- 2023/01/31
- 2022/10/28
『耳をすませば』の原作は少女漫画!漫画ならではの魅力を紹介!
ジブリ作品として有名な『耳をすませば』。この作品の原作が、少女漫画だということを知らない方も意外と多いのでは?原作者のファンであるスタッフが、より甘酸っぱい恋愛が描かれた少女漫画ならではの原作の魅力や、ジブリ作品との違いを紹介します!
原作の『耳をすませば』は少女漫画
今では、知らぬ者はいないほどの人気を誇る、数多の長編アニメーションを世界に発信する『スタジオジブリ』(通称:ジブリ)。老若男女問わずファンは多く、テレビでも年に何度も多数のタイトルが放送されています。
ジブリの映画作品は、そのほとんどに『原作』があります。それを基に、スタジオジブリならではの作品に仕上げられており、ときにキャラクターだけでなく内容も変更されることも。オリジナルと思われる所以は、こういった大胆さがあるからこそかもしれません。
●『火垂るの墓』
(原作:野坂昭如の小説)
●『おもひでぽろぽろ』
(原作:岡本螢、作画:刀根夕子の漫画)
●『海がきこえる』
(原作:氷室冴子の小説)
●『魔女の宅急便』
(原作:角野栄子の児童文学)
※他にも、舞台化や海外で実写化されている作品があります
ファンタジー作品の傾向がよく見られるジブリ映画ですが、珍しいほど恋愛要素がメインに詰まった作品があります。近藤 喜文監督の『耳をすませば』です。こちらの原作は、少女漫画誌『りぼん』に連載されていた『少女漫画』!
今回は、ジブリ版ではなく、原作漫画の『耳をすませば』をクローズアップ!2022年10月14日に映画公開された実写版の原作としても話題になっている、こちらを紹介していきたいと思います。
ジブリ版と原作の違いは?
宮崎駿も惹かれた、原作の魅力を紹介!!
1995年7月にジブリ作品の映画が公開されてから、テレビで何度も放映される根強い人気を誇る『耳をすませば』。原作は全4回の連載で完結しており、映画だけのオリジナル要素や設定の変更も多い作品です。
鈴木敏夫プロデューサーが『耳をすませば』の文庫版の解説エッセイを寄稿しており、宮崎駿監督が、夏に訪れるアトリエに置いてあった『りぼん』に『耳をすませば』が掲載されていたのが、映画化のキッカケと綴っています。この話の前後はどうなっていたのかと、想像して遊んだそうです。その年はそれで終わった話でしたが、翌年アトリエを訪れた際にまた同じ『りぼん』を手にした宮崎監督が『耳をすませば』を面白いと言ったのだとか。これも何かの縁ということで、映画化が決まったそうです。何よりも、宮崎監督が自分で想像した『耳をすませば』と、初めて最初から最後まで読んだ『耳をすませば』とでは話が違う!と言い出したというのです。そんな理由もあるのか、要所で原作のエピソードが活かされつつ、漫画よりも現実に寄せた描写となったジブリ耳をすませばが誕生したのでしょう。
それでは、ジブリの映画版と原作の漫画版にどんな違いがあるのか、漫画の魅力と合わせて紹介します!
本が大好きな主人公・月島雫(つきしましずく)は、借りてきた本の貸出カードに自分の名前よりも先に『天沢聖司(あまさわせいじ)』という名前があることに気付き、どんな人だろうと想いはじめる。夏休みに入り、学校で借りた本を忘れたことに気づき、取りに戻ると自分が借りた本を読む少年の姿。ちょっとカッコイイと思うも、意地悪な言葉を返され憤慨する雫。その後も何かと突っかかれては、言い返すやり取りをするようになる。
本漬けな夏休みを送る雫は、県立図書館から電車で帰る途中、乗車してきた猫と遭遇。好奇心で猫の後を付いていくと、『地球屋』という素敵なお店にたどり着く。そこには<男爵ーバロンー>の恰好をした猫の人形があり、雫は一目でその人形に心を奪われることに。
何気なく過ごしていく日常の中で、色んな気づきを得ていく雫。聖司や友人たちとの交流、『地球屋』の店主やバロンとの出会いで、心の中で何かが変わり始める。『やりたいこと』に辿り着き『物語』を紡ぎ始める……雫たちの甘酸っぱくも、互いに影響を与えあう恋愛や学校生活を描いた、青春ストーリー。
漫画原作
『耳をすませば』
【主人公の年齢】
中学1年生
【聖司の将来の夢】
画家
【聖司の兄】
天沢航司が登場
【猫】
黒猫の「ムーン」と「ルナ」
【家】
一軒家で一人部屋
【雫の姉】
穏やかで優しい
ジブリ映画版
『耳をすませば』
【主人公の年齢】
中学3年生
【聖司の将来の夢】
ヴァイオリン職人
【聖司の兄】
描写なし
【猫】
ぶち猫の「ムーン」1匹
【家】
団地住まいで姉と同部屋
【雫の姉】
しっかり者
大筋は、ほぼ同じ流れであることがわかります。ストーリーというよりも、設定を変更したことで、印象が一気に変わった作品のようです。しかし、あらすじだけを見ると、『耳をすませば』という物語の本質は変わっていないと思います。こういった変更点も踏まえて、漫画版のみどころを見ていきましょう!
