- 映画『るろうに剣心』の順番を解説
- 「The Final」は最後に観るべき?
- 実写『るろうに剣心』シリーズのあらすじ!原作漫画では何巻を描いている?
- ①『るろうに剣心』(公開日:2012年8月25日)
- ②『るろうに剣心 京都大火編』(公開日:2014年8月1日)
- ③『るろうに剣心 伝説の最期編』(公開日:2014年9月13日)
- ④『るろうに剣心 最終章 The Final』(公開日:2021年4月23日)
- ⑤『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(公開日:2021年6月4日)
- 映画『るろうに剣心』が面白い4つの理由
- 原作と見比べてほしい!実写映画と漫画の違い22選
- 令和に新しい『るろ剣』アニメが復活!
- まとめ
- 2022/03/01
- 2021/10/28
映画『るろうに剣心』の観る順番&あらすじ!原作漫画との違いは?
"るろ剣"の実写映画、面白いですよね。2021年に公開された最終章をもって、実写映画『るろうに剣心』が遂に完結しました。シリーズは全5作品。観るべき順番は、本当に公開順なのか?物語の時系列は?原作漫画を交えながら、るろ剣映画を一緒に振り返りましょう。
映画『るろうに剣心』の順番を解説
まずは、実写映画『るろうに剣心』シリーズの全5作品の公開順と物語の時系列をおさらいしておきましょう。
1 | 『るろうに剣心』(2012年) | 最終興行収入30.1億円 |
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2 | 『るろうに剣心 京都大火編』(2014年) | 最終興行収入52.2億円 |
3 | 『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014年) | 最終興行収入43.5億円 |
4 | 『るろうに剣心 最終章 The Final』(2021年) | 最終興行収入43.2億円 |
5 | 『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年) | 最終興行収入24.1億円 |
1 | 『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(2021年) | 元治元年(1864年)~ |
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2 | 『るろうに剣心』(2012年) | 明治11年(1878年)~ |
3 | 『るろうに剣心 京都大火編』(2014年) | |
4 | 『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014年) | |
5 | 『るろうに剣心 最終章 The Final』(2021年) | 明治12年(1879年)~ |
「The Final」は最後に観るべき?
2021年に最終章として公開された順番は「The Final」→「The Beginning」。全シリーズの最後の最後に公開されたのは、なぜか"ファイナル"という名を冠しているものではなく、始まりの物語でした。
多くの人が、なぜ「The Final」が先に公開されたの?と思ったはずです。
その理由は、1作目~3作目の流れを汲む正統派続編としては「The Final」の内容が4作目にふさわしいストーリーだったからではないでしょうか。新たな敵。平穏な暮らしの崩壊。過去に登場した仲間たちの集結…。過去3作品と同様に、「The Final」は少年漫画らしい胸アツな展開の連続です。
とはいえ、この最終章での重要なキーパーソンは、剣心のかつての妻・巴です。主演の佐藤健さんも「このエピソードをやらずに、人生を終えることはあり得ないと思っていた」と語るほど、剣心と巴のストーリーは『るろうに剣心』の物語においてかなり重要な内容です。そんな大切な物語を「The Final」でただ回想シーンだけで描くのはもったいない…。そんな製作陣の想いから「The Beginning」の製作へと舵を切られたのではないかと思います。
実際に、この「The Beginning」は過去の4作品とはまったく違ったテイストの異色作です。動乱の幕末期を舞台にした本格派の時代劇であり、切ない悲恋が丁寧に描かれています。この映画で『るろうに剣心』の主人公・緋村剣心という男を知ることで、今までの全シリーズの彼の行動原理の意味を初めて理解できる、という内容になっています。始まりにして、終わり――。まさに「The Beginning」は"るろ剣"シリーズの有終の美を飾るに相応しい物語だといえるでしょう。
そのため、個人的には観る順番は公開順で観るのをおすすめします!
実写『るろうに剣心』シリーズのあらすじ!原作漫画では何巻を描いている?
2012年の公開から約10年。2021年に『るろうに剣心』シリーズ待望の完結編が公開され、原作ファンも納得の仕上がりで多くの人たちの心を掴みました。日本のエンターテインメントの中でも最高峰のアクション映画である『るろうに剣心』の全5作品をあらすじと一緒に振り返りましょう!
