- 2021/08/17
- 2021/02/26
映画エヴァンゲリオンの見る順番を解説!新旧の違いやあらすじも総復習
エヴァ初心者&シン・エヴァを見たい人は必見!新旧の劇場版のあらすじを振り返りながら、エヴァ映画の見る順番をご紹介します。さらに、エヴァの世界観の解説や考察、漫画との違いなども徹底検証。2021年3月8日公開『シン・エヴァンゲリオン』のネタバレなしレビューもあり!
今さらだけど…「エヴァンゲリオン」とは?
"エヴァ"の愛称で親しまれ、今や日本アニメのアイコン的な存在ですが、そもそもの始まりをご存知ですか?
エヴァが最初に世間に知れ渡ったのは、1995年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』です。夕方に放送されていたこともあり、実は放送当時はそこまで話題になっていませんでした。しかし、悲壮感漂うストーリーと心をえぐる残酷な展開、そして謎が謎を呼ぶ終盤の難解な演出などがじわじわと話題になり、深夜の再放送が決め手となって大人気に。大人のアニメファンを中心に、社会現象になるほどのムーブメントを巻き起こしました。
完全に子ども向けではない、このアニメ。これが夕方のテレビ東京で放送されていたなんて…。今ではちょっと信じられないですよね。
令和になった今でも、スマホゲームやグッズなどで多くのコラボ&タイアップを果たしています。テレビアニメの主題歌『残酷な天使のテーゼ』も、カラオケランキングで常に上位に君臨し続けているので、エヴァを観たことがない人からの知名度も抜群です。
そんな人気作品であるが故に、未だに議論されるのがエヴァの物語の謎。テレビシリーズ&旧劇場版で1997年に一度物語は完結したものの、その難しすぎる内容に多くの人が(置いてけぼりになりつつ)自己解釈をしてなんとか物語を補完させていました。
そして、その10年後。エヴァの生みの親である庵野秀明監督が再び<新シリーズ>を制作したことで、新たなエヴァ作品が始動したのです。それが、2021年に完結編が公開された"新劇場版"の4部作。この映画をもって、エヴァは本当に完結するのか。多くのファンが固唾を呑んで見守っています。
【見る順番】エヴァンゲリオンの作品一覧
では、ここでは過去に放送・公開された順番にエヴァンゲリオン作品を振り返ってみましょう。基本的にはエヴァは<旧シリーズ>と<新シリーズ>の2つに別れています。
エヴァンゲリオンシリーズを順番に追っていきたい場合は、放送&公開順に観るのが最もおすすめです。旧シリーズ | 1.テレビアニメ |
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『新世紀エヴァンゲリオン』 放送期間:1995年10月~1996年3月(全26話) |
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2.旧劇場版 | |
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新シリーズ | 3.新劇場版 |
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たまに<新シリーズ>である"新劇場版"は<旧シリーズ>の内容をそのままに映像などを綺麗にリメイクしたものだと思っている人がいます。しかし、それはまったくの勘違い!実は、これらの2つのシリーズは全然別物なんです。
物語全体の内容を理解するには片方だけ観るのもひとつの手です。しかし、エヴァの魅力を最大限楽しむには、新旧の両シリーズを見比べるのは不可欠!新旧の違いを知ることで、エヴァの面白さは間違いなく倍増します。
相関図&登場人物を紹介
碇シンジ
(CV:緒方恵美) |
EVA初号機パイロット
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本作の主人公。幼いときに母を亡くし、知り合いの家に預けられていたが、14歳のときに父・ゲンドウにNERV(ネルフ)へと呼び出される。初号機へ乗ることに強い恐怖心を抱いているが、周囲の人間に助けられ、何度も使徒と対峙していく。気弱な性格だが、料理上手で面倒見も良い。下宿先のミサトの家でも家事全般をこなしていた。初号機の他にも第13号機にも搭乗したことがある。 |
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綾波レイ
(CV:林原めぐみ) |
EVA零号機パイロット