掲載誌『りぼん』にふさわしい中学1年生らしさ
最も『違う』と感じる設定変更が、雫たちの学年が『中学3年生』に変更になった点。入学して初めての夏休みと受験を控えた最後の夏休みでは、前提の印象が全く違いますよね。勿論、恋愛要素よりも将来に関することに重点を置いたジブリ版は、多くの共感を呼び人気を得ました。
漫画版の中学1年生設定では、受験等の設定が無いこともあり、全体的に明るい印象です。物語の導入から最後まで、作者の『好きなもの』と少女漫画の読者層を意識した『憧れ』が詰まっています。リアリティのある団地描写などの日常生活を描いたジブリとは真逆の背景描写は、そういった読者層の好みを意識していたようです。
『夢』や『やりたいこと』を見つけることが、素敵なことである。そういうメッセージ性を強く感じるところが、何よりも眩しく映ります。受験という背景を上手く取り入れ、『現実』と『やりたいこと』を見つめ直す機会をくれるのが、ジブリのアニメ映画版。漫画版はその前段階である、前向きな未来を描くキッカケを与えてくれると思います。
映画版だからこその『音楽』と漫画版だからこその『絵画』
ジブリ映画版といえば思い浮かべるのは、オリジナル歌詞で奏でられた主題歌の『カントリーロード』だと思います。この曲を使いたいという宮崎監督の想いもあり、聖司の夢が『ヴァイオリン職人』になったのでしょう。映画だからこそ映える『音楽』。『耳をすませば』には欠かせない要素です。
しかし、漫画版での聖司のやりたいことは『絵を描くこと』。作中では、明確に『画家』になりたいと明記はされていません。しかし、反対する親に内緒で絵を描き続けている様子から、その道に進みたいと思っていることが伺えます。
連載が4回だったこともあり、実際に聖司が絵を描くシーンは多くありません。それでも、『地球屋』にあるアトリエの雰囲気は、日常の中にある特別感が満載で、雫の『やりたいこと』に気付くキッカケの一つです。また、後述する続編の短編『耳をすませば 幸せな時間』で出てくる『絵画』の描写は、とても魅力的です。また、絵を通してダイレクトに伝わってくる聖司の想いは、より一層恋愛要素を引き立てます!少女漫画だからこそ活かされた『絵画』を使った愛情表現は、原作の『耳をすませば』にピッタリだと思います。
WEBちくまで、鈴木麻実子さんによる鈴木家にまつわるエッセイ「鈴木家の箱」の連載が始まりました。第一回は『耳をすませば』の主題歌「カントリーロード」の日本語詩誕生秘話。鈴木さんと宮﨑さんとのやりとりと、意外な展開に爆笑です🎻https://t.co/aaQ3olRp6d pic.twitter.com/nR0MTdFLkx
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続編短編『耳をすませば 幸せな時間』では中学3年生に
ジブリ映画が公開後に描かれた短編で、本編では中学1年生だった雫たちが中学3年生に進級。映画同様、受験を控えた夏休みのお話です。
勉強にも小説執筆にも身が入らず、周囲の受験ムードへの気疲れや、聖司と離れてしまうことを改めて自覚する雫。モヤモヤとしたものを抱えながら訪れた『地球屋』で、不思議なことに巻き込まれていきます。『満月』や『鳥』、『猫の図書館』とワクワクするワードを巧みに扱い、乙女心をくすぐる要素が満載な作品。ずっと一緒という訳ではないし、道は違うかもしれないけれど、その道は繋がっている…相手を尊重し、自分もまた新たな世界に飛び立とう。そんなメッセージを強く感じるストーリー。ジブリ映画とはまた違う、少し大人になった雫の成長を見ることができます。
単行本では、『耳をすませば』と『耳をすませば 幸せな時間』は別々で発行されていますが、文庫版『耳をすませば』には、どちらも収録されています。話題になっている実写映画『耳をすませば』では、10年後が描かれるとのこと。本編より少しだけ未来が描かれたこちらもぜひ、チェックしておきたいところです!