①『るろうに剣心』(公開日:2012年8月25日)
長く続いた江戸幕府の終焉――。幕末の動乱期の渦中にあった京都で、一人の有名な暗殺者がいた。神業のような剣技と速さにより、「最強」と恐れられた伝説の<人斬り抜刀斎>。動乱の終結と共に訪れた"明治"という新時代が幕を明けると、その維新志士は忽然と姿を消してしまう。ときは流れ、明治11年。流浪人となって日本中を旅する一人の剣客が、東京のある町に流れつく。そこでは「神谷活心流の人斬り抜刀斎」を名乗る者が、連日世間を騒がせていた。自身の流儀を語られたことに憤慨し「人斬り抜刀斎」を捜す少女・神谷薫と出会い、流浪人の剣客・緋村剣心は人を助けるために剣を振るう。そんな彼の元にさまざまな事件が舞い込んできて…。
"るろ剣"をまったく知らない人でも楽しめる、テンポの良いストーリーが魅力。原作漫画の内容をそのまま映像化したのではなく、一つの時代劇映画としてのクオリティを追及した脚本やアクション、役者の演技、そして迫力満点な映像技術が光っています。また、原作では別々に起こる2つの大きな事件をオリジナルストーリーとして違和感なく融合させ、原作ファンも納得の面白さでした。この脚本家の素晴らしい手腕にも拍手を送りたいです。代わりに"仲間との絆"という点は漫画よりも深掘りしきれていないため、弥彦や左之助ファンには少し物足りないかもしれません。さらに、御庭番衆御頭・四乃森蒼紫も出てこない…!とはいえ、蒼紫は次回作でしっかり登場するので、ご安心を。見どころは、剣心から抜刀斎へと豹変する佐藤健さんの目の演技です。人斬りに戻ったときの姿は、一度観ると脳裏に焼き付いて離れなくなるほどの存在感でした。
【東京編】(原作漫画:1巻~4巻、7巻)②『るろうに剣心 京都大火編』(公開日:2014年8月1日)
明治政府の転覆を目論む男・志々雄真実が京都で暗躍している噂を聞いた剣心は、政府側からの依頼もあり、一人で京都に旅立つことを決意。京都へ向かう道中で巻町操という少女と知り合い、共に京都へと歩みを進める。途中、志々雄一派が占領し廃墟となった新月村にて志々雄真実と対峙するが、彼の部下「十本刀」の瀬田宗次郎との交戦で、剣心は逆刃刀を折られてしまう。京都に着くなり剣心は新たな逆刃刀を手にするが、その裏で志々雄と「十本刀」たちによって京都大火の作戦が実行される。火の海と化した京都だったが、志々雄たちの本当の狙いは軍艦「煉獄」による東京襲撃であった。同時に、宗次郎が剣心の弱みである薫を拉致。剣心は「煉獄」に乗り込むが、薫と共に嵐の海原に投げ出され意識を失ってしまう――。
本作を語る上で外せないのが、神木隆之介さん演じる瀬田宗次郎の存在ではないでしょうか。志々雄役の藤原竜也さんも素晴らしいんですが、神木さんは見た目のビジュアルはもちろん、出で立ちも雰囲気も宗次郎そのもの!『るろうに剣心』全シリーズのキャストの中でも、屈指のハマり役です。また、剣心VS宗次郎のスピード感のある殺陣も見逃せません。これ、替え玉ではなく本当に俳優さん本人がやっているんですよ…。2人ともとんでもない身体能力です。原作で最も男心をくすぐる【京都編】の前半部分を描き、少年漫画らしいバトルシーンも数多く登場します。しかし、途中で原作にもないオリジナルな展開へと転んでいき、まさに予想外な流れの連続です。一度観始めると、続けて【京都編】の後半部分『伝説の最期編』も観たくなるので、時間に余裕があるときに一気に鑑賞するのがおすすめです。
【京都編(前半)】(原作漫画:7巻~12巻)③『るろうに剣心 伝説の最期編』(公開日:2014年9月13日)
剣心は、かつて自分に「飛天御剣流」を伝授してくれた師匠・比古清十郎と久々の再会を果たし、その奥義の修行に勤しんでいた。その頃、東京湾に到着した志々雄は、明治政府に剣心を処刑するよう脅しをかける。奥義を会得し、一度京都へ戻った剣心はそこで四乃森蒼紫に勝負を挑まれるが、見事に勝利。その後、志々雄の動向を知って急いで東京へと戻る。戻った直後に剣心は警察に捕らえられ、浦賀の海岸で斬首刑にされそうになる。しかし、それは政府側の志々雄への目くらましで、斎藤一の手によって解放された剣心は、警察隊と共に油断していた志々雄一派へ一気に攻撃を仕掛けていく。そして、志々雄との最終決戦の地「煉獄」へと再び乗り込み、因縁の対決に終止符を打つ。
