- 2021/12/2
【音楽漫画】絵と音を最高に楽しめるおすすめ作品30選
音を楽しむのが音楽。さらにそれを、漫画でも楽しめるとしたら?そんな音楽をテーマにした、おすすめ作品をご紹介します!本格的な音楽史や技法まで触れている作品も、誇張表現やファンタジーたっぷりな作品も、面白ければなんだってOK!あなたが好きな音楽ジャンルは何ですか?
音楽を漫画で楽しんでみませんか?
あなたが好きな曲は何ですか?定番のクラシックでも讃美歌でも民謡でも、はたまたロックでもジャズでもアイドルソングでもゲーム音楽でも、何でも構いません。思い浮かべたその曲を、絵で表現することは可能ですか?恐らく、多くの方が難しいと感じるのではないでしょうか。
音を漫画で表現する、これほど難しいことはありません。しかしそんな難しい題材を面白く作品に取り入れた、おすすめの音楽漫画をご紹介します。大好きな音楽ジャンルの作品からは共感を。知らない音楽ジャンルの作品からは、新しく「好き!楽しい!」の気持ちをもらって、音楽も漫画ももっと楽しみましょう!
音も漫画も楽しめる!音楽漫画おすすめ30選
クラシック
のだめカンタービレ
声を上げて笑えるクラシック音楽漫画No.1。クラシックの定番・マーラーの『巨人』を、『進撃の巨人』にしてくれる感じ、と称せば良いのでしょうか。クラシックに高尚なイメージを抱いている方は、ぜひこちらの作品を読んで身近なイメージに変えてください。ためになるクラシックの専門的な知識から、音大あるあるや演奏者あるあるの面白いエピソードまでぎっしり詰め込まれています。クラシック音楽に全く興味が無い方でも、ギャグと一緒に盛り込まれる知識に、いつの間にか「関係者?」と言われてしまうほど事情通になってしまいますよ。
青のオーケストラ
「一番熱くて泣ける音楽漫画はどれ?」という質問にはこちらの作品を。『心が叫びたがってるんだ』の作者による、激熱青春漫画です。絶望してヴァイオリンを辞めてしまった天才少年が、オーケストラ部で再び魂を燃やします。音楽技術関連は、漫画作品らしいトンデモ設定のない正統派。オーケストラや楽器について知識が無くても、説明がわかりやすく、テンポ良く読めてしまいます。一人では乗り越えられない壁も、仲間と一緒ならなんとかなるかもしれません。あなたの心にも再び火をつけてくれる、そんな作品かもしれませんよ。
四月は君の嘘
さまざまな人気おすすめランキング常連の、鉄板作品!号泣確約のクラシック音楽漫画です。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまった主人公が、音を取り戻します。性格最低の暴力的な天才ヴァイオリニストの少女のお陰で。主に登場するのはピアノとヴァイオリン。そして作中で演奏されるのは誰もが良く知っている曲。実際にコミックスからは音が聴こえなくても、頭の中で勝手に音が聴こえてきてしまうのが不思議。もう一度青春したい方、楽器経験者、とにかく泣きたい方におすすめです!
ピアノの森
ピアノ系作品として、異色のひとこと。楽譜が読めず、誰かに習ったこともない天才ピアノ少年の軌跡を描いています。スタートは森の中のピアノという、どこか非日常な風景。ファンタジー要素もありますが、現実的なピアニストたちや専門的な部分もしっかりと掘り下げられています。もちろん音楽やピアノの知識が無くてもOK!静かな森に響く繊細な音の表現は、お見事の一言。爆笑したいときは『のだめカンタービレ』、泣きたいときはこちらをぜひお手に取ってください。全26巻、完結しているため、安心して最後まで見届けることができますよ。
なお、こちらの作品はアニメ版も本格的です。主人公の師である阿字野壮介のピアノ演奏は、第18回ショパンコンクールで2位を獲得した、反田恭平さんが担当されています。収録は2018年。本物の演奏を、アニメでも楽しんでください!