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本作のヒロイン。基本は無表情で言葉も少なく、周囲とコミュニケーションを取ることなく孤立していることが多い。家も廃墟のようなアパートで一人暮らしをしている。当初はゲンドウにのみ心を開いていたが、シンジとの出会いにより徐々に周囲にも自分の感情を伝えるようになる。しかし、第10使徒との交戦を境に、彼女の存在自体が大きな謎に包まれることに。 |
式波・アスカ・ラングレー
(CV:宮村優子) |
EVA2号機パイロット
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本作のもう一人のヒロイン。気が強く自信家。排他的な性格で、来日してシンジたちと同じクラスになってもしばらくは他人を見下す態度を取る。しかし、ミサトの家での同居生活やシンジやレイとの交流で「他人と触れ合って生きることも悪くない」と態度を軟化させていた。『Q』では「エヴァの呪縛」の影響で14歳のままの容姿を保っている。2号機の他にも3号機にも搭乗したことがある。 |
真希波・マリ・イラストリアス
(CV:坂本真綾) |
EVA8号機パイロット
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新劇場版『破』で初登場。ネルフユーロ支部に所属し、日本語と英語が堪能だが、詳細は不明。EVAに乗ることが楽しい様子で、敵との戦闘中に昭和の歌謡曲を口ずさむことも。シリアスなシーンでおちゃらけた態度を取っているが、意味深な発言も多い。8号機の他にも仮設5号機、2号機にも搭乗したことがある。 |
葛城ミサト
(CV:三石琴乃) |
特務機関ネルフの戦術作戦部作戦局第一課に所属。職務中は厳しい口調で戦闘指揮を取っているが、シンジやアスカを積極的に自分の家に住まわせるほど情が深い。よく喋る明るい性格な一方、家では自堕落で冷蔵庫にはほぼビールしか入っていない。食事もシンジに作ってもらっている。シンジが信頼する大人の一人だったが『Q』では性格が一変。反ネルフ組織「WILLE(ヴィレ)」では艦長を務めている。 |
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赤木リツコ
(CV:山口由里子) |
ミサトの同僚でネルフ技術開発部技術局第一課に所属。エヴァンゲリオン開発の総責任者でもある。合理的な性格なためミサトと意見が対立することもあるが、基本はミサトの想いを汲んだり理解を示すことが多い。『Q』でもミサトと共に行動しており、ヴィレの副長として、ヴンダーの機体やシステムを統括している。 |
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加持リョウジ
(CV:山寺宏一) |
ネルフの首席監察官。ミサトとリツコと大学時代からの知り合いで、ミサトとは深い関係だったような発言も…?北極のベタニアベースで謎の物体を持ち帰り、ゲンドウに横流しするという怪しい行動を取っており、まだまだ謎の多い男。『Q』ではまったく登場していないため消息が不明に。 |
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碇ゲンドウ
(CV:立木文彦) |
シンジの父親で特務機関ネルフの最高司令官。数年会っていなかったシンジに当初冷たい態度を取るが、亡き妻・ユイの面影を重ねるレイには柔和に接している。使徒を倒すためには手段を選ばない命令も多いが、その裏では「人類補完計画」を遂行しようと目論んでいる。その計画の真相は、未だに明かされていない…。 |
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冬月コウゾウ
(CV:清川元夢) |
ネルフの副司令官。だが、戦闘指示を出したり、部下と共に職務を行うことはほぼなく、ゲンドウと行動を共にすることが多い。ゲンドウが秘密裏に進めている「人類補完計画」の全貌を知っているような口ぶりも。実はシンジの母・ユイの大学時代の教授であり、幼い頃のシンジとも面識があった。 |
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渚カヲル
(CV:石田彰) |
Mark.06パイロット
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すべてが謎に包まれた少年。月面で目を覚まし、ゼーレと会話をするシーンもあるが…。シンジのことを以前から知っているような口ぶりだが、シンジ本人とは『Q』で初めて接触している。孤独に苦しむシンジに優しい言葉を投げかけ、シンジへの絶対的な信頼を口にすることも。Mark.06の他にも第13号機にも搭乗したことがある。 |
