀次郎

北原の叔父で、北原をトレーナーの道に誘った恩人。中央トレセン学園のベテラントレーナーで、《フェアリーゴッドファーザー》の異名を持つ。

なせ ふみの

奈瀬 文乃

かつて六平と激戦を重ねたトレーナーを父に持つ、若き天才トレーナー。スーパークリークの才能を見出し、冷静着実に勝利を狙う。若い女性のファンが多い。モデルは日本競馬界のレジェンド、武豊氏ではないかと言われている。

フジマサマーチ

カサマツトレセン学園に特待生として入学してきた、次期エース。東海ダービー制覇を目標としており、《カサマツ編》におけるオグリのライバル。マーチトウショウ号がモデルではないかと言われている。

スーパークリーク

中央トレセン学園での、オグリのクラスメイト。おっとりしていてあまり目立つ存在ではなかったが、奈瀬とのトレーニングのお陰で、その才能を開花させる。モデルとなったスーパークリーク号は、オグリキャップ号、イナリワン号と共に《平成三強》と謳われた。

オベイユアマスター

ジャパンカップ出走の、アメリカ代表のひとり。母国での戦績は目を引くほどではなく、飄々としていてどこか掴みどころのない様子だが…。モデルはペイザバトラー号ではないかと言われている。

『ウマ娘 シンデレラグレイ』おすすめポイント

①"プリティー"デザインの激熱バトル漫画というギャップ

アプリ・アニメ版を先にご覧になった方は、シンデレラグレイのあまりの毛色の違いに驚かれるかと思います。アプリ・アニメ版がひたすら夢と希望に満ち溢れたものを描いているのとは反対に、シンデレラグレイは勝負の現実を描いています。決して綺麗なものだけではありません。努力ではどうにもならない天才との実力差を見せつけられて絶望したり、実力以外の部分で負けが決定してしまったり。敗北や不条理を前にしたウマ娘たちの絶望と葛藤と、それを乗り越える強さを、最上の輝きを持って魅せつけてくれます。涙なしにはページをめくれない熱すぎる展開の数々に、こちらの作品がプリティーダービーな《ウマ娘》であることを忘れてしまうかもしれません。

もちろんシビアな現実を突きつけてくるのは、ストーリーだけではありません。漫画担当の久住氏の公式Twitterによると、なんと『刃牙』『HELLSING』を読みながら連載を始められたそうです。勝利への凄まじいまでの執着、遥か後方から追い上げられるシーンや、ポジション取りの白熱したぶつかり合い等の作画の威力は、これだけでお察しいただけるかと思います。いわゆる、美少女集団作品ものが苦手な方でもお楽しみいただける、本格バトルです。ゆるふわでひたすら可愛いだけではなく、自分の意志で戦って運命を掴み獲る強さも併せ持つ。そんなストーリーがお好きな方におすすめです!

②史実とフィクションのバランスが絶妙

史実ネタがこれでもかというくらい、巧妙に設定に組み込まれています。競馬ファンの方は確実に、読みながらにやりとしたり、感心・感動することになるでしょう。しかしそれはあくまでも《史実を知っていたらより楽しい》もののため、競馬を知らない方が置いてけぼりにされることはありません。大切な項目や競馬のルールはきちんと作中で説明があるため、安心してお読みいただけます。

競馬という勝ち負けの存在するレースである以上、シビアなエピソードが多く残されている史実。しかし、シンデレラグレイの世界観では、悲しい史実がポジティブなものに置き換えられている場合があります。救済とも思える優しいエピソードは、まるで大団円へ辿り着くifストーリーを読んでいるかのよう。地方所属のオグリが、中央へ移籍するのかどうか。出走資格を持たないオグリが、資格が必要なクラシックレースに出られるのかどうか。週刊ヤングジャンプ本誌にて該当話の掲載当時は、大きな話題となりました。どこまで史実を追い、どこでポジティブな創作を入れるのか。競馬を知らない方は《事実は小説よりも奇なり》を体現したオグリキャップの軌跡に驚愕するのはもちろんのこと、競馬に詳しい方にとってもまったく予想がつかない展開となっています。

もし競馬界の史実や小ネタが気になる方は、週刊ヤングジャンプ公式漫画アプリ、『ヤンジャン!』で読まれることを強くおすすめします。アプリ版ではストーリーごとに読者のコメントが読めるようになっており、シンデレラグレイのコメント欄には、競馬について詳しい方による、史実のエピソードや元ネタの解説が書き込まれている場合がとても多いです。競馬の知識が皆無なスタッフは、その博識なコメントのお陰で興味を惹かれ調べることが増え、よりシンデレラグレイの世界と競馬の世界を好きになりました。コメントを残して下さった方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。逆に、一切の史実やネタバレを知りたくない方は、コメント欄は開かずに自分のペースで楽しみましょう!