坂道のアポロン
切なくほろ苦い、青春漫画の名作です。舞台は1966年、昭和の長崎。クラシックピアノが好きな繊細お坊ちゃんが、転校先の田舎で、暴れ放題のバンカラ同級生に巻き込まれます。ケンカ…ではなく、ジャズの世界に!昭和41年のこの時代には、もちろんスマホなんてありません。カセットテープがようやく発売された頃ですがまだ普及には至らず、音源はレコードのみです。現代のように 高性能な音響機器に頼れない、この時代だからこそのジャズへの情熱を、静かに覗き見てみるのはいかがでしょうか?本編は9巻まで、番外編と書き下ろしのみが収録されたボーナストラックとして10巻で完結しているため、集めやすい点もおすすめです。
いつもポケットにショパン
初版は1981年。今読むと絵柄や時代背景など古い作品ですが、何世紀も愛されるクラシック音楽のように不変の輝きを持った作品のため、ぜひ紹介させてください。有名ピアニストの厳しい母を持ち、幼い頃からピアノの道を強いられてきた主人公・麻子。唯一の救いは、何をするのも一緒の幼馴染の季晋こと「きしんちゃん」。しかし季晋はドイツへ音楽留学ののち、事故を最後に消息が途絶えてしまいます。いつしか音大生となっていた麻子は再び季晋と再会しますが、季晋からなぜか酷く憎まれていて…というストーリーです。厳しすぎて嫌いだった先生を、心から尊敬するようになる過程。ピアニストとして自分を顧みない母親を、理解し寄り添えるようになる過程。惰性で叩いていたピアノを、心から好きになり上手くなりたいと思えるようになる過程。ピアノ経験者は、そのどれもに激しく心を揺さぶられることでしょう。じっくりと描かれる麻子の成長を、お手元にハンカチをご用意しながら最後まで見届けてください。
四弦のエレジー
『ジョジョ』を音楽漫画にした感じ、と言えば伝わるでしょうか?19世紀末のドイツを舞台に、「音楽が視える」アリョーシャと、天才ヴァイオリニスト・エンリコの義兄弟が、自由な音を求めて旅に出ます。どのページを開いても、芸術作品レベルで絵が美しい。作者さんが音大出身ということで、クラシック音楽に対する知識や解説が専門的です。コンクールで優勝するために演奏する曲の難易度を上げた楽譜を新たに書くなど、経験者しか知らない面白さや素晴らしさを、上手く作品の設定に落とし込んでいますよ。なんと作中で演奏された曲の楽譜も掲載されているという、作者のサービス精神も素晴らしい。楽器経験者の方はぜひ挑戦してみてください!
虹のプレリュード
1975年に描かれた、漫画の神様による音楽作品です。ロシア圧政下のポーランドで、音楽を愛する若者たちの情熱と葛藤が描かれています。主人公のルイズは、亡くなった双子の兄の代わりに音楽学校へ入学した、ピアノの天才少女。自分の正体を隠し、その実力と感性を磨いていきます。しかしロシア兵たちの横暴さは日に日に増していき…というストーリー。漫画作品ではありますが、文学作品を読書するという気持ちで挑んでも良いかもしれません。2014年には生田絵梨花さん主演で舞台化もしています。美しく哀しい作品を、ぜひ辿ってください。
マエストロ
オーケストラや吹奏楽経験者さんは、思わず譜面と指揮棒に合わせて息を吸ってしまうかも!? 指揮者のすごさがリアルに体験できる作品。スポンサーの倒産により解散してしまった交響楽団が、「謎のジジイ」によって再び結成されます。練習場所は寂れた商店街にある、鉄板商店のプレハブ工場(こうば)。トイレは屋外の簡易トイレ、休憩所は運動会で良く見るあの白いテント…。楽器の維持費に移動手段に輸送手段に、練習場所の確保。音楽活動はとにかくお金がかかるので、一握りの奏者以外は常に貧乏。こんな環境で、最高の音楽は創れるのでしょうか!?いろんな「オケあるある」に「楽器あるある」も詰まっていて、ちょっと近寄りがたかったオーケストラ団員も、身近で面白い存在に変わりますよ。
菩提樹寮(リンデンホール)のアリア
大人気乙女ゲーム『金色のコルダ3』のコミカライズです。音楽科のある高校でヴァイオリン修行中の主人公が、オーケストラ部を舞台に他校の天才奏者達とコンクールで競います。ジャンルこそ乙女ゲームですが、内容は演奏で相手をねじ伏せるアツいガチンコバトル!「お前の演奏には華が無い」「貴様を叩き潰す」と豪語してくる相手に負けず、ひたすらコツコツ練習して、優勝を狙います。ヴァイオリンだけではなく、オーケストラで活躍する楽器事情にも詳しくなれますよ。
原作のゲームメーカーは『アンジェリーク』『遙かなる時空の中で』シリーズなどヒット作ばかりのコーエーテクモ。健全で分厚いシナリオと安心安定のシステムに定評がある、正統派シリーズです。漫画で興味を持ったら、ぜひゲームも手に取ってみてください。