【映画だけの順番は?】新旧のエヴァ映画のあらすじ
複数の映画が制作されているエヴァの映画。基本は公開順で観るのが定石ですが、たくさんありすぎて、まずはどれを観れば良いのかわかりづらくなっているのも事実。自分がどれを鑑賞済みだったのかを思い出すことも含め、簡単なあらすじと共に新作であり完結編である『シン・エヴァ』を含めた劇場作品をご紹介します。
①【旧劇場版】『エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』(1998年)
※旧劇場版は、この『エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』を1本だけを観ても『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の2本を観ても、内容はほぼ同じです。
あらすじ本作は、初のエヴァの映画作品『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(1997年)と2本目の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997年)の両方を組み合わせて再構成された3本目の映画です。2部構成になっていて、前半の『DEATH(TRUE)2』は、追加カットはあるものの主にテレビシリーズの総集編になっています。アニメをすべて鑑賞済みの人は、ここはあまり観る必要はないかもしれません。逆に今からアニメをすべて観ようとすると全26話あって大変なので、サクッとテレビシリーズを振り返りたい人はこの前半部分を観ればOKです。そして、テレビアニメでの「おめでとう」で有名な最終回を劇場版で改めてやり直したのが、後半部分の『Air/まごころを、君に』です。テレビシリーズの弐拾伍話と最終話を作り直した内容のため、「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの真のラストを描いているといえます。<旧シリーズ>の内容をこの1本ですべて網羅することができるので、まずはエヴァの原点を知る上でこの作品は押さえておきましょう。
②【新劇場版】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (2007年)
あらすじこの『序』が公開されたときには「映像が綺麗になったリメイクじゃん」と多くの人が口にしました。それもそのはず。多少異なる箇所はあるものの、本作はテレビアニメの第1話~第6話とほぼ同じストーリーが進行していきます。とはいえ、テレビ版+旧劇場版で完結したはずの「新世紀エヴァンゲリオン」を再構築(リビルド)して制作されたまったく新しい作品であることは間違いありません。その証拠にタイトルが従来の『新世紀エヴァンゲリオン』から『ヱヴァンゲリヲン』に変更されています。この<新シリーズ>という位置付けの新劇場版は、当初から全4作品であると言及されており、本作はその第1作目です。アニメと同じといっても、デジタル撮影と3DCG技術の進歩により、EVAと使徒の戦闘シーンの迫力と臨場感が格段に向上!すべてのシーンも一から描き直されているので、アニメを観たことがあっても、飽きずに新感覚で観ることができます。<旧シリーズ>と見比べながら、ちょっとした小さな変化を探し出すのが本作の醍醐味です。
③【新劇場版】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年)
あらすじ新劇場版の第2作目。『序』がアニメ版の多くを踏襲していたので『破』もそうなのかな…と思っていたら、冒頭からいきなり新キャラクターである真希波・マリ・イラストリアスが登場。さらに畳みかけるように人気キャラクターであるアスカも、名前を変えてやってきます。キャラクターたちの性格も旧劇場版とは違う点がハッキリしていて、ほのぼのした日常的なエピソードも多め。キャラクターの魅力が光るストーリーに心を和ませていると…原作でも視聴者の心をえぐった3号機の事件が。ここで搭乗するパイロットがアニメ版と大きく異なっているため、初見は鳥肌が立ったことを覚えています。これを機に物語は暗転し、誰も観たことのなかった予想外の展開に。途中、物語が分岐するようにアニメとも違う方向になだれ込んでいくので、一秒も目が離せません。そして、本作のラストではまさかのサードインパクトが…。次作への期待が大きく膨らむ幕引きに、ワクワクが止まらなくなるはずです。