志々雄一派との闘いのクライマックスを描いていますが、前作以上に原作とは違った展開が多いのが目立ちます。でも、その展開がすべて悪い方に転んでいるわけではありません。原作ファンが待ち望むシーンはきちんと外さず、物語の整合性を保ち、誰にでもわかりやすく、そして感情移入できる脚本に仕上がっています。本作での蒼紫の存在は賛否両論ありますが、彼の登場は製作陣による原作へのリスペクトとファン心理をきちんと汲んでくれたからこその演出だったと思います。とはいえ、左之助の二重の極みを取得しないところは、ちょっぴり寂しかったり…。また、前作以上に際立ったのが藤原竜也さんの志々雄役のずば抜けた演技力!戦闘シーンの迫力はもちろんですが、台詞一つひとつに魂がこもっているようで痺れました。もちろん、スピード感と躍動感のあるバトルシーンは今回も見応え抜群!強すぎる志々雄様は、敵役とはいえ天晴れです。
【京都編(後半)】(原作漫画:13巻~17巻)④『るろうに剣心 最終章 The Final』(公開日:2021年4月23日)
志々雄真実に勝利し、再び東京での平和な日常を過ごす剣心。しかし、穏やかな日々はそう長くは続かなかった。正体不明の集団が次々に東京各地を攻撃し、犯行現場には「人誅」の文字が残されるという謎の事件が相次いでいた。その首謀者は、上海マフィアであり武器商人の雪代縁。剣心の義理の弟であった。剣心は、かつて<人斬り抜刀斎>として暗殺業を行っていたときに、巴という妻を惨殺した過去を持つことを仲間に打ち明ける。今回の事件の真の目的は、縁による剣心への復讐であった。縁たち一行によって東京の主要部を次々に襲撃され、さらには薫まで誘拐されてしまう。縁から呼び出された剣心は、単身で縁のアジトへと向かうがそこで予想外の人物と再会する。
この【人誅編】の物語は、過去のテレビアニメでも映像化されていないストーリーです。原作完結から20年以上のときを経て、こうして実写でその物語を目撃できるのが本当に感慨深いです。縁役の新田真剣佑さんは、アクションの凄みはもちろん「抜刀斎!!」と叫ぶ声にも積年の恨みがきちんと込められていて、その演技力の高さに惹きつけられました。また剣心や縁だけでなく、共闘する味方キャラたちの華麗なアクションもレベルが高すぎて、どれも見入ってしまいます。特に痺れたのが、誰もが予想していなかったであろう、あのキャラの登場!もちろん原作にもこんなシーンはありません。「楽しかった。背中を心配しないで戦えて。」というセリフに、多くの人がニヤリとしたことでしょう。過去作以上のスケールで繰り広げられる最後の死闘は、もう瞬きするのを忘れてしまうほどです。現代の邦画における最高峰のアクションをお楽しみください。
【人誅編】(原作漫画:18巻~19巻、21巻~28巻)⑤『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(公開日:2021年6月4日)
黒船来航から明治維新までの15年。徳川幕府と維新志士が一進一退の激闘を繰り広げる幕末の時代に、緋村剣心は<人斬り抜刀斎>と呼ばれていた。その理由は、長州藩の維新志士・緋村抜刀斎と名乗り、幕府の人間を数多く暗殺していたからだった。目にも留まらぬ速さで相手を仕留め、半年で3ケタ近い人間を手にかけていた頃、帰り道に幕府方の刺客に襲撃される。その相手を返り討ちにしたところを、見知らぬ女性・雪代巴に目撃されてしまうが、彼女はその場で気を失ってしまう。仕方なく彼女を連れ帰るが、行く当てのない彼女はそのまま剣心の元に居座り続ける。最初は、口止めや監視目的で傍に置いていた剣心だったが、次第に彼女に心を開くようになり…。
個人的に、原作でも特に大好きなエピソードの【追憶編】。私だけでなく"るろ剣"ファンならこの話がお気に入りの人は多いはずです。そんな人気エピソードが遂に実写化!しかも、1本の映画で再現されるなんて…!観る前から気持ちが高まって仕方がなかったです。過去の4つの作品とは雰囲気がまったく違っていて、本作の印象は「静かで、美しく、儚い」。最終章での最重要人物・雪代巴の人間像をそのまま映像に落とし込んでいるような、洗練された空気を纏っています。なのに全シリーズの中で最も血しぶきが上がり、殺陣の気迫も段違いです。「シリーズ最高傑作、誕生。」のキャッチコピーに相応しく、本当に名作でした。「なぜシリーズの最後に過去の回想シーンなどやるの?」と思った人こそ、ぜひこの映画を観てほしいです。観終われば、最後に公開しなければいけなかった理由がきっとわかるはずです。
