• 2023/04/14
  • 2023/03/06

【本屋大賞2023】ノミネート作を一挙紹介!今年の大賞は?

<本屋大賞2023>書店員がいちばん売りたい本を選ぶ「本屋大賞」。2023年の大賞が発表されました!ノミネート作も毎年のことながら、甲乙つけがたい傑作揃い。古本店『もったいない本舗』のスタッフも全作品読んでみました。皆さんもぜひチェックしてみて下さいね!

【本屋大賞2023】TOP画像
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「本屋大賞」ってどんな賞?

2023年4月12日(水)<2023年本屋大賞>が発表されました!今回で記念すべき20回目の開催となります。

<本屋大賞>とは、NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営する文学賞。全国の書店員が投票により「いちばん!売りたい本」を選ぶ賞です。本好きの皆さんはもちろんのこと、普段あまり読書の習慣がない人でも本屋大賞受賞作品だけは気になるという人も多いのではないでしょうか。

この賞を選ぶのは書店員の皆さん。芥川賞や直木賞など決まった選考委員が選ぶ文学賞とは違って、私たちと同じ読者の視点からおすすめしてくれる本というのはとても身近に感じられますよね。小説の技巧や専門的な知識など関係なく、単純に「とにかく面白い、他の人にも読んで欲しい」という本がノミネートされるため、最近では数多ある文学賞の中でもとりわけ人気のある賞になりました。

<2023年本屋大賞の発表スケジュール>

2022年12月1日(木) 一次投票スタート。一人3作品を選び投票する。
2023年1月20日(金) ノミネート作品発表&二次投票スタート。
ノミネートされた10作品をすべて読み、ベスト3に順位をつけて投票する。
2023年4月12日(水) 大賞作品発表!発掘部門、翻訳小説部門の発表も。

<2023年本屋大賞発表!>大賞&今年のノミネート作品は?

さて、それでは今回本屋大賞にノミネートされた対象作品10冊はどんな作品なのでしょうか?どれも2022年に話題になった本ばかり