④【新劇場版】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q (2012年)
あらすじ『序』『破』の流れを一気に断ち切った、まったく新しいエヴァの物語がスタート。正直、これが本当に前作『破』の続きなのか…?と、最初は困惑してしまいました。状況説明もほとんどないまま、前作までに築き上げてきた各キャラクターたちとの絆や関係性も、本作ですべてリセット。多くの人が、主人公のシンジと同じような立場で「どういうこと?」という気持ちで映画を鑑賞していたことでしょう。特に本作は、意味深なセリフが何度も続くのに、そのセリフの意味や真実はまったく説明されないケースが多いです。だからこそ「考察しがいがある!」と腕を鳴らす人もいるかと思いますが、頭を使わずにストーリーを楽しみたい人には結構ハードルが高いかも。ただ、アニメ版・旧劇場版を観ている人にとっては、想定内な展開かと思います。でも、この映画のタイトルはあえて『急』ではなく『Q』。(これは私の個人的な考察ですが)つまり、私たちにquestion(クエスチョン)を投げかけるための作品だからこそ、明かされぬ謎が多いのかも。しかし、ここで「ワケがわからん!」と匙を投げるのは時期尚早!この『Q』を観て苦しい想いをした人ほど、次作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観たときの感動が2倍、3倍に膨らみますよ!完結編で号泣したい人ほど、この作品はじっくりとお楽しみください。
⑤【新劇場版】『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(2021年3月8日公開)
あらすじさて、世界中のエヴァファンが注目する新劇場版の完結作。当初公開日は2020年6月27日だと発表されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期に。その後、2021年1月23日に公開日が決定したとのニュースが流れたのですが、公開日直前に日本国内での緊急事態宣言を受け2度目の公開延期となりました。…コロナウイルスが憎い!!そんな苦難を乗り越え、ようやく2021年3月に無事に劇場公開を迎えました。興行収入は100億円を突破し、今までのエヴァシリーズ史上最高記録を樹立しました。かくいう私も、劇場に2回足を運んでいます(笑)肝心の内容にはあえてあまり触れませんが、映画サイトなどのレビューを観ても好意的な意見が多く、多くの人がこの幕引きに満足していることでしょう。個人的には、全員が納得するようなラストなんて、エヴァには存在しないような気がしますが…(笑)本作を観終わったあとは、あなたも「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン」と言いたくなるはずです。
劇場公開の終了から1ヶ月もしないうちに、アマゾンプライムビデオ限定で『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の配信が始まりました!なんて贅沢な…!「映画館に行くほどのファンではないが、話題になっているから気になっていた…。」という人は、この機会をお見逃しなく!
※プライム会員特典での視聴可能期間は変動します。予告なく配信が終了したり、有料視聴になっている場合があります。旧劇場版・新劇場版の7つの大きな違い
新旧はシリーズが違うので、当然異なる部分がたくさんあります。細かなところを挙げるとキリがありませんが、大きな違いはこれら7つです。
1 | そもそもストーリーが別物 |
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先ほどの作品一覧にもあった通り、エヴァンゲリオンシリーズの映画は、旧劇場版が3本、新劇場版は4本制作されています。しかし、これらはどちらも似ているようで似ていない、まったく別の物語です。
旧劇場版 | テレビアニメの最終回をやり直すために制作されたもの。 |
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新劇場版 | テレビアニメ+旧劇場版で完結したストーリーを再構築(リビルド)して制作したもの。リメイクではないため、まったく違うストーリー展開になっているのが特徴的。 |
つまり、メインの登場キャラクターや基本設定に変わりはないものの、新劇場版では『序』『破』『Q』と進むにつれて、まったく観たこともない展開へと転んでいきます。おそらく旧劇場版と新劇場版では、全然違ったラストになることが予想されます。