【追憶編】(原作漫画:19巻~21巻)テレビアニメでは放送されなかった【追憶編】ですが、OVA(オリジナルビデオアニメ)になっているのはご存じですか?本作は、原作ともテレビシリーズとも違うどこか陰を持つキャラクターデザインで、アニメなのに表情も動きも妙にリアル。特に人斬りのシーンは、目を背けたくなるような凄惨な描写が多いです。しかし、それでも諸手を挙げておすすめしたい理由は、原作では汲み取りきれなかった心理描写をドラマチックに表現しているから。京都の四季折々の美しい風景の中で幕末の動乱期を過ごす男女2人の切なくも悲しい生き様は、涙なしでは観られません。漫画・実写とも違った趣のあるOVA版もお見逃しなく。
映画『るろうに剣心』が面白い4つの理由
漫画原作のストーリーを実写化すると低評価で叩かれてしまうことが多いんですが、この『るろうに剣心』シリーズは、その中でも数少ない成功例のひとつ。今では、原作を知らない人からも愛される大人気映画へと昇り詰めました。なぜ、少年漫画の突拍子もない内容を生身の人間が演じても多くの人に受け入れてもらえるのか。その4つの理由を詳しく解説します!
1 | キャスティングが最高 |
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2次元の作品を3次元に落とし込むときに最も注目されるのが、キャストがキャラクターに合っているかどうかです。しかし、やりすぎるとコスプレのようになってしまい、肝心の内容がまったく頭に入ってこない、なんていうことも。しかし『るろうに剣心』シリーズは、そういった心配を一蹴!漫画のキャラクターの良さを活かしながら、誰もが違和感なく"るろ剣"キャラを演じきっています。
映画『るろうに剣心』の主なキャスト
緋村 剣心 |
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佐藤 健 |
神谷 薫 |
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武井 咲 |
相楽 左之助 |
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青木 崇高 |
明神 弥彦 |
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田中 偉登、大八木 凱斗、大西 利空 |
高荷 恵 |
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蒼井 優 |
四乃森 蒼紫 |
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伊勢谷 友介 |
巻町 操 |
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土屋 太鳳 |
斎藤 一 |
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江口 洋介 |
武田 観柳 |
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香川 照之 |
鵜堂 刃衛 |
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吉川 晃司 |
志々雄 真実 |
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藤原 竜也 |
瀬田 宗次郎 |
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神木 隆之介 |
比古 清十郎 |
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福山 雅治 |
雪代 縁 |
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新田 真剣佑 |
雪代 巴 |
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有村 架純 |
この中でも特に好きだった&適役だと思ったキャストは、こちらの7名です!
