• 2022/12/21

【二月の勝者】中学受験漫画の金字塔!衝撃の名言が刺さる問題作

常識を覆してくる中学受験漫画、『二月の勝者 -絶対合格の教室-』。圧倒的取材力とインパクトの強すぎる言葉で、東京都の中学受験界をリアルに描いています。生徒も保護者も塾講師も、登場人物の誰もが奮闘する姿に涙して勇気を貰える作品の魅力を、作中の名言と共にご紹介します。

二月の勝者TOP画像
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「いま高校からは入れないよ」:概要&あらすじ

黒木蔵人

君たちが合格できたのは、父親の『経済力』
そして、母親の『狂気』

『二月の勝者 -絶対合格の教室-』は、『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載されている漫画作品です。作者は高瀬志帆さん。2022年9月時点で累計部数は300万部を突破、第67回小学館漫画賞一般向け部門受賞という大人気作品です。

▶ あらすじ
東京都の中学受験塾では中堅校の《桜花ゼミナール吉祥寺校》。ここに、一人のカリスマ講師が校舎長として着任した。黒木蔵人(くろき くろうど)と名乗る彼の前職は、業界トップの合格実績を誇る学習塾《フェニックス》の、最上位クラス専属講師。他の講師たちは彼の着任に期待を寄せるが、彼は「残念な校舎のテコ入れに来た」「塾講師はサービス業」「中学受験は課金ゲーム」と冷酷に言い放ち、大きな反感をかってしまう。子どもたちに寄り添う新人の塾講師・佐倉麻衣は、そんな最強最悪の黒木と衝突しながら、厳しすぎる中学受験界の現実を知っていく。

テーマは中学受験。黒木先生の過激な言葉に衝撃を受ける問題作とも言える、中学受験漫画です。中学受験の道を選んだ方が読むと、度重なる共感と郷愁の念に悶えることをお約束します。中学受験を選ばなかった方が読むと、シビアで深すぎる中学受験業界という文化の構造に、読めば読むほどはまってしまうことをここに予言します。
まだ小学6年生という子どもたちが必死に頑張る姿、子どもたちを支えるご家族の頑張る姿、塾の経営と生徒の未来を担う講師陣の必死な姿は、全人類の心にクリーンヒット。涙もろい方は、必ずお手元に箱ティッシュのご用意をお願いします。古本店『もったいない本舗』スタッフが、作中の名言と共に作品の魅力をご紹介します!

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「中学受験は特急券です」:用語&キャラ紹介

黒木蔵人

凡人こそ、中学受験をすべきなんです

塾・学校名のモデル元

参考として、作中に登場する学校を簡単にリスト化しました。偏差値も高く有名な名門校は、東京にお住まいの方でなくてもご存じの方は多いかもしれませんね。記載しているモデル元は、この辺りの学校ではないかと言われているものとなっています。『二月の勝者』はフィクションです。あくまでも、参考までにどうぞ!

実名で登場している名門校
《国立男子校》
  • 筑駒(筑波大学附属駒場中)
《男子御三家》
  • 開成
  • 麻布
  • 武蔵
《女子御三家》
  • 桜蔭
  • 女子学院
  • 雙葉
モデル元の学校?(一部)
※個人調べ
  • OK中等部 → 慶應中等部
  • 早米田学院 → 早稲田学院
  • 明知大付属明知 → 明大明治
  • 中庸大附属 → 中央大附属
  • 法陽大付属 → 法政大附属
  • 大石山中等 → 小石川中等
  • 聖栄 → 聖光
  • 東央 → 桐朋
  • 札幌ラ・セーヌ → 函館ラ・サール
  • 海王中等 → 海陽中等
  • 宵の星 → 浦和明の星
  • 修学院女子 → 学習院女子
  • 埼玉淑女 → 淑徳与野
  • 青森黒薔薇 → 盛岡白百合
  • 新宿学園海浜 → 渋谷教育学園幕張
  • 長野聖 → 佐久長聖
  • 土佐犬 → 土佐塾
塾のモデル元?
※個人調べ
  • フェニックス小学部 → SAPIX小学部
  • 毎日研 → 日能研
  • 渋谷大崎 → 四谷大塚