2 | アスカの名字が「惣流」から「式波」に |
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アニメ版ではお馴染みだった「惣流・アスカ・ラングレー」から、新劇場版では「式波・アスカ・ラングレー」に変更されています。「惣流」に馴染みのある古参ファンは、いまだに「式波」は慣れないかもしれません…。
3 | 新キャラクター【真希波・マリ・イラストリアス】が登場 |
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長年のエヴァファンが一番驚いたのが、新キャラ・マリの登場でしょう。新劇場版『破』の冒頭から登場している彼女ですが、いまだに多くのことが謎のヴェールに包まれています。仮設5号機、2号機、8号機と、どのキャラクターよりも多くのエヴァに搭乗し、劇中でも何かを知っているような発言が多いのですが…?果たしてその真相は。
4 | 使途の名前がない&パイロットの呼称が変化 |
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テレビ版や旧劇場版では「第3使徒サキエル」「第4使徒シャムシエル」などキリスト教やイスラム教で伝承されている天使の名前が付けられていました。しかし、新劇場版では、使徒の名前の設定自体がなくなりました。代わりに作中では「第3使徒」「第4使徒」と呼ばれています。また、テレビ版でよく耳にした「ファーストチルドレン」「セカンドチルドレン」と呼ばれていた14歳のパイロットたちの名前も「第1の少女」「第2の少女」などに変更されています。
5 | 登場する使徒の数&順番が違う |
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旧劇場版と新劇場版では使徒の数が異なります。
テレビ&旧劇場版の使徒 | 全18体 |
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新劇場版の使徒 | 全13体 |
また、姿や形が旧劇場版と同じような使徒がいるものの、そのナンバリングも1つずつ繰り上がっています。(旧劇場版の第3使徒サキエルが、新劇場版では第4使徒として登場するなど。)これらの違いの謎については、未だに明らかにされていません。
6 | シンジの母・ユイの旧姓が変更 |
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シンジの母親の名前は「碇ユイ」ですが、アニメ版では父親のゲンドウの旧姓が六分儀(ろくぶんぎ)で、ゲンドウの方が婿に入り「碇」の姓を名乗っていたはずでした。しかし、新劇場版ではユイの旧姓が「綾波ユイ」であることが判明。つまり、もともとの「碇」の姓がユイではなくゲンドウのものに変更されています。
7 | 海の色が赤い |
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テレビ版では、現実世界と同じく海は青いままであり、旧劇場版のラストで初めて海の一部が赤くなりました。しかし、新劇場版では初めからすべての海が赤く、海洋生物がすべて死滅した状態になっています。そのため、新劇場版のシンジたちは海の生き物をほとんど知らない様子が描かれています。
なぜ人気?エヴァの独特な世界観を解説
どうして多くの人が「エヴァンゲリオン」に夢中になるのか?
それは、唯一無二な独特の世界観と多くの専門用語、そして謎が謎を呼ぶ超展開が多いからではないでしょうか。物語が始まる第1話以前の歴史やストーリーもしっかり作り込まれているだけでなく、さまざまな設定もかなり複雑。それらを深く理解した者だけがわかるキャラクターたちのセリフも多いため、その意味を知るために何度も観たくなるんです。
ここでは、初心者でもエヴァがもっと楽しくなる、覚えておいてほしい基本設定を解説します!(※新劇場版では言及されてないことが多いため、アニメ版の設定も踏襲しています。)
エヴァの世界の始まり
太古の昔、地球に2つの生命の種が飛来しました。使徒を生み出す「アダム」と人類を生み出す「リリス」という謎の生命体です。最初に地球にやってきた「アダム」は使徒(アダムの子)を誕生させて暮らしていましたが、そこに大量の隕石が地球を襲う「ファーストインパクト」が発生。それが原因で「アダム」と使徒は活動を停止し、永き眠りにつくことになります。その「ファーストインパクト」と同時にやってきたのが「リリス」で、「アダム」たちのいない地球で人類(リリスの子)を誕生させ、人の手による文明が次々に繁栄していきました。