1位 | 佐藤 健さん(緋村剣心) |
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2位 | 神木 隆之介さん(瀬田 宗次郎) |
3位 | 藤原 竜也さん(志々雄 真実) |
4位 | 有村 架純さん(雪代 巴) |
5位 | 新田 真剣佑さん(雪代 縁) |
6位 | 蒼井 優さん(高荷 恵) |
7位 | 香川 照之さん(武田 観柳) |
実写版"るろ剣"のキャストは、漫画キャラに「見た目を寄せる」ということだけにこだわっているわけではありません。『るろうに剣心』というフィクションの世界を、いかに違和感の少ないリアルなものにしていくか…。そこを意識したそれぞれの役作りが、非常にピッタリとハマっています。だからこそ"るろ剣"キャストみんなに好感が持てるのかもしれません。
また、ひそかに注目してほしいのは「高荷 恵」役の蒼井 優さん!漫画のイメージとはまったく違うのでハマり役ではないものの、彼女が纏う雰囲気と秀逸な演技力で「高荷 恵」を漫画以上の魅力的なキャラクターに仕上げています。観る前までネガティブなイメージを持っていたのが恥ずかしいほど、蒼井 優さんの演技がお見事でした。もちろん、主演の佐藤健さんや敵対する個性的なライバルたちも文句なしの名演技です。
2 | 本格的な殺陣&迫力あるバトルアクションが凄い |
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YouTubeの公式チャンネルには、本シリーズのメイキング映像が数多くアップされています。そこには迫力ある戦闘シーンを作り上げるために、激しい殺陣を何度も練習する出演者たちの姿が。「漫画原作の実写化なんて…」と、バトル漫画のアクションを軽んじて考えている人もいるかもしれません。しかしこのメイキングを観た人は、誰もが気づくはずです。この『るろうに剣心』シリーズが、時代劇や大河ドラマにも引けを取らない、息を飲む本格アクションに挑戦しているということを。
漫画やアニメではありえない動きができますが、実写ではそうはいきません。地に足がつく技の動きを画面上で表現するために、出演者たちは日夜過酷な練習を積んでいました。そんな努力によって生み出されたアクションシーンは、どれも度肝を抜かれる仕上がりです。本シリーズは、間違いなく日本を代表するアクション超大作のひとつ。目にも留まらぬ速さで繰り広げられる殺陣は、まさにここでしか観られない名シーンですよ。
3 | マネしたくなる必殺技が多い |
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先程のアクションの話に通ずるところがありますが、劇中では少年漫画らしい必殺技が数多く登場します。剣心の「龍槌閃」「双龍閃」「龍巻閃」「九頭龍閃」「天翔龍閃」。斎藤一の「牙突」、瀬田宗次郎の「縮地」「瞬天殺」など、男の子なら誰がマネをしたくなる魅力的な技ばかり。しかも、それが実写でも原作ファンも納得するほどの高クオリティでキャスト陣が遣って退けるんです。漫画の動きをここまでリアルに、しかもかっこよく表現してくれるなんて…!漫画やアニメのように技の名前を叫ばないのも、逆に良かったです。
4 | ストーリー構成が秀逸で、何度もループして観たくなる |
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第1作目の製作から約10年後に完結した実写『るろうに剣心』シリーズ。製作陣でさえ、原作の物語をどこまで実写映画で再現できるのか、最初はまったくわからなかったはずです。
にも関わらず、シリーズ最後の作品となった『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は、きっちりと第1作目へ繋がる仕掛けが用意されています。全5作品を観終わったあとにもう一度第1作目から観直すと、初見では気づかなかった新たな発見がいくつも見つかるんです。
また、全シリーズ原作漫画とは違うオリジナルな展開も多いので、原作を読んだ人でも見たことのないシーンがたくさんあります。決して漫画やアニメの剣客を映像化したのではなく、今までにない新しさを加えつつ、きちんと時代劇に向き合った作品になっているからこそ、老若男女に支持されているのだと思います。
原作と見比べてほしい!実写映画と漫画の違い22選
先述の通り、『るろうに剣心』は原作漫画と実写映画では数多くの違いがあります。その中でも、個人的に気になる違いをまとめてみました。人によって、これらの改変の良否は違うかもしれませんが…。あなたの気になるところと、以下の事柄をぜひ照らし合わせてみてください。