キャラクター紹介

桜花ゼミナール 吉祥寺校

《塾講師》
二月の勝者7巻
黒木 蔵人くろき くろうど

業界No.1塾最上位クラス専任講師の過去を持つ、カリスマ塾講師。あまり表情を変えずクールな印象だが、塾はビジネスというスタンスの過激な発言が多い。しかし、子どもや家庭の事情を見抜き、適切な指導と対策をとるその手腕は本物。オンとオフの見た目の差が激しく、謎が多い。
二月の勝者11巻
佐倉 麻衣さくら まい

素直で純粋な新卒塾講師。子どもたちや保護者に寄り添った対応ができる、心優しき人情家。空手は黒帯で、関東大会優勝経験がある。中学受験の経験はないが、体力には自信がある体育会系。山梨県出身。
桂 歌子かつら うたこ

業界事情に詳しい、佐倉の先輩講師。新卒の佐倉にさまざまなことを教えてくれる、頼もしい存在。綺麗ごとだけではやっていけないことを知っている、現実主義者。
橘 勇作たちばな ゆうさく

小学1年生の息子がいる、ベテラン塾講師。生徒の指導をめぐって、黒木とは何度も衝突を繰り返している。黒木の不穏な噂を暴こうと、密かに暗躍するが…。
《生徒》
島津 順しまづ じゅん

桜花の学年トップ。強気で横柄な性格だが、実は父親から過剰な教育を強制されている。それに伴う睡眠不足と、父親による母親へのモラハラで家庭は崩壊気味。
直江 樹里なおえ じゅり

天才肌の桜花のトップクラス生。両親が美容師で、本人もおしゃれが大好きな明るい少女。しかし、目立つことをよしとしない小学校生活に息苦しさを感じている。
前田 花恋まえだ かれん

桜花の学年トップクラス生の一人。学習能力が高すぎて、小学校では逆差別をされ不遇な扱いを受けている。気が強く、負けず嫌いのしっかり者。樹里と仲が良い。
毛利 光もうり ひかる

父方の親戚が全員OK大学幼稚舎出身だが、光自身は不合格だったことから、母親がモラハラを受け疲弊している。OK大学付属中合格への強いプレッシャーを感じている。
上杉 海斗うえすぎ かいと

元フェニックス生。勉強についていけず、桜花に転塾した。双子の兄で、弟の陸斗はフェニックスの最上位クラス。島津とは犬猿の仲。 
柴田 まるみしばた    

大人しく内気なAクラスの生徒。小3のときに学校での人間関係に躓き、以来不登校となっている。
加藤 匠かとう たくみ

Rクラスの成績順位最下位の生徒。勉強が大嫌いで塾を辞めたいが、両親に許してもらえず、追い詰められている。
石田 王羅いしだ おうら

勉強が嫌いな普通の小学生。本人にやる気がないため、教室内のトラブルメーカーとなってしまっている。
今川 理衣沙いまがわ りいさ

勉強が大嫌いなRクラスの生徒。母親からの過度なプレッシャーにより、模試のカンニングをしてしまう。

フェニックス 吉祥寺校

《塾講師》
二月の勝者3巻
灰谷 純はいたに じゅん

業界No.1塾《フェニックス》の、最上位クラス現講師。講師としての在り方を教えてくれていた黒木を尊敬していたが、不穏な噂と同時にフェニックスを辞め桜花へ転属してしまった彼を、現在は強く恨んでいる。
《生徒》
上杉 陸斗うえすぎ りくと

上杉海斗の双子の弟。天才肌ではないが、最上位クラスで《神7》と呼ばれる成績上位7人のうちの一人。超人たちに混ざって受験勉強に日々励んでいるが、兄弟仲は悪くない。
カズマ

フェニックスの現トップ。4月から筑駒の合判80%、11月模試では開成合判80%という、勉強好きの天才。宿題は毎回最低でも3周解き直すため、毎週宿題をコピーすることに疲れ果てた母親が、専用の業者にコピーを依頼している。
マリナ

現《神7》の一人。11月時点で桜蔭合判80%。3歳から習っているバイオリンを弾かないとストレスが溜まって勉強を頑張れないため、1日1時間の練習をやめず、母親を困らせている。