セカンドインパクト
知恵を手に入れて科学の力を高めた人類は、その後「アダム」や使徒の存在を知ることになります。それが劇中で登場する組織・ゼーレです。ゼーレは南極で「アダム」を発見し、周辺に研究施設を設けて「アダム」にさまざまな実験を施していたところ、失敗。それが、人類の半数が死滅したと言われている大災害「セカンドインパクト」です。しかし、世間にはこの災害が人的なミスではなく、隕石の落下だと公表されています。
この「セカンドインパクト」の影響で南極の氷がすべて溶け、世界中の海面が大幅に上昇。地球規模で多くの沿岸部の都市が海の中に沈んでしまいました。さらに、地軸変動が起こったことで日本には四季が失われ、常に真夏の気候に変化してしまいます。追い打ちをかけるように「セカンドインパクト」が発端となり世界中で紛争が起こり、東京にも新型爆弾が投下。50万人の命が失われました。この惨劇によって日本は首都を移し、神奈川県箱根に「第3新東京市」とネルフ本部を建設することとなります。新劇場版では、この災害の影響で海が赤く変色し、すべての海洋生物が死滅したとされています。
エヴァンゲリオンの物語は、このセカンドインパクトの15年後の世界から始まります。
使徒
第3新東京市にあるネルフ本部を目指して襲来してくる謎の生命体。形態や能力は個体差があるものの、実は99.98%は人類の遺伝子と同じだとされています。通常兵器では破壊できないATフィールドというバリアを展開できるため、汎用ヒト型決戦兵器であるEVAでしか対抗できません。赤い球体であるコアを破壊されると活動を停止し、体が赤い液体化して崩壊します。使徒はネルフ本部の地下にいる「リリス」と接触することでサードインパクトを起こし、人類を滅亡させることが目的だと言われていますが、その真偽は不明。
エヴァンゲリオン
正式名称は「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」。使徒殲滅を目的に製造されたものです。エントリープラグと呼ばれる筒のようなコックピットをEVAに挿入することで、コックピット内にいるパイロットが操縦できるようになります。パイロットの脳や神経を接続してEVAを動かしているので、使徒の攻撃で受けた痛みもダイレクトに伝わります。基本的に、EVAは電力を供給するアンビリカルケーブルの接続がないと5分で活動限界を迎えてしまいますが、『Q』で登場する一部のEVAは予備バッテリーで充電できるものもあるようです。新劇場版では、「バチカン条約」により一国が保有できるEVAは3機までと制限されています。
特務機関NERV(ネルフ)
国連直属の超法規的武装組織で、日本の神奈川県箱根の地下に位置するジオフロントに本部を置いています。このネルフ本部の真上には、使徒迎撃専用要塞都市である第3新東京市があり、シンジたちは普段はここで生活しています。他にも米国・ドイツ・中国・ユーロ(パリ)などに支部があり、汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」の建造と運用を行っています。人類滅亡の鍵となるサードインパクトを防ぐことが最大の目的であり、国連や日本政府を差し置いて全面的な戦闘指揮を執ることも可能です。『Q』以降は、ゲンドウと冬月以外のクルーは確認できず、大半の人間は反ネルフ組織「WILLE(ヴィレ)」に移って活動しているようです。
人類補完計画
「エヴァンゲリオン」シリーズの最大の謎といえば、この「人類補完計画」でしょう。この計画を秘密裏に進めているのがシンジの父であり、ネルフの最高司令官である碇ゲンドウです。ゼーレの指示により計画を遂行しているようですが、実はゲンドウとゼーレが目指す最終目的はまったく別物のようです。ファンの間でもさまざまな議論を呼ぶ本計画ですが、<旧シリーズ>では「人類を単体の生物へと強制的に進化させる」と言及され計画が実行されていますが…?本当の計画の詳細を知るには『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を観るしかないようです。
新劇場版の考察:新エヴァの4つの謎
ただでさえ難解な「エヴァンゲリオン」シリーズ。特に新劇場版の『Q』の驚きの展開により、多くのファンたちが頭を抱えて考察することとなりました。ファンによる独自の見解がSNSやYouTubeで数多く飛び交う中、エヴァの20年以上のファンである私momoが気になった考察をまとめてみました!『シン・エヴァ』を観る前にまとめたものなので、果たしてこれらの謎が最新作で明かされているのかも注目です!