映画未鑑賞の方の閲覧はご注意ください。
映画『るろうに剣心』と漫画の違い
鵜堂刃衛×武田観柳の2つの事件が同時に発生する
原作でも序盤に巻き起こる2つの事件の合わせ技!なのに、まったく違和感がありません。漫画では御庭番衆や高荷恵を登場させるためだけの小者扱いだった観柳も、香川照之さんが演じることによって抜群の存在感を放っていました。また、ラスボス感漂う刃衛のカッコ良さも実写が優勢!中ボス・大ボスとたて続けに悪役を撃破する展開は、テンポもよく良い改変だったかと思います。
弥彦や左之助の過去のエピソードがない
剣心の仲間として、原作でも序盤から登場する弥彦と左之助。"るろ剣"ファンなら、この2人の存在は欠かせないでしょう。しかし、原作ではしっかりと語られている彼らのバックボーンは、実写では大幅にカット。特に、弥彦は戦力としてバトルに参加するシーンすらありません。実際、子役に上級者向けの剣術を求めるのも酷な話かもしれませんが…。齢10歳にして、十本刀・刈羽や縁の仲間・乙和を倒す実力を持つ弥彦が、映画では見せ場0なのは少々寂しいです。
斎藤一が登場する
原作では、志々雄との対決をメインに描いた【京都編】の手前で登場するはずの斎藤一。実写映画では、「人斬り抜刀斎」と名乗る不審人物の事件絡みで対峙したり、観柳邸での闘いにも参加しています。原作7巻の見せ場である剣心との決闘も、実写ではかなりアッサリしたもので終わっています。
隠密御庭番衆&四乃森蒼紫が出てこない
原作での観柳邸での見どころといえば…!御庭番衆のメンバーとの闘いや彼らの最期の瞬間ですよね。しかし、実写映画ではそのエピソードは一切なし!御庭番衆の頭目である四乃森蒼紫も登場しません。蒼紫ファンとしては、この未登場はかなりガッカリしてしまうかも…?
外印と戌亥番神が観柳の仲間になっている
彼ら2人を演じているのは、なんと綾野剛さんと須藤元気さん。物語の中盤に剣心たちと迫力ある戦闘シーンを繰り広げていますが、実は外印と戌亥番神は原作では縁の仲間として【人誅編】に登場しています。しかも、見た目も全然違う…!おそらく、ただ名前だけ拝借したのかもしれません。
映画『るろうに剣心 京都大火編』と漫画の違い
剣心が京都へと旅立つシーンが昼間
原作漫画やアニメでも有名なこのシーン。特にアニメでは、夜の川辺で蛍が舞う中お別れを告げられ、号泣する薫が印象的でした。しかし、実写ではお別れをするシーンは昼間。さらに薫は泣くこともなく、呆然と剣心を見送るのみでした。先に京都に旅立った剣心との感動の再会も映画は意外とあっさりしていた気が…。
操が京都訛りになっている
原作やアニメでは標準語をしゃべっていた操。しかし、実写では京言葉を話しています。たしかに操は京都出身なので訛っているのが正しいのでしょうが、漫画もアニメも知っている人は少々気になるポイントなのでは。
蒼紫が志々雄の仲間にならない
映画の第1作目で登場しなかった蒼紫が本作で出てくれたのは嬉しいんですが…。しかしその影響からか、急に登場した蒼紫が剣心にあそこまで執着する理由がイマイチわかりづらい印象に。本作での蒼紫は、志々雄の事件とは別のところで剣心を狙う存在になっています。
京都大火のときに薫が宗次郎に拉致される
薫が敵に拉致されるのはこれが初めてではありませんが…。ここで拉致されてしまったことによって、薫は実写では刃衛、宗次郎、縁と、毎回ラスボス級の相手に捕まるという方程式を完成させてしまいました。本作では、薫を連れ去って剣心をおびき出すという展開は原作同様なくても良かったのでは?
剣心と薫が海に投げ出される
上記の理由から、「京都大火編」のクライマックスは甲鉄艦「煉獄」でのバトルでした。志々雄側の敵との乱戦の末、方治の手によって嵐の海に落とされてしまう薫。それを助けようと続けて海に飛び込む剣心。夜の大海原に投げ出されて行方不明になった2人の行く末は…次作で!という流れはちょっとだけ不完全燃焼になりました。とはいえ、この前振りがあったからこそ「伝説の大火編」での最後の決戦が盛り上がったのは言うまでもありません。
映画『るろうに剣心 伝説の最期編』と漫画の違い
左之助が「二重の極み」を会得しない
原作ファンが一番落胆した部分かも?!左之助の強さと魅力を際立たせる究極の技「二重の極み」を実写映画では悠久山安慈から伝授されません。そのため、左之助VS安慈のバトルもただの殴り合いに。いや、むしろ少しプロレスっぽいかも。CGなしであの技を再現するのは難しかったのかもしれませんが、やはりやってほしかった…!