「小学生が毎日塾に来て座っている」こと自体が、すごくね?:作品の魅力&名言集

黒木蔵人

他に好きなことがある子ほど、
受験をやめなくていいんですよ

① 塾業界の情報が本物

もはや親世代向けの、東京都をメインにした中学受験ガイド。近年の受験事情が、漫画で簡単に把握できます。巻末の参考文献を網羅しただけではない、現場の声を拾った圧倒的な取材力がもはや神業。塾の選び方や講習の情報という事前情報だけでなく、受験当日の動き方や準備しておくものなどの描写も参考になりますよ。フィクションの漫画作品ではありますが、概要の事前知識があるのとないのとでは、大きく違います。中学受験をぼんやりとでも考えている親御さんは、読まれて絶対に損はありませんよ

ただし、お子さんにとっては読むとしんどくなってしまう内容かもしれません。お子さんの性格や意志を尊重して、そっと隠しておくのか一緒に読むのか慎重に考えましょう。

ちなみに、塾講師の方にとっては《塾講師あるある》です。お給料や人事などの大人の事情から、生徒たちとの関わり方まで、笑って共感して涙すること必至です。中学受験に全く興味が無くても、データを集めて分析・戦略を立てて挑む塾業界の描写があまりにも秀逸なため、《塾講師のお仕事漫画》《サービス業のビジネスモデル》としても、参考になる部分がたくさんありますよ。

② 健気すぎる子供たちの頑張りが泣ける

《中学受験》ということで、合格も不合格も存在するシビアな現実の中、小学6年生の子ども達が描かれています。まだランドセルを背負っている子どもたちが、困難を前にひたすら頑張る。その健気すぎる姿に、素直すぎる姿に、挫折を乗り越えてゆく勇ましい姿に。大人は勇気を貰うのと同時に、涙が止まらなくなりますよ。普段お子さんに対して小言ばかりになってしまうという親御さんも、今まで気づけなかったお子さんの頑張りに気が付いて、ハッとさせられるかもしれません。

13巻では、現代の子どもたちの社会問題も描いています。決して他人ごとではない、目を逸らしてはいけないエピソードです。綺麗ごとだけではなく、残酷な現実もしっかりと描き切っている世界観だからこそ、「こんなに頑張っている子どもたちが全員合格してほしい」と膨大な感情を移入させてしまい、もはや親戚の大人気分で必死に応援してしまいます。涙もろい方は、箱ティッシュ必須です。

③ よくあるお悩みに共感・安心できる

受験という人生の岐路に立たされて、お悩みがないわけがありません。しかし《中学受験》は、家庭や性格タイプによっては非常に繊細なテーマにもなります。気軽に悩みを相談・共有できる存在は、そんなに多くはないのではないでしょうか。しかし、本作には、よくある中学受験のお悩みを抱えたご家庭がリアルに描写。まるで我が家のことのようなセリフやエピソードの数々に、共感して安心します。相手側の事情を慮るヒントにもなるかもしれません。よくあるトラブルのエピソードは、未然に防ぐための参考として、心の隅に留めておきましょう。ただし重ねて申し上げますが、本作はあくまでもフィクションです。作品内で描かれたことがすべてだと気負わずに、エンタメ作品を前提として楽しみましょう!

黒木先生の名言集

こちらでご紹介するのは、ごく一部です。どんな背景でこの言葉が発せられたのか、ぜひコミックスで前後のエピソードも追いかけながら、あなたの心に留めてください。

名言①

粘って頑張った経験の
ある子は、受験でも強いですよ

(1巻)

名言②

「点が取れた!」という事実。
どんなご褒美よりも、
これにかなう喜びと原動力は
ないんですよ

(3巻)

名言③

受験を「自分ごと」にさせる

(5巻)

名言④

「説得」というものは
相手に聞く準備がなければ
ただの「説教」です

(8巻)

名言⑤

2月1日の本番その日まで、
学力は伸びます…!