マリの正体とは
テレビアニメ&旧劇場版にはまったく登場していなかった新キャラ・マリ。だからこそ、新劇場版での華麗なるデビューが大きな話題になりました。<旧シリーズ>にも出てこなかったので、多くのことが謎に包まれているマリですが、実は漫画版『新世紀エヴァンゲリオン』の14巻(最終巻)に登場しているんです。漫画では、1998年に16歳だったマリが大学でシンジの母であるユイと先輩後輩の仲であることが明かされています。漫画は<旧シリーズ>を踏襲している内容だったにも関わらず、最終巻に突然<新シリーズ>のマリが登場したことで、ファンの間でも大騒ぎに。この最終巻発売前に『破』や『Q』は公開済みだったこともあり、マリもアスカと同じく「ヱヴァの呪縛」にかかった存在なのでは?という声が数多く飛び交っています。
エヴァの呪縛
新劇場版『Q』でアスカの口から語られた新たな設定「エヴァの呪縛」。詳細はまったく語られていませんが、歳を取らなくなった現象のことを指すようです。それだけでなく、『Q』の終盤でアスカがこんなセリフを口にしています。
ここじゃ、L結界密度が高すぎて助けに来れないわ。リリン(人間)が近づける場所まで移動するわよ。
これは、アスカやシンジは人間以外の存在になっていることを示唆しているかと思われます。『破』では、EVAパイロットがEVAに汚染されたときに瞳が光る演出も追加されているため、それも関係あるのでしょうか…?
予告が本編とまったく違う
新劇場版ではテレビアニメ版のオマージュとして、次作の30秒予告が本編後に流れます。アニメから観ているファンにとっては、アニメと同じBGM&ミサトの「サービス!サービス!」のセリフを聴けるので、かなり気分が高まります!
しかし、ここで議論になったのは、その予告映像の内容です。特に注目されているのが『破』で流れた『Q』の予告映像と『Q』本編の内容はまったくの別物であること。予告を観て『Q』の内容を予測していたファンは、本編とのあまりの違いに大きな衝撃を受けたはずです。この予告では『破』から『Q』の空白の14年間のことが語られてるようですが…。おそらくこの予告編30秒で『破』から『Q』への繋がりを説明しているという見方が強いようです。「この14年間の出来事を詳しく知りたいのに、本編で観せてくれないの!?」と地団太を踏みたくなりますよね…。その気持ち、わかります(笑)
新作のタイトルにある記号の意味
最新作の正式名称は『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』です。この【𝄇】の部分、気になりませんか?庵野監督が意味なくタイトルに付けるとは到底思えません。この【𝄇】は楽譜で使われる音楽記号の【リピート(反復記号)】です。さらに、今回のタイトルに付けられた記号のうち右側の線だけ太くなっていますが、これは【反復がここで終わる】という意味。つまり、リピートされていた世界が、最新作で終わりを迎えるということでしょうか…?
そうなると、もしかして旧劇場版と新劇場版は同一世界線だった可能性が高まります。それを裏付けるかのように、カヲルが『破』のラストでこんなセリフを告げています。
さぁ約束のときだ、碇シンジ君。今度こそ君だけは、幸せにしてみせるよ。
新劇場版『破』では、まだ顔を合わせていないはずの2人。なのに「今度こそ」という言葉を使っていることから、すでにカヲルはシンジを知っていたことになります。さらに、最新作のポスターを見ると、赤いはずの海の色が元に戻っている…!これは、また旧劇場版にループするなんてこともあるのか…?予測が止まりません!
漫画『新世紀エヴァンゲリオン』は読むべき?
『新世紀エヴァンゲリオン』はコミカライズ化されているため、漫画でも読むことができます。内容は基本的に<旧シリーズ>であるアニメ版+旧劇場版のストーリーに準じたものです。とはいえ、アニメ以上にキャラクターを丁寧に掘り下げているからか、キャラクターの性格が多少違っているところがあります。でも、それ以上にこの漫画版と旧劇場版では、大きな決定的な違いがあるんです!