黒猫「ムーン」「ルナ」とぶち猫「ムーン」
ジブリ映画ではおなじみ、ふてぶてしい態度が可愛い猫の『ムーン』。聖司が名付けた名前以外にも、近所の子どもに『ムタ』と呼ばれていましたね。作中では、雫が落ち込んだときなど空が暗くなるまで傍にいてくれたエピソードもありました。
漫画では、後述する聖司の兄が飼っている『ルナ』と、聖司に懐いている人見知りの『ムーン』が登場します。黒猫からぶち猫に変更した理由は、宮崎監督がぶちを推したそうで、スタッフ内でどちらにするかアンケートを取ったそうです。
また、『地球屋』の人形『男爵<バロン>』も、ジブリ映画では『ムーン』と同じ明るい茶色ですが、漫画では『ルナ』と『ムーン』と似たダークグレイで描かれています。そんな『バロン』に関するエピソードはほぼ原作通りで、恋人を待ち続けている姿が漫画でも描かれています。ちなみに、この『バロン』のモデルは、柊あおいさんが結婚する前に旦那さんにプレゼントされた人形なのだとか。
東京は雨空ですが、今夜はピンクムーンだそうですね🌕 pic.twitter.com/qw9UELdn1W
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今週もお疲れさまでした。 pic.twitter.com/Ce5zWb4oS6
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雫の姉・月島汐と聖司の兄・天沢航司の存在
雫たちの年齢変更に次いでジブリ映画での大きな変更点が、雫の姉・月島汐の性格変更と聖司の兄・天沢航司が出てこない点です。
ジブリ映画では、しっかり者で自立心も性格もちょっと厳しい姉として描かれました。しかし、原作だといつも笑顔で穏やかな描写がされています。これもまた、少女漫画原作者ならではの、『憧れ』を追求した一つだと思います。そして、姉の汐はジブリ映画では登場しなかった聖司の兄・航司と恋愛関係にあるのです。
聖司の兄・航司は、感性が独特で、聖司よりものんびりとした性格。原作では聖司より先に雫と出会います。そんな汐と航司のキスシーンを見てしまった恋愛に疎い雫が、聖司を意識するように。また、聖司の描いている絵のモデルが姉なのでは?と思い至る雫の、聖司のことが気になる可愛らしい展開があり、本編では欠かせない存在です。
映画では、雫と聖司の話に重点を置くために航司を出さなかったと言われています。また、姉妹と兄弟で互いに恋人同士になるのは、リアリティが無いと判断されたのでしょう。漫画では、この二人の存在がより一層恋愛要素を引き出しており、柊あおい作品らしさが生まれていると思います。
常識の範囲内で、自由につかってください① pic.twitter.com/q4Bp3ZA1SK
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基本的なキャラクター造形や、登場人物は漫画も映画もほぼ一緒!映画では、雫の両親がしっかり描かれ、よりリアルな雰囲気を感じられます。
『猫の恩返し』は、月島雫が書いた小説!
ジブリ映画『耳をすませば』のスピンオフとして、『猫の恩返し』という映画が制作されています。この作品は宮崎監督から依頼され、柊あおいさんが原作を担当しており、見慣れたキャラクターが登場します。
馴染みのある『男爵<バロン>』や『ムーン』が登場するこちらの物語は、現実世界ではなく、ファンタジー要素が強い作品です。雫や聖司といった主要人物が登場しません。というのも、『猫の恩返し』は小説家となった雫が書いた物語という位置づけなのです!雫がこうして『耳をすませば』から成長して、小説家になったと思うと、嬉しくなりますね。また、続編『幸せな時間』でも描かれた要素も、この作品に活かされています。まさに、『月島雫』が体験したことが詰まった作品!『バロン―猫の男爵』も手に取って見てほしい一冊です。
2022年11月にオープンのジブリパーク内に『地球屋』が!
