- 2019/07/03
- 映画・ドラマ
映像化不可能と言われた『蜜蜂と遠雷』が実写化!原作のおさらいと気になるキャストは?
【2019年10月4日公開】直木賞&本屋大賞ダブル受賞という快挙を成し遂げた恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』がまさかの実写化!「映像化不可能」と言われた本作、気になるキャストをまずはチェック。青春と音楽が融合した原作小説の魅力についても、余すところなくご紹介します!
直木賞&本屋大賞受賞作『蜜蜂と遠雷』の実写映画化が決定!
直木賞&本屋大賞をダブルで受賞するという史上初の快挙を成し遂げた、恩田陸さんの傑作小説『蜜蜂と遠雷』が、なんと2019年10月4日に実写映画化されることが決定しました!
本作は、国際ピアノコンクールを舞台に、世界の頂点を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦と成長を描いた青春群像劇です。天才・秀才揃いのピアニストたちが世界最高峰の熾烈な争いを繰り広げるゆえに、「映像化不可能」と言われていた作品ですが、まさかの実写映画化が決定。恩田ファンである私も、このニュースにはとても驚かされました。
原作ファンが多い本作のことですから、「キャストはどうなるの?」「原作のあのシーンはどうやって演奏するんだろう?」と、やきもきしている人も多いのではないでしょうか。この秋公開の映画情報と、原作小説の魅力を余すところなくご紹介します!
映画『蜜蜂と遠雷』の気になるキャストは?超豪華メンバーが話題!
さて、まず気になるのは何といっても個性豊かなキャラクターを演じる俳優陣ではないでしょうか。恩田作品は、一般的に美男美女が多いのが特徴。否応なくハードルが上がってしまいそうですが、そんな主役である4人にキャスティングされたのは果たして…?
登場人物 | キャスト | キャラクター紹介 |
---|---|---|
栄伝 亜夜(20) | 松岡 茉優 | 天才少女として名をはせたものの、マネージャーでもあった母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった女性。一度は音楽の世界から離れるも、音大の推薦入学を機に再び表舞台に上がってきた。ただし本人はあまり乗り気ではない。 |
高島 明石(28) | 松坂 桃李 | 音大卒業後、音楽の道には進まず楽器店で働くサラリーマン。愛する妻子もあり仕事も順調だが、どうしても夢を諦めることができない。今回出場年齢ギリギリで最後のコンクールに挑むことを決意。誠実な人柄で周りから好かれている。 |
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(19) | 森崎 ウィン | フランス人の父親と日系三世ペルー人の母親を持つ。現在はアメリカのジュリアード音楽院に在学中。自他共に認める「天才」で、高身長とその甘いマスクから「ジュリアードの王子様」と呼ばれる。日本にいた頃は、亜夜と同じピアノ教室に通っていた。 |
風間 塵(16) | 鈴鹿 央士 | 異端児。養蜂業を営む父親に連れられてヨーロッパ各地を転々としている少年。旅先でピアノを見つけては自由気ままに弾いていたところ、ピアノ界の大御所ホフマンに見出される。形式にとらわれない野生的な演奏は、審査員の賛否を巻き起こす。 |
ピアノから離れてしまった天才少女・亜夜を演じる松岡茉優さんは、今大人気の女優さんですね!2017年の初主演映画『勝手にふるえてろ』では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞、2018年の『万引き家族』では、亜紀役で優秀助演女優賞を受賞したことも記憶に新しいのではないでしょうか。実際にピアノを習っていたという松岡さん。熱い思いを内に秘めた少女をどのように熱演してくれるのか楽しみです。
今回キャラクターの中で唯一「天才」ではない明石を演じる松坂桃李さん。個人的にはとても意外なキャスティングでした。私の中では、本作の明石はもう少し生活感のあるくたびれた男性という印象が強かったので、好青年のイメージの強い松坂さんとは真逆ではないか?と(笑)でも、予告編を観て明石そのままだったことにびっくり。本作の中で最も感情移入しやすいキャラだけに、抑えた演技を期待しています!
森崎ウィンさんの貴公子然とした風貌は、まさにマサルのイメージにぴったりです。ご本人は生粋のミャンマー人で、ミャンマー語、英語、日本語を話せるトリリンガル。スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』でダイトウ役に抜擢され、ハリウッドデビューを果たしたほどの実力派俳優です。本作で特に女性たちに人気のある「ジュリアードの王子様」をどのように演じてくれるのでしょうか。
最も驚いたのは、本作のキーマンとなる風間塵役の俳優、鈴鹿央士さん。なんとお芝居の経験がない新人らしいのです。女優の広瀬すずさんに発掘された逸材ということで話題になり、2018年には「メンズ・ノンノ」モデルオーディションでグランプリも獲得しています。天真爛漫で野性味あふれる少年という難しい役柄ですが、このデビュー作が後々鈴鹿さんの代表作となると良いですね!