▼『金色のコルダ』シリーズ、伝説の始まりはこちら▼
ロック・ジャズ・ポップス
BLUE GIANT
もはやジャズ漫画の殿堂。仙台に住む高校生の大(だい)が、ジャズの世界に魅せられ、テナーサックスを手に世界一を目指します。大が心を揺さぶられたジャズバンドのライブ、河原で我流のままブカブカビービー吹き鳴らす大のテナーサックス。どちらも当然実際に音は聞こえませんが、誌面から発せられている熱量と迫力が、感覚のすべてを揺さぶってきます。テナーサックスの音に馴染みのある方なら、大が今どんな音を出しているのか想像がつくのではないでしょうか。自由だからこそ難易度の高いジャズの世界。世界で活躍する日本人のジャズ演奏者は多くありません。そんな世界に大きな夢を意志を抱えて挑む大の青春物語を、ぜひ見届けてください。ジャズを聴くなら、断然ライブ。その日そのときそのステージでしか聴けない、プレイヤーたちの音遊びが持つ熱量と迫力は、大だけでなくあなたにも楽器を手に取らせてくれますよ。
なお続編として、ヨーロッパ編の『BLUE GIANT SUPREME』全11巻、ジャズの本場であるアメリカ編『BLUE GIANT EXPLORER』が現在ビッグコミックにて連載中です!
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん
主人公の本田紫織は、地味でさえない高校教師。家族の借金返済に追われる毎日のあるとき、ギターの神様ジミ・ヘンドリックスの幽霊に取りつかれ、27歳までに音楽の伝説を残さないと死ぬ呪いをかけられてしまう。死にたくない紫織は呪いを回避するべく、過去に手放したギターを、再びとる。これだけ書くと荒唐無稽な設定ですが、諦めるしかなかった過去の夢をそれこそ死に物狂いで追いかけるという、非常にアツくて心臓に突き刺さる作品です。演奏ページのどこを開いても、ストラトギターへの愛が伝わってくる緻密でロックな作画。奇をてらっているように見えて、その実整頓された構成にきっちり回収される伏線。バンドだけでなく、吹奏楽や他の楽器のカッコよさと楽しさがこれでもかと伝わってくるエピソード。しんどさと面白さが交互にやってくる温度差で風邪をひいてしまいそうになります。過去にギターを掻き鳴らしていた人もそうでない人も、一緒に音楽やろうぜ!
ギターショップ・ロージー
ギターが好きならこれを読め。ギター好きさんのための、ロックでマニアックすぎるギター漫画はこちら!ギターのことがわからない方でも、読後は必ずyoutubeで数々の音色を検索し、「ギターかっこいい!!」と痺れることでしょう。舞台はギターの修理店。そこにさまざまな事情を持つギターが持ち込まれ、同時にさまざまな道を歩んできた人の想いが垣間見えてきます。ギターを嘗め切った人間を1回のストロークだけで黙らせる、成熟された音の表現も鮮烈。リッケンバッカーの6弦ラップスティール、58年製フェンダーのテレキャスター、グレッチ・ジェットのファイヤーバード。マニアならソワっとしませんか?今は呪文に見える方でも、読後はストラトとテレキャスの違いまで語れるようになっているかも!?
Change!
和歌を嗜むお嬢様が、バイブスの効いたライムでウェビーなMCをブッ倒します。『め組の大吾』『昴』の作者による、今度はラップバトルがテーマの作品です。あまり馴染みのない方にざっくり説明すると、ヒップホップのカッコいい曲に合わせて即興で考え韻を踏み、どちらがよりクールな言葉遊びができるかを競うバトルです。優等生のお嬢様だって、毎日思い悩むことばかり。そんな心のモヤモヤを、ちょっと悪い言葉で一気に発散!物理ではなく言葉で殴り合っていると、SNSのレスバトルも強くなれそうですね!全6巻と集めやすく、ヒップホップの知識が無くても楽しめます。ちょっと悪いイメージが強いかもしれませんが、ラップにもさまざまなスタイルがあり奥が深いので、興味を持った方はぜひ調べてみてください。
パリピ孔明
三国志の英雄・諸葛亮孔明、五丈原にて没す。と思いきや、若返って現代にタイムトリップしたので、駆け出し歌姫のP(プロデューサー)になります。脈絡のない単語を並べているわけではありません、あらすじです。策を巡らすは国政や戦場ではなく、歌姫の売り込み。SNSだって使いこなして、バーテンダーもイベントスタッフも全部こなします。一見とっちらかった印象の設定ですが、きちんと説得力のあるエピソードで補完して笑いに変えているため、読んでいて雑然とした印象になりません。時折挟まれる三国志ネタにもクスッと笑えます。『横山三国志』、『北方三国志』の次は、ぜひこちらのパリピ孔明をどうぞ!