▼風になって、遊ぼう。~ジブリパークのある愛知~(フルバージョン)▼
※スタジオジブリが初めて手掛けた観光動画!
名古屋にある 『愛・地球博記念公園(モリコロパーク)』内に、2022年11月1日に開園された『ジブリパーク』。チケットはすべて日時指定の予約となっており、エリア別の予約が必要。開園当初の2022年11月分は即予約枚数終了となり、ジブリ人気が伝わってきますね!
アトラクションなどの乗り物は無く、記念公園の森をそのまま利用したテーマパークで、ジブリらしさが満載!開園時の第1期では、『ジブリの大倉庫』『青春の丘』『どんどこ森』のエリアを見ることができます。詳細は、『ジブリパーク』公式ホームページでご確認ください。
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『青春の丘』エリアには、『耳をすませば』に出てくる『地球屋』が建設されています。映像から、そのまま飛び出してきたような精巧さです!第2期には、『もののけの里』『魔女の谷』エリアが追加されるそうです。ジブリファンはもちろん、映画原作ファンにもたまらないテーマパークではないでしょうか。チケット入手は大変そうですが、『耳をすませば』ファンの方々は、要チェックです!
今日は「地球屋」の暖炉に火が入りました。
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最近、スタジオで薪割りが日課の吾朗さん、上手いのです。 pic.twitter.com/ZdMGQ38Cxb
🎄🎄🎄 pic.twitter.com/FOUASI6FYS
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四季折々で、暖炉に火が入ったり、クリスマスのイルミネーションが飾られている様子。それぞれの季節に合わせて、色んな『地球屋』を楽しめるのが嬉しいですね!もちろん、『青春の丘』にある『地球屋』だけでなく、他のエリアでも色んな催しや、季節感を楽しめるようです。
中日新聞で連載中の月刊ジブリパーク。
— ジブリパーク GHIBLI PARK (@ghibliparkjp) August 2, 2022
今回は、映画『風立ちぬ』について。
バックナンバーはこちらです。https://t.co/9cpgjq1smZ pic.twitter.com/6SdMLeAAfB
また、運営会社の株式会社ジブリパークに、ジブリ社との共同出資をした中日新聞社より、不定期で『月刊ジブリパーク』が発行されています。
今後も、新エリアが公開される予定の『ジブリパーク』。興味のある方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
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【↑スタジオジブリ STUDIO GHIBLI公式Twitterはこちら】
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原作者は一時代のりぼんを築いた『柊あおい』
250万乙女の<バイブル>を世に放った少女漫画家
世間では、『耳をすませば』の原作者として知名度が高い『柊あおい』さん。しかし、40代以降の『りぼん』愛読者たちには、すでに馴染み深い漫画家だと思います。
当時の『りぼん』は、『ときめきトゥナイト』や『ポニーテール白書』、その後すぐ『ちびまる子ちゃん』や『有閑倶楽部』などが連載開始。部数で250万部を売り上げた黄金期に差し掛かっていました。柊あおいさんもその中で活躍される、人気漫画家の一人です。少女だけでなく大人も絶対に楽しめる、世代を超えて共感を得られる『柊あおい』の作品を紹介します。
著者の代表作であり、当時『りぼん』でNO.1の人気を誇った王道少女漫画作品。タイトルの綺麗さからは想像も付かない、入り組んだ恋愛模様や人間関係に、読む手が止まらなくなります。
ポイント①これぞ王道少女漫画!
この作品は、あらすじだけを見ると、よくある物語のように思えるかもしれません。登場人物も、青春を懸命に生きる普通の中学、高校生たち。それだけで読まないと判断する方も多いのではないでしょうか。
しかし、この『星の瞳のシルエット』は、乙女心をくすぐる王道という王道が随所に盛り込まれています。まさに、王道要素をより効果的に、巧みに描いたストーリー展開の秀逸さが際立った作品です。あまりにも綺麗な王道ゆえに、言葉にすればするほどこの作品の魅力が伝わらないのでは?と思えてきます。
とにかく、騙されたと思って読んでほしい!絶対に最後まで止まることなく読み進めてしまう、魅力にあふれた作品です。
ポイント②温度を感じる心理描写!