映画『蜜蜂と遠雷』の詳細情報
公開日 | 2019年10月4日 |
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監督・脚本・編集 | 石川慶(代表作:『愚行録』) |
原作 | 『蜜蜂と遠雷』恩田陸 (幻冬舎刊) |
キャスト | 松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士 他 |
ピアノ演奏 | 河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央 |
製作 | 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会 |
配給 | 東宝 |
公式サイト | https://mitsubachi-enrai-movie.jp |
実写映画化だからこそできた!本作の見どころはココ!!
キャストの次に気になるのは、映画『蜜蜂と遠雷』の見どころですよね!前述したように、本作は「映像化不可能」と言われてきました。原作者・恩田陸さんは、今回の映画化にあたって次のようにコメントしています。
正直に言うと、ずっと半信半疑であった。そもそも、この小説は絶対に小説でなければできないことをやろうと決心して書き始めたものだからだ。自分で設けたそのハードルの高さに、書いているあいだ何度始めたことを後悔したことか。苦労の甲斐あって、なんとか目標は達成できたと思う。だから、映画化の話があった時は、なんという無謀な人たちだろうとほとんど内心あきれていた。
原作小説を読むと分かるのですが、本作は青春群像劇である以前に空前絶後のエンターテイメントピアノ小説であり、「これ本当に映像化できるの?」というシーンが数多く出てくるのです。
本作でスポットが当てられる4人、亜夜・明石・マサル・塵はそれぞれ天才型・努力型という違いはあれど、世界の頂点を目指すほどの実力を持ったピアニストたちです。「少しピアノが上手い」ぐらいでは、観客の目はごまかせませんよね。そこで、映画『蜜蜂と遠雷』で奏でられる”ピアノの音”を担当することになったのが、なんと日本を代表するピアニストの皆さん!
松岡さん演じる<栄伝亜夜>の演奏は、ヨーロッパの数々のコンテストで優勝・入賞を重ねる実力派のソリスト河村尚子さん。松阪さん演じる<高島明石>には、国内外のさまざまなオーケストラや、スケーターとの共演で話題となっている福間洸太朗さん。
森崎さん演じる<マサル・カルロス・レヴィ・アナトール>の演奏は、日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれ、2018年4月からNHK-FM「リサイタル・ノヴァ」支配人としても活躍する金子三勇士さん。そして鈴鹿さん演じる<風間塵>は、弱冠18歳で国際ピアノコンクール優勝経験を持つ天才ピアニスト藤田真央さん。
まさに日本国内外の第一線で活躍しているピアニストとの超豪華なコラボレーションは、この映画でしか実現し得ないのではないでしょうか?!
本作では、宮沢賢治の詩『春と修羅』をテーマとしたオリジナル楽曲が登場します。物語の進行上、鍵となっている曲でもあります。こちらの作曲を担当したのは、現代音楽をリードし国際的に高く評価されている作曲家・藤倉大さん。『春と修羅』をピアニストたちがそれぞれの解釈の上で弾くという「個性が出る」楽曲を、どんなイメージに仕上げているのか非常に楽しみですね!
原作小説『蜜蜂と遠雷』の魅力とは?
恩田陸さんの原作小説『蜜蜂と遠雷』の魅力とは何なのでしょうか?それは、最初から最後まで「音楽を活字で表現」したことの素晴らしさだと思います。当然本を読むだけでは、音楽は聴こえてきませんよね。でも本作は、まるで行間から音楽が流れてくるかのような錯覚に陥るのです。
また、4人のコンテスタントの背景を丁寧に掘り下げているのも特徴。各登場人物に感情移入ができ、それぞれが抱える悩みや葛藤にいやがうえにも共感してしまうのです。天才、神童と呼ばれても彼らはやはり人間です。緊張もするし、絶対に負けたくないという競争心もあります。彼らのピアニストとしての成長はもちろんのこと、人間としても一回り成長した姿に最後は温かな涙が流れるはずです!
補足ですが、「実際に小説の中で登場したピアノ曲を聞いてみたい」という人に朗報です!『蜜蜂と遠雷 その音楽と世界』というCDが発売されています。実際に世界最高峰のピアニストたちによる演奏が収録されており、こちらを聞きながら小説を読むというのもまた良いものです。本CDには、書き下ろし短編小説として風間塵のスピンオフ作品『伝説と予感』が所収されているので、ファンとしては嬉しい限りですね!
直木賞&本屋大賞ダブル受賞の『蜜蜂と遠雷』は、ピアノやクラシックに全く興味がない人でも楽しめる作品です。恩田陸作品特有のもやもや感(それもまた魅力のひとつですが)もなく、非常に読後感が良い傑作小説。映画を観てから小説で補完するのも良し、小説を読んでから映画を観て自分のイメージとすり合わせるのも良し。あなたはどんな楽しみ方をしますか?
まとめ
さて、ここまで『蜜蜂と遠雷』の映画情報、原作の魅力をたっぷりお伝え致しましたがいかがでしたか?音楽というものを真正面から描き切った本作は、人々の頭にどんな鮮やかなメロディーを残してくれるのでしょうか。キャスト、楽曲すべてに妥協を許さない製作陣のこだわりは、傑作映画になる予感を秘めています。
映画『蜜蜂と遠雷』は、2019年10月4日より公開予定です!ぜひ映画館の迫力あるスクリーンで「本物の音楽」を体感しましょう!!