それは、ラストに描かれた人類の補完を拒絶した末に辿り着く世界です。救いようもない世界に取り残された旧劇場版とは違い、少しだけ前向きな未来を見せてくれます。そして、先ほどの【マリの正体とは】でも紹介した通り、最終巻でまさかの新劇場版へと繋がる伏線も用意されています。<旧シリーズ>の復習本だと思って読み返しつつ、漫画でしか見られないラストシーンや伏線もぜひチェックしましょう!
【ネタバレなし】『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』感想・レビュー
2021年3月8日公開初日、無事に『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』を映画館で鑑賞してきました!初日はSNSで多くのファンたちによる鑑賞報告であふれ、関連ワードがトレンド入りするほど大盛り上がりに。しかし、ほとんどの人がネタバレをしないよう最大限の配慮をして投稿していることから、エヴァファンのモラルが高さが賞賛されています。
『シン・エヴァ』は、もちろんネタバレなしで観るのが最大限の楽しみ方です! しかし、「どうだった?」と気になるのも、わかります。だって、あのエヴァですもの。
ということで、ここではストーリーの本筋には一切触れず、『シン・エヴァ』の率直な感想・レビューを語りたいと思います。それすら「イヤだ!」「見たくない!」という人は、遠慮なく飛ばし読みを!
まずは、感無量。この一言に尽きます!前作の『Q』が難解で絶望的な状況ばかりだったのに対し、本作では多くの希望を目にすることができました。逆に『Q』であそこまで不穏な雰囲気が続いたからこそ、『シン・エヴァ』での一つひとつの出来事の深みが増したんだと思います。『Q』はあれで良かったんだと、本作を観て初めて気が付きました。
特に、今まで知る由のなかったキャラクターの心情が丁寧に描写されていたことで、それぞれのキャラの行動原理がやっと腑に落ちました。正直、今までエヴァンゲリオン作品で泣いたことはなかったんですが、本作では何度も涙が止まらなくなるシーンがたくさんあって、自分でも驚きました。
約25年間、ある意味「エヴァの呪縛」に捕らわれ続けていた心がやっと解放されたような…。そんな爽快感でいっぱいです。新劇場版としてエヴァをやり直してくれて庵野監督、本当にありがとうございます!私もあと数回は映画館に観に行くでしょう(笑)みなさん、今回は旧劇場版のようにはなっていません。観る人にすべてを丸投げすることもありません。だから、安心して観に行ってください。
エヴァを追い続けて良かった。映画館で観れて良かった。そんな風に思える、最高の終劇でした。
まとめ
エヴァンゲリオンの映画の魅力をたっぷりとご紹介しました。
エヴァシリーズの映画は、アマゾンプライムビデオを中心とした動画配信サービスでも数多く配信されているので、気軽に観ることのできる作品です。
今まで"エヴァ"という名前は知っていても、どんな話なのかは知らない人もいたかと思います。しかし、この2021年。テレビシリーズから数えると25年以上の歳月をかけて、エヴァンゲリオンシリーズが再び完結を迎えました。新たな歴史の終幕に立ち会えるチャンスをどうぞ見逃さないでください。
この記事を読んで、エヴァの魅力が少しでもみなさんに伝わりますように。
最後に、庵野秀明監督自ら編集した『これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版』の動画をごらんください。これを観れば、きっと『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も観たくなるはず!
ライティング担当 : momo山梨県在住、30代の2児の母。テレビはドラマ・アニメ・バラエティを観ることが多い。ドラマなら恋愛・仕事・サスペンス、漫画やアニメならラブコメ・スポ根・青春・SFが好みだが、総じて"泣ける系"のジャンルにも弱い。特に30代に突入してからは若者の青春群像劇でたいてい号泣している。気になる映像化作品をチェックするときは、映画を観てから小説(漫画)を読む派。ゲームも好きだが、最近は息子と一緒にポケモンばかりやっている。 |