ちなみに誤解が起きないように、重要な部分ではコミックスの巻末や注釈で史実への解説が入れられています。さらにおまけページでは、キャラたちの素顔や破壊力抜群の小ネタがサラッと描かれているため、本誌やアプリだけで楽しむのではなく、やはりコミックスも必見です!

③プリティーと熱さと笑いのバランスが絶妙

原作のアプリゲームがひたすら希望で満ちたものであるのと同様に、シンデレラグレイもレース以外のシーンは非常に平和で可愛らしく、笑えます。仲良く遊びに出かけたり、お互いを思い遣っていたり、勝負の約束を律儀に守っていたり。キャラクターによる悪意も、そのキャラクターの多面的な部分が描かれているだけで真正の悪は存在せず、明るく優しい世界観です。落ち込んでいるときに読まれても、しっかりと優しさと元気を受け取ることができますよ。

そしてシリアスな展開が続いているからと油断していると、息を吸うように自然に挟まれるキレッキレのギャグについ声を出して笑ってしまうためご注意ください。特に6巻・第52Rラストの衝撃に耐えられる方は少ないと思われるため、ぜひご自宅や誰もいない場所で読まれることをおすすめします。プリティーで速いだけではなく、お笑いだってきっちりこなせるウマ娘は、唯一無二の素晴らしい存在です!

Q:原作より先に読んでもいいの?
A:読んでOKです!原作世界観の用語や説明もわかりやすく、未プレイの方でも安心してお読みいただけます。序盤は地方競馬関連の描写が丁寧なため、原作をプレイするときには中央との違いがわかりやすくなりますよ。ウマ娘関連の世界の一端を知る入り口として、気負わずにご覧ください。

ゲームもアニメも!他メディアの《ウマ娘》紹介

ウマ娘はアニメや他スピンオフ漫画など、他メディアはどれも大人気となっています。しかしどの作品も、シンデレラグレイとだけは大きく雰囲気が違います。絵柄や雰囲気を試聴したら驚かれるかもしれませんね!頑張る彼女たちから、両手いっぱいの元気と明るさを受け取れることに変わりはありません。気になった方は他のメディアもどんどんチェックしてみてください。

▶アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』ノンテロップOP&ED

記念すべきアニメ1作目!冒頭テロップで「実際の競走馬の物語をモチーフとし、事実に基づいた表現を心掛けたフィクション」という前置きがしっかりなされました。彼女たちの明るくて楽しくも、しっかりとスポーツマンシップに則った爽やかなレースを追うことができます。 Season1は1998年~1999年頃のレースがメインで、スペシャルウィーク・サイレンススズカ・エルコンドルパサー・グラスワンダー・セイウンスカイなどの中央競馬にスポットライトが当てられています。サプライズのように織り交ぜられたifストーリーは、史実ファンの心を躍らせるドリームマッチ。思わず自分も全力で駆け抜けたくなるような疾走感を、アニメでたっぷり味わいましょう!

▶TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』ノンテロップOP

待望のアニメ2作目!今度は1984~1993年頃のレースがメインです。トウカイテイオー・メジロマックイーンが大活躍!キタサンブラックやサトノダイヤモンドなど、1作目で登場しなかったキャラクターたちも含めて、新たな戦いと成長と彼女たちの絆を辿ることができます。バランスの良い史実ネタもフィクションも、前作同様に多くの夢を魅せてくれますよ。再びウマ娘たちの世界観を楽しみましょう!