ぼっち・ざ・ろっく!
人前での演奏に難ありのネガティブぼっちギタリストが、ロックバンドに加入します。形式は4コマのギャグ漫画。始終リアルすぎる主人公のぼっち描写は、同属性の方にとっては背骨が冷たくなるほど共感できてしまいます。ぼっちの心情を理解したい方はぜひお手に取ってください。しかし、ライブのシーンは一転。大好きなギターのためなら、という情熱が、ぼっちもネガティブもまとめてねじ伏せロック!それまで積み上げてきたぼっちギャグをすべて清算してしまうかのような、背骨が痺れるほどのカッコ良さです。ぼっちこそ、音楽を。そんな気持ちにさせてくれますよ!
【推しの子】
表紙に騙されないでください。明るいコメディの『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカさん原作、仄暗い絶望と葛藤が渦巻く『クズの本懐』の横槍メンゴさん作画という、最強タッグによる陽と陰のハイブリッド作品!内容はゴリゴリのサスペンス。でもエピソードは赤坂テイスト全開のギャグだらけ。笑いと絶望が絶妙に混ざり合い、常に「思ってたのと違う」と振り回される先の読めない展開が最高に面白いですよ!ネタばれ回避のためストーリーには触れませんが、アイドルグループで誰がセンターになるかを決める歌唱バトルのくだりは、爆笑不可避です。なお1巻は序章です。ぜひ1巻ラストの爆弾に爆ぜて、2巻からの本格的なストーリーに震えてください。掲載誌は『ヤングジャンプ』、「次にくるマンガ大賞 2021」コミックス部門1位の人気作品をスルーするのはもったいないですよ!
BECK
こちらの作品を読んで、ギターやバンド活動を始めた方は多いのではないでしょうか?アニメ化に実写映画化にと他メディア展開も絶好調だった、バンド漫画のド定番です。平凡な生活を送るはずだった平凡な主人公・田中幸雄14歳。ある日いじめられていた犬を助けたことで、音楽の道へと進むことになります。最初は「音楽楽しい!ギター楽しい!仲間と楽しい!」であふれていても、プロの世界に飛び込むこととなると、そうも言ってはいられません。そんな葛藤がありつつも、しっかりと自分の意志をもって夢に向かう皆の姿に、思わず涙してしまいます。伝説となったフェスのシーンは、実際に某アイドルグループが果たしたことでも有名になりました。「漫画作品だから」「少年漫画だから」という言い分も十分に理解できますが、まずは自分の勢いのままに、あなたもギターを手にしてみるのはいかがでしょうか?
Eから弾きな。
ギターを始めてみようかな?と思っている人に絶対おすすめな作品はこちら。苦労の末定職につけた主人公・三蔵が、触ったこともないギターを押し付けられ1カ月後の大きなライブで神演奏をしろと無茶振りされます…社長の娘から。しかも三蔵は左利きのため、右利き用ギターを自分で調整するところから…牛骨を削って。ギターを初めて触る三蔵の視点を掘り下げたエピソードでストーリーが進んでいくため、コードの押さえ方などギター初心者にわかりやすい内容です。ライブのシーンも、 観客ではなく演奏者視点。ライブでステージに立つバンドマンたちはどこか自分とは違う世界の人間だと思っていても、三蔵と一緒に練習していくうちに、自分も練習したら同じステージに立つことできるのだと現実的に実感できますよ。全3巻とすぐに読める、ギターの教科書はいかがでしょうか?
ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- side B.B & M.T.C
ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- side B.B & M.T.C
原作 | EVIL LINE RECORDS |
作画 | 蟹江 鉄史 |
出版社 | 講談社 |
出版年月 | 2019年6月 |
ジャイアンの声優さんが、上手すぎるラップを披露している作品はこちら。大人気音楽原作キャラクタープロジェクト『ヒプノシスマイク』、通称ヒプマイのコミカライズです。第三次世界大戦で荒廃した日本を舞台に、ラップバトルで陣取り合戦!個性豊かでカッコいい6チームが武器ではなく言葉で争います。こちらはそのジャイアンの声優・木村昴さんが演じるキャラクターのチーム、イケブクロの「Buster Bros!!!」と、ヨコハマの「MAD TRIGGER CREW」にスポットを当てたストーリーとなっています。最初にリリースされたドラマCDの内容をより掘り下げ補完したものとなっているため、声優さんの演技やラップ自体を聴きたい方はドラマCDをおすすめします。ぜひジャイアンの上手すぎるラップに戦慄してください。
▼公式チャンネルによる曲の視聴はこちら▼
カラオケ行こ!
パワーワードを並べます。ヤクザが、「絶対音感を持つ組長主催のカラオケ大会で最下位になりたくないから歌い方教えて」と、合唱部の中3男子に助けを求めます。奇妙で切なくて面白すぎる、友情漫画です。この一冊で完結している短編のため、理解できない方はもう何でも良いので読んでみてください。始終ドン引く主人公の顔の連発に、おなかを抱えて笑ってしまいますよ。他にもあちこちでナチュラルに笑わせられてしまうため、公共の場で読むのはリスクが高いかもしれません。作者は、2021年の漫画大賞3位『女の園の星』の和山やまさん。同人誌として発表されたものに、書き下ろしを追加して出版されたものです。ヤクザと中学生男子というかけ離れた彼らが、少しずつ友人になっていく様子を、爆笑しつつ涙しつつ見守ってください。
和楽器
この音とまれ!
読後は確実に箏教室を検索したくなります。お母さまが箏教室の主宰者、お姉さまがプロの箏曲家という、箏一家の作者による本格派。不良の主人公が廃部寸前の筝曲部を立て直そうと奮戦する、涙しか出てこない青春漫画です。箏の描写は支柱の位置から弾く弦までとにかく正確で、描写される練習方法もお教室の先生に指導される内容そのまま。決して精神論だけで素晴らしい演奏をさせず、奏者が毎日地道にこなす基礎連に基づいた習熟度がリアル。とにかく箏の面白さを知ってほしい、箏を身近なものにしてほしいという作者の箏愛が、ページの至る所からひしひしと伝わってきます。上品なイメージの箏ですが、実際の生演奏はド迫力の一言!奏者の緻密で美しい動きだけでなく、しなやかで強靭な弦の音に体の芯まで震わせられますよ。ちなみに作中に登場するオリジナル曲はすべて作者の身内による作曲、なんとCDもリリースされています。こちらの作品を機に、箏の音にもとまってみませんか?
▼こちらの公式サイトで作中オリジナル曲を聴くことができます!「流星群」中央の女性奏者が、作者のお姉様だそうです。
ましろのおと
『赤ちゃんと僕』の作者による、じっくりと味わう津軽三味線漫画です。大好きな祖父の死をきっかけに、故郷青森から津軽三味線だけを背負って上京した主人公が、自分の音を探します。流派にもよりますが、津軽三味線はとにかく速く激しく叩きまくる奏法がロック!歴史や沿革も和楽器の中では比較的ライト。人口もそれなりに多く、函館などの青森近隣では教室に通っている子も珍しくありません。実はバンドとも親和性の高い和楽器。さまざまな人間ドラマと一緒に、三味線の可能性を見届けてみてはいかがでしょうか。
なでしこドレミソラ
和楽器の魅力が詰まった作品はこちら!地味な主人公が高校デビューして和楽器バンドに入ります。三味線、尺八、箏、篠笛、太鼓と幅広く、しかしあまり専門的になりすぎず、「こんな和楽器もあるんだよ」という寄り添ったストーリー。始終穏やかな気持ちでページをめくれる、仲良し青春ものです。ふわっとかわいらしい雰囲気の絵柄に、演奏中の描写はきらきらと雅。テレビでしか見たことのない、お堅いイメージがある和楽器も、あっという間に身近なものに感じられますよ。
吹奏楽・合唱
SOUL CATCHER(S)
『ジャンプ』らしいファンタジーバトル吹奏楽漫画!吹奏楽を題材にした少年漫画としては、間違いなく最高傑作です。相手の感情が見えてしまうせいで人と接することが怖い主人公が、吹奏楽と出会い、その世界を広げていきます。現実の吹奏楽事情とファンタジーな設定のバランスがとにかく絶妙です。吹奏楽部経験者しかわからない事情を、よくぞここまで世界観に合ったエピソードに落とし込んだなと、ページをめくるたびに感服します。楽器の種類や人数の多さなど、絵で表現するのが難しい題材。にもかかわらず、作中の音や感情の作画表現も天才的で、文化部イメージの強い吹奏楽を見事に友情・努力・勝利の熱血バトルに仕立て上げています。いわゆるトンデモ設定ではありますが、そういった表現が苦手ではない方は、間違いなく魂を掴まれますよ。全11巻、クラシックもロックもジャズもスカもなんでもウェルカムな吹奏楽部の音楽バトルを、応援してみませんか?