絵柄の可愛らしさからは想像もつかない、複雑な人間関係が描かれるこちらの作品。女3人男2人と聞いただけで、少女漫画好きは色々と察するでしょう。まさにお察しの通りです。
ですが、この作品は不思議と『泥沼』という言葉が合いません。展開としては、泥沼と呼んでも差し支えないのですが、それ以上に温かみや、爽やかさを感じるのです。
キャラクターに対する好き嫌いは人それぞれあると思います。しかし、どのキャラの心情もしっかりと描かれており、『わかるよ!』と応援したくなる瞬間がいくつもあります。
現在、作中のキャラと同年代の青春を送っている方は、必見!かつての青春を過ごした大人の方々にも、この爽やかさを感じてほしいです!!
ポイント③『久住智史』のかっこよさ
さすがは、この世に『天沢聖司』を生み出した作者。この作品のヒーロー『久住智史』も、魅力あふれるキャラクターです。
久住くんは主人公以外にも、さまざまな場面でモテる描写が出てきます。顔も良ければ頭も良い、料理もできる。弓道部とか、響きだけでかっこよすぎる。女の子は少々苦手だが優しいという、あらゆる理想要素が詰め込まれています。
しかし、絵に描いたように完璧なわけではありません。高スペックのわりに散々な目に遭う彼は嫌味が無く、むしろ主人公よりも応援したくなってきてしまうレベル。久住くん目線で語られるシーンや、モノローグが意外にも多いこともあり、より一層入れ込んでしまいます。
もちろん『久住智史』だけでなく、どのキャラも共感を覚える可愛い少年少女達です。身近に感じられるからこそ、愛おしさが募っていく。『耳をすませば』にも通ずる、決して特別じゃないのに、ついつい目で追ってしまうキャラクターたちは、この作者ならではだと思います。
『星の瞳のシルエット』は、連載終了後もその後が描かれた『ENGAGE』シリーズが刊行。2021年まで『COMICタタン』で連載されていた『星屑セレナーデ』など、続編も出ていた人気作です。ぜひ、手に取ってみてください!
ポイント①ピアノとの関係性
タイトルから察せられるように、『ピアノ』が関わる描写の多いこちらの作品。主人公の過去のエピソードから、現在、未来に至る流れに、ピアノが深く関わってきます。出会いと別れ、良い思い出から悪い思い出まで、この『ピアノ』が物語のアクセントになっています。
また、サッカー少年な霧島海、ピアノ留学経験者の叔父・榊晴海、恋のライバル・仁科響子の兄・仁科奏一の、ピアノを弾く姿が描かれます。それぞれにピアノに対する思い入れを感じられ、その魅力がより一層深まります。まさに、タイトルとマッチした内容は、作中で紹介される楽曲を流しながら読みたくなる作品です。
ポイント②優しさにあふれるキャラクター
『柊あおい』作品すべてに共通すると思いますが、この作品は主人公・琴子の雰囲気も相まって、穏やかな日常を感じられるストーリーです。
また、この作品に登場する男性キャラは軒並み優しさにあふれています。特に、幼馴染の研一郎は友達の海くんも嫉妬を覚えるほど、最初から最後まで主人公の味方でいてくれた男の子。不器用な優しさを見せる奏一には、たまらず絶対幸せになってほしいと切に願ったほどです。
琴子のおっとりとした、綺麗な感性。少しずつでも積極的に行動を起こす姿。親友の鈴子を思うあまり喧嘩をしてしまう姿。応援する以外の選択肢を抱けないほど優しい世界に包まれます。決して波乱万丈なストーリーやキャラクター達ではないけれど、その人の好さや可愛らしさが合わさり、読んでるこっちも優しい気持ちになれます。
ポイント③ただでは終わらないラブストーリー展開
そんな、『優しさ』だけで終わらない。ひとひねり加えてくるのが、『柊あおい』ならでは。琴子の頑張りや、海の積極的な行動で、交友を深めていくほのぼのとした胸キュン展開は、琴子の叔父・晴海と海の母親・詩史の関係性が露呈されることにより、雲行きが怪しくなります。
展開としては、あると言えば『よくある』と言えるかもしれません。しかし、これまでの優しい世界に浸り、ふわふわ胸キュンしていた心臓を、急に握られ過呼吸を起こすくらいにキュンが吹っ飛びます。だからこそ、最後はどうなってしまうのかとハラハラしながら、読み進めてしまう。まさに、『柊あおい』の術中にまんまとハマってしまうことでしょう。
普通の恋愛少女漫画と言い切るには、言葉が足りない。乙女心に響く心理描写や、現実にありそうでないロマンティックな展開は、憧れそのもの。そして決して甘いだけではないシリアス展開を、爽やかに昇華する手腕。どの作品も読書感想文をしたためられるほど、ハマります。昭和後期〜平成初期のファッションや、電子機器が今ほど普及していない時代だからこその恋愛模様も楽しめる!ぜひ、『柊あおい』作品を一度手に取ってみてください!