(7巻)

名言⑥

「待つ」ことが「親の仕事」
ではないでしょうか

(11巻)

「自分のご機嫌を取れるのは大人の特権です」:ドラマ・小説版紹介

黒木蔵人

「情報」も「塾」にお金を払って買うものです。

ドラマ版

『二月の勝者』は、柳楽優弥さんを主演に迎えてドラマ化されました。放送は、日本テレビ系の土曜ドラマ。感染症拡大の影響で放送時期が夏から秋に延期となりましたが、満を持しての放送後は、大人気のまま幕を閉じました。

【二月の勝者】Huluオリジナルストーリー「胸騒ぎの自習室」〜卒塾編〜
柳楽優弥「二月の勝者」キャストコメント公開!!俳優兼助監督!?今井隆文さんだから撮れるオフショット
【キャスト】
黒木蔵人:柳楽優弥
佐倉麻衣:井上真央
灰谷純:加藤シゲアキ
【スタッフ】
脚本:成瀬活雄
音楽:小西康陽
演出:鈴木勇馬ほか
プロデューサー:次屋 尚・大塚英治
企画プロデューサー:高 明希
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ

権利や演出の関係から原作と異なる部分もありますが、ドラマ版はポジティブな内容で終わっています。シビアな受験の世界を、ワンクッション置いてから知りたい方は、ドラマ版からご覧になるのもおすすめです。更にHuluでは、オリジナルストーリーとして「胸騒ぎの自習室」〜卒塾編〜も独占配信中です。小学6年生という微妙な年齢の役を見事に表現しきった、子役の方々の演技が特筆して素晴らしい。Eテレ『みいつけた!』で3代目スイちゃんを務められた川島夕空さんのすっかり成長した姿に、思わず「大きくなったね」と声をかけたくなった方も、多いのではないでしょうか。

▼ドラマ版公式サイトはこちら

小説版

小説 二月の勝者-絶対合格の教室- 春夏の陣

原作者 高瀬志帆
作者 伊豆平成
出版社 小学館
出版年月 2021年10月
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原作がある程度大人向けの作品であるのに対し、こちらの小説版はお子さん向け。原作のエピソードが、生徒側からの視点で描かれています。生徒たちが悩みながらも乗り越えていく姿はとても希望に満ち溢れていて、お子さんが前向きに共感しやすい内容となっています。大人が読むと、このシーンで子ども達はこんなことを感じていたのだなと、しんみりしますよ。
レーベルは小学館ジュニア文庫、対象区分は小学校高学年から。挿絵は原作のマンガのコマを使用、キャラクターそれぞれの群像劇のような構成となっているため、区切りをつけて朝読書でも読みやすいものとなっています。事前情報をあれこれ知ってしまうと混乱してしまうタイプは読むタイミングを見計らう必要がありますが、パターンをある程度知っておきたいタイプのお子さんにはおすすめの作品です。

▼第二弾はこちら

小説 二月の勝者-絶対合格の教室- 秋の陣

原作者 高瀬志帆
作者 伊豆平成
出版社 小学館
出版年月 2022年6月
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まとめ

佐倉麻衣

明日の受験を迎えられることができたなら、
この先ずっとそのことで自分自身を誇っていいと思う

中学だけに関わらず、高校・大学受験と、《受験》は繊細なテーマでもあります。さまざまな考えがありますが、《子どもに幸せに生きていってほしい》と願う気持ちだけは、どの大人も同じです。同様に、こちらの作品を読んだ方は必ず、作中で頑張る中学受験生たちの姿に応援と励ましの気持ちを持ちます。中学受験の道を選んだ過去のあなたの姿も、現在や未来のあなたのお子さんの姿も、他の誰かから見たら、絶対的な応援と励ましの対象なのです。必ず勝ちと負けが存在する勝負ごとの世界ではありますが、《誰からも絶対に応援されることをこなした》という事実は、これからの人生を歩む支えの一つに値するものではないでしょうか。戦争と称しても過言ではない《中学受験》。これを膨大なデータと戦略を駆使して多くの勝ちを手に入れる、塾講師の教育革命を見逃してしまうのはもったいないですよ!

二月の勝者-絶対合格の教室-

原作者 高瀬志帆
出版社 小学館
出版年月 2018年2月
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miz
ライティング担当 : miz

札幌在住30代2児の母。レトロゲームとクラシック音楽が大好きで時々自分でも弾く。ムーミンのアニメを観ることと、子どもたちの寝かしつけ後にやるサバイバルアクションホラーゲームが日々の癒し。博物館や郷土資料館の類が好きだが、シビアな開館時間の前によく惨敗している。インドア派だったのが活発すぎる子どもたちによってアウトドア派にさせられた。司馬遼太郎、M・ルブラン、川原泉、藤田和日郎作品が好き。

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