蒼紫が修羅になった理由がわかりづらい
原作では、蒼紫率いる隠密御庭番衆と剣心の間には濃いエピソードがありました。それは、観柳に雇われた御庭番衆たちと剣心が対決し、蒼紫以外のメンバーは観柳の暴走によって命を落とすということ。この出来事があるからこそ、蒼紫が剣心を倒すことに執着する理由が自然と腑に落ちるんです。しかし、映画ではその出来事自体が省略され「幕末に死んだ仲間のため、当時最強だった人斬り抜刀斎を倒す」という想いから、剣心に勝負を挑んでいます。よって、映画で観る蒼紫は…少々身勝手な人物に見えるかもしれません。
葵屋への襲撃がなく、十本刀の存在感が薄い
弥彦や薫、そして比古清十郎の活躍が見どころな十本刀による葵屋の襲撃。これが、映画では割愛されています。それだけでなく、宗次郎・方治・宇水・安慈・張以外の十本刀は、誰が誰なのかがわからないくらい存在感が薄いです…。宇水や安慈も原作ほどの強さを見せず、意外とあっけなく倒されてしまいました。
志々雄に3人(剣心・蒼紫・斉藤)で一気に攻撃をしている
これは…良いのでしょうか(笑)最後の志々雄戦で一対一のバトルを交互に挑むのならともかく、剣心側は一斉に志々雄を攻撃!それを楽しそうにいなし、反撃を繰り返す志々雄が本当に強かったです。例の火傷による後遺症(タイムリミット)がなければ、剣心でも歯が立たなかったのでは…?恐ろしい男です。
映画『るろうに剣心 最終章 The Final』と漫画の違い
冒頭で縁が警察に捕まる
当時の日本と中国の歴史上の立場を再現するためか、志々雄真実に鋼鉄艦を売り、警察隊に暴行を加えたことで捕まった縁でしたが、すぐに警察から釈放されました。その直後に「人誅」の作戦を実行してしまうので、このまま警察で拘束できていたら、そもそも事件は起こらなかったのではと思わずにいられません。
剣心たちが暮らす町が壊滅状態になる
赤べこ、前川道場、警察署長宅への襲撃はそのままですが、原作ではそれ以上市民に危害を加えることはありません。しかし、実写では縁たち一行は無差別な破壊や爆撃を繰り返し、町の多くの建物が倒壊。私怨によって住民が巻き込まれ、町が壊滅するという悲劇的な状況になってしまいました。なにも関係のない住民が不憫で仕方ないです…。
薫の死亡シーンがない
原作で最も読者に衝撃を与えた伝説のシーン。それが…ない!!!おそらく「それを見た剣心が廃人になり、その後復活をする」という流れを描く時間が足りなかったため、泣く泣くカットされたのかもしれません。でも!このシーンがあるか、ないかは、原作ファンにはかなり大きいのではないでしょうか。神谷道場に現れた縁が、肩に何か大きいものを抱えていたので期待したんだけどな…(笑)
縁のアジトに剣心が単身で乗り込む
原作では縁のアジトは孤島にあったため左之助・弥彦・斉藤・蒼紫・操などの仲間を引き連れて舟で向かうのですが、実写では剣心が単身で乗り込みます。最初は四面楚歌で闘う剣心でしたが、次第に警察隊を率いる斉藤や、御庭番衆を連れた操、そして満身創痍の左之助が助けにやってきます。「ピンチに仲間が助けに来る」という少年漫画らしい展開でしたが…左之助があまりにも活躍しないので、少々ビックリしました(笑)
瀬田宗次郎が登場する
今回の最大のサプライズ!まさかの…宗次郎が登場!しかも、敵の上海マフィア側で登場したのにも関わらず、出会って1分で剣心を手助けしてくれました。公私ともに仲の良い佐藤健さん×神木隆之介さんの息のあった共闘は、まさに奇跡の名シーン。原作漫画でも観ることができないので、ファンは絶対に見逃せませんよ。
映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』と漫画の違い
新選組・沖田総司との闘いがある