実写映画化決定!詳細情報をチェック!
原作から、10年後を描いた『耳をすませば』が実写映画化!
原作の『漫画』、ジブリ映画の『アニメ』、そしてついに映画の『実写』化を果たした『耳をすませば』!原作発表、ジブリ映画発表から約30年、未だ衰えない人気が伝わってきます。
♬─────
— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) August 31, 2022
映画『#耳をすませば』
場面写真解禁🗝
─────♪
あれから10年・・・
児童書の編集者として働く雫と
個性豊かな職場の仲間たち📚
夢を追い続ける雫に注目です✒#耳すま #雫と聖司の10年#清野菜名 #音尾琢真 #松本まりか #中田圭祐 pic.twitter.com/6OZpE1gS69
♬─────
— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) September 6, 2022
映画『#耳をすませば』
場面写真解禁🗝
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イタリア🇮🇹でチェロ奏者として
日々鍛錬に励む聖司・・・。
聖司の真剣な眼差しに注目です🎼#耳すま #雫と聖司の10年#清野菜名 #松坂桃李 pic.twitter.com/lFcYz2CSAX
大人になった雫は、児童書の編集者をしながらも、小説を書き続けている様子。そして、実写版では、聖司の夢が『チェリスト』に変更されています。聖司は中学卒業後にイタリアでチェリストを目指しています。映像にはやはり『音楽』が映えますね!また、主題歌は女優の杏さんが歌う『翼をください』に決定。『カントリーロード』のイメージが強く残っている『耳をすませば』ですが、大人になったからこそのタイトルかもしれません。
㊗第46回 #日本アカデミー賞
— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) January 24, 2023
優秀音楽賞受賞🎶
映画『#耳をすませば』で音楽を担当された髙見優さんが優秀音楽賞を受賞いたしました!
おめでとうございます👏
音楽が印象的な数々の名シーンを、
ぜひご自宅でも🐾
2/22 Blu-ray&DVD発売https://t.co/G5HUPT5Ygq pic.twitter.com/9XrGbYTVOl
なお、実写版『耳をすませば』は、第46回日本アカデミー賞で『優秀音楽賞受賞』を受賞されています!聖司のチェロが美しく流れる描写は本当に素敵でしたね。
【実写映画版主要キャスト】
月島雫 | 清野菜名 安原琉那(中学生) |
天沢聖司 | 松坂桃李 中川翼(中学生) |
原田夕子 | 内田理央 住友沙来(中学生) |
杉村竜也 | 山田裕貴 荒木飛羽(中学生) |
園村真琴 | 田中圭 | 堀内部長 | 音尾琢真 |
津田みどり | 松本まりか | 高木洋輔 | 中田圭祐 |
月島靖也 | 小林隆 | 月島朝子 | 森口瑤子 |
おじいさん | 近藤正臣 |
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— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) September 15, 2022
#月島雫
中学生から大人へ....🕰
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15歳→25歳
雫の成長をご覧ください🗝#耳をすませば#耳すま #雫と聖司の10年#清野菜名 #安原琉那 pic.twitter.com/aAPUs0N2ZI
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— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) September 17, 2022
#天沢聖司
中学生から大人へ....🕰
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15歳→25歳
聖司の成長をご覧ください🗝#耳をすませば#耳すま #雫と聖司の10年#松坂桃李 #中川翼 @MToriofficial pic.twitter.com/hZITnwd2bi
大人の月島雫役の清野菜名さん、大人の天沢聖司役に松坂桃李さんが演じられました。文学少女ながら、好奇心旺盛だった雫を運動神経抜群な清野菜名さんが、原作を読み込んだというファンには嬉しい演技を魅せてくれます。大人になった故の悩みや葛藤を感じさせる雰囲気をまとった松坂桃李さんの聖司は、ふいに見せるしぐさなどまさに聖司!と感じさせてくれます。中学時代のお馴染みなストーリーから、未知の世界である10年後も楽しめるという、『耳をすませば』ファン必見間違いなし!