青空エール
少女コミックおすすめ人気ランキング殿堂作品!実在の高校を舞台に描かれた、本格派吹奏楽漫画です。トランペット初心者の主人公が、どこまでも真っすぐに頑張ります。トランペットの魅力や練習方法なども細かく描かれているため、読んでいくうちにトランペットがどんどん好きになっていきますよ。真剣に取り組むが故のぶつかり合いも、ストイックな強豪校のあるあるです。このぶつかり合いを乗り越えて、心を合わせて音を奏でられたときの高揚感は、何物にも代えがたい。真っすぐで、爽やかで、清々しい。そんなタイトル通りの青春を味わいたい方は、こちらをお読みください。
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ
京都アニメーション制作によるアニメも大ヒット!原作が小説のコミカライズ版です。流されやすい主人公が、流されて落ちぶれた吹奏楽部に入部、更に流れで全国大会を目指すことになります。強豪校ではなく、更に人数の多い吹奏楽部。部員同士の温度差から本気のぶつかり合いもあれど、仲間たちとゆっくりしっかり団結していく様子は、胸にしっかり感動をしみこませてくれますよ。コンクールの結果発表のシーンは、何度読んでも涙が止まりません。原作の小説もアニメもとにかく素晴らしいため、こちらのコミックスを手に取る際にはぜひ他のメディア作品もご覧ください!
みかづきマーチ
キャッチコピーは「8分間に捧げる青春」。マーチングバンドがテーマの漫画です。大人数で演奏しながら隊列を組んで、一糸乱れぬ動きを華麗に披露!興味が無い人でも思わず目が奪われてしまう、そんなマーチングの世界に、勉強に縛られ擦り切れそうだった主人公が飛び込みます。絵柄はかわいらしくきらきらとしていますが、躍動感と迫力はきっちりと心臓をブッ叩いてきますよ。モデルにした秋田の穏やかな風景に癒され、夢を追ってもがく彼らの青春に涙してください。
はしっこアンサンブル
工業高校で合唱部という、一風変わった設定の青春漫画!自分の低すぎる声がコンプレックスの主人公・藤吉が、熱血合唱少年の木村と出会うところから始まります。序盤は、まるで動く音響マシーンのような、合唱の知識の塊である木村君にとにかく圧倒されます(笑)しかし読み進めて合唱の知識がついてくると、あら不思議。木村君の言っていることがわかるようになっています。こうした専門用語にしても説明の一つひとつが丁寧なので、合唱に全く興味がなくても楽しめますよ。丁寧に描かれているため、冒頭はかなりゆっくりとしたストーリー運びです。木村君の合唱オタク知識に怯まず、まずは2巻まで読んでみてください。
まとめ
身近にあるものだけれど実はあまり良く知らない、音楽の世界。そんな世界をテーマにした面白い作品をご紹介しました。音楽の良い所は、何歳からでも始めることができて、何歳でも楽しめるところだと思います。始める理由なども、「カッコいいから」「漫画で興味を持ったから」そんなシンプルで良いんです。"音"を"楽しむ"のが音楽なのですから!好きな音楽ジャンルや気になる楽器をもっと好きになれる、これらのコミックスを手にとってみるのはいかがでしょうか?
ライティング担当 : miz札幌在住30代2児の母。レトロゲームとクラシック音楽が大好きで時々自分でも弾く。ムーミンのアニメを観ることと、子どもたちの寝かしつけ後にやるサバイバルアクションホラーゲームが日々の癒し。博物館や郷土資料館の類が好きだが、シビアな開館時間の前によく惨敗している。インドア派だったのが活発すぎる子どもたちによってアウトドア派にさせられた。司馬遼太郎、M・ルブラン、川原泉、藤田和日郎作品が好き。 |