原作でも沖田総司は登場していましたが、斉藤一と少しだけ絡む程度で剣心との交流は一切ありませんでした。しかし、映画では歴史的にも有名な「池田屋事件」の日に剣を交えることに。逆刃刀ではなく真剣を手にして命を奪い合う殺陣のシーンは、他にはない緊張感が漂っています。
剣心の頬に巴が故意に傷をつける
原作では、巴が持っていた懐刀が剣心の頬に偶然当たって傷がついたような描写でした。しかし、実写では息を引き取る前に巴が剣心の頬に懐刀を当てて、あえて傷をつけています。実は、この展開はOVAでも同様の演出になっているんです。その巴の行動の意味は観る人の解釈に委ねられるものの、原作よりこちらの方が「腑に落ちる」と感じる人が多いようです。
巴の最後の日記の内容
原作では、巴の日記を読んで過去に剣心が斬った男が巴の許嫁だったことに気づくのみでした。しかし、映画ではその事実を連絡係の飯塚が明かしています。また、映画の巴の日記には、明確に剣心への強い想いが綴られています。
あの人は、わたしの幸せを奪った人。そして、もうひとつの幸せをくれた人。
あの人は、これから先も人を斬り、けれどさらにその先、斬った数より大勢の人を必ず守る。ここで決して死なせてはならない。私が必ず 命に代えても 守る。
この巴の想いに触れたとき、切なさで視界が滲んでしまいました。原作よりも深掘りされた巴の剣心への愛。キャラクターの心情の表現は、漫画よりも映画の方が一枚上手です。
令和に新しい『るろ剣』アニメが復活!
"るろ剣"ファンの人たちに朗報です。なんと、『るろうに剣心』新アニメプロジェクトの始動が発表されました!つまり、また新しいビジュアルで"るろ剣"を楽しむことができるんです。まだまだ詳細は明かされていませんが、おそらく平成初期に放送されていたアニメとはまったく違った声優陣やキャラクターデザインになる予感。最近、過去の名作アニメの復刻が続く流れですが、その中でも"るろ剣"は多くの人が注目しているはずです。放送時期などの続報を一緒に待ちましょう!
まとめ
実写映画『るろうに剣心』シリーズを大特集しました。
少年漫画を映像化した作品の中でも屈指の人気を誇り、「実写化唯一の成功例」とも評される本シリーズは、間違いなく日本を代表するアクション映画の1つでしょう。
レベルの高い殺陣だけでなく、低姿勢で駆け抜ける。壁を蹴って飛ぶ。衝撃で吹き飛ばされる。といった激しい動きも、主演の佐藤健さん自身がすべて演じているというから驚きです。もちろん、彼以外のキャストも自ら激しいバトルシーンに挑んでおり、そのアクロバティックな動きに毎回思わず感嘆の声が漏れてしまいます。本格アクション映画が好きな人でも十分に満足できる映画なので、漫画原作だと食わず嫌いせずにぜひ多くの人に観ていただきたい!
また、『るろうに剣心』の物語をもっと深く理解したい人は、実写にプラスして原作漫画の読破も不可欠です。漫画では、剣心以外のキャラクターの行動原理が細かく丁寧に描かれていて、仲間との絆や個性豊かな悪役たちの魅力をたっぷりと味わえます。原作も実写も、どちらも一長一短。どちらも見比べて『るろうに剣心』の面白いところの良いとこどりをして楽しむのが、一番のおすすめです。
『るろうに剣心』を実写映画から観るか。原作漫画から読むか。あなたはどちらから楽しみますか?
▼映画や原作の続き:新章【北海道編】ライティング担当 : momo山梨県在住、30代の2児の母。テレビはドラマ・アニメ・バラエティを観ることが多い。ドラマなら恋愛・仕事・サスペンス、漫画やアニメならラブコメ・スポ根・青春・SFが好みだが、総じて"泣ける系"のジャンルにも弱い。特に30代に突入してからは若者の青春群像劇でたいてい号泣している。気になる映像化作品をチェックするときは、映画を観てから小説(漫画)を読む派。ゲームも好きだが、最近は息子と一緒にポケモンばかりやっている。 |