▼【映画『耳をすませば』特別映像】
また、映画のセットも魅力的です!『地球屋』の店内は、細部まで作りこまれており、まるで漫画やアニメから飛び出してきたようです。
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— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) August 26, 2022
TVCM📺チェックして
いただけましたでしょうか?
\ 🐈 /
映画『#耳をすませば』は
10月14日(金)公開 です❕🎬
オリジナルストーリーも加わった
本作をぜひお楽しみに🗝#耳すま #雫と聖司の10年#清野菜名 #松坂桃李 #山田裕貴 #内田理央#安原琉那 #中川翼 pic.twitter.com/GJgXle5PgB
¸♬•*¨*
— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) September 24, 2022
#地球屋 へようこそ🛖
•.¸¸♬•*¨
雫が #バロン と出会う思い出の場所
"地球屋"に皆さんをご招待します🗝
おじいさんが世界中から集めた
アンティークグッズの中から、
お気に入りを探してみてください🐾#耳をすませば #耳すま#雫と聖司の10年 pic.twitter.com/V4I2dvUNP2
聖司が『チェリスト』を目指し、留学していることもあり、もちろん海外でのシーンも!公式サイトでは、イタリアの街並みが紹介されています。
▼【映画『耳をすませば』イタリアの街を巡る360度映像】
もちろん、『耳をすませば』には欠かせない、『男爵<バロン>』も登場!ジブリ映画と同様、薄い茶色の毛並みでデザインされています。
゜♬.━━
— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) August 8, 2022
映画『#耳をすませば』を巡る
バロンのお出かけ日記🐱📕
━━.♪゜#バロン が本作のロケ地を巡ったり、
キャストに会いに行ったり…?
皆さんに素敵な情報をお届けします❕
〖#バロンのお出かけ日記〗をお楽しみに🐾#耳すま#雫と聖司の10年 pic.twitter.com/YXKVOcS0O9
ハッシュタグ『#バロンのお出かけ日記』では、さまざまなロケ地を巡ったり、キャストの元を訪れるバロンの様子を見ることができます。バロン好きさんは勿論、猫好きさんにもたまらない紳士な佇まいを堪能できるのでおすすめです!
2022年10月14日に公開された映画『耳をすませば』!盛り上がりを見せている公式Twitterでは、紹介しきれない情報が色々と公開されています。映画を鑑賞する前に事前情報もチェックをお忘れなく。もちろん、実写映画版の原作である今回ご紹介した漫画版『耳をすませば』も、先に読んでおくべし!万全の状態で、実写版を楽しみましょう!
まとめ
『耳をすませば』と言えば、やはり名作映画であるジブリ版を思い浮かべる人が大半だと思います。しかし、世界中に愛される素晴らしい『ジブリ作品』の中には、土台となる『原作』があるタイトルも多く存在する。そのことをもっと色んな方に知ってもらいたいなと思います。今回は実写映画化された『耳をすませば』にスポットを当てましたが、他の作品の原作にも興味を抱いて貰えたら嬉しいです。
もちろん、ただ単に『ファンだから原作を読むべき!』といったことではありません。読むことで好きな作品をもっと好きになれたり、作品の新たな一面に気づける機会を得ることになると思うのです。
『原作』には、不思議な魅力があります。元祖と呼べる存在は、やはり大きいものです。ジブリ版だけでなく、実写映画化の『原作』にもなった、漫画版『耳をすませば』。ぜひ、一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。より一層世界観が深まること間違いなしです!
▼『耳をすませば』のご購入はこちら▼
ライティング担当 : maru札幌在住の30代。ジャンルを問わず小説や漫画を主に愛読。映画も舞台もドラマもアニメも気になるものにはとにかく一直線。音楽はロック・パンクから昭和歌謡、インストまで気に入った曲を延々と聞き続ける派。愛犬の柴犬が心の支え。リズムゲームと、大相撲を筆頭に各種格闘技観戦が趣味なにわかファン。松井優征、西森博之、篠田節子作品が好き。 |