▶TVアニメ『うまよん』第一弾PV

単行本化しないまま連載が終了した、幻の漫画作品がショートアニメ化!原作は、WEB漫画雑誌『サイコミ』に掲載されていた、『ウマ娘 プリティーダービー』のスピンオフ4コマ漫画です。連載終了後は正規手段での閲覧が不可となっていましたが、こちらのアニメBlu-rayBOXの購入特典ブックレットとして復活。無事全295話が掲載され、日の目を見ることが叶いました。当時存在していた全61名のウマ娘が全員登場という大きすぎる愛も素晴らしい。シンデレラグレイにおける《オグリキャップVSタマモクロス》回のド迫力とは対極の、始終ゆるふわな可愛らしい作品です。

▶【ウマ娘】2nd EVENT「Sound Fanfare!」「うまぴょい伝説」

馬に乗れば唄心。こちらはウマ娘たちを演じる声優さんたちによるライブイベントです!声のみによる演技の技術もさることながら、歌もダンスもできてなおかつ可愛らしいという、天は二物も三物も与えたキャストさんたちによるライブは必見です。優勝を目指し駆け続けるウマ娘たちによる楽曲は、ひたすら元気と勇気を貰える応援歌!声優さんファンだけでなく、お疲れ気味の方にもおすすめです!
ちなみに、NHK地上波でも披露されたこちらの『うまぴょい伝説』ですが、作曲者である本田晃弘氏が電波系ソングの制作に難航し、なんとワイン2本を開けた泥酔状態で作曲されたという、まさに身体を張った渾身の一曲。本田氏のプロ魂に敬意を持って、一緒にうまぴょいコール&レスポンスしましょう!

▶笠松競馬場コラボレース《ウマ娘シンデレラグレイ賞》

シンデレラグレイは実際のレースともコラボしています!2022年4月29日、ウマ娘とのコラボレースとして、笠松編における聖地・笠松競馬場で《ウマ娘シンデレラグレイ賞》が開催されました!オグリキャップの毛色にちなんで、芦毛馬・白毛馬限定レースという愛の徹底ぶり。上記の動画でも紹介されていますが、もちろんレース場外では規格外の長蛇の列。ウマ娘ファンも大勢観戦し、こちらのレースだけでなんと約8800万円もの売り上げを叩き出したそうです。オグリキャップ号の活躍当時、それまで大人の男性しかいなかった競馬場に、オグリを応援するために家族連れや女性客が多く訪れるようになったと言われています。活躍から30年以上を経た今でもなお愛され続け、《シンデレラグレイ》でもう一度オグリキャップ復活を観ることができる日がくるなんて、本当に素晴らしいことですね。

まとめ

夢のようにキラキラと輝く原作とは違う、地方の灰被り娘が決死の思いで駆け抜ける、シンデレラグレイ。ウマ娘を知らない方も、競馬を知らない方も、等しく胸を熱くさせられ涙してしまうエピソードの数々は、オグリキャップ号が辿った軌跡でもあります。クラシックレースへの出走資格ルール改定や、勝馬投票券の改定、ぬいぐるみの定番化など、その後の競馬界にオグリキャップ号が及ぼした影響は非常に大きなものとなりました。名馬の伝説は残り、時代に即したメディアで何度でも蘇り、語り継がれます。あっという間に駆け抜けてしまうシンデレラの伝説を、見逃してしまうのはもったいないですよ!

オグリキャップ号引退レース

※『ウマ娘 シンデレラグレイ』を最後までネタバレ無しで楽しみたい方は試聴をお控えください

▶1990年 有馬記念(GⅠ) | オグリキャップ | JRA公式

※未来永劫語り継がれる伝説のラストランです。涙もろい方はお手元にハンカチをご用意してご覧ください。

ウマ娘 シンデレラグレイ

漫画 久住太陽
脚本 杉浦理史
企画構成 伊藤隼之介
原作 Cygames
出版社 集英社
出版年月 2021年1月
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miz
ライティング担当 : miz

札幌在住30代2児の母。レトロゲームとクラシック音楽が大好きで時々自分でも弾く。ムーミンのアニメを観ることと、子どもたちの寝かしつけ後にやるサバイバルアクションホラーゲームが日々の癒し。博物館や郷土資料館の類が好きだが、シビアな開館時間の前によく惨敗している。インドア派だったのが活発すぎる子どもたちによってアウトドア派にさせられた。司馬遼太郎、M・ルブラン、川原泉、藤田和日郎作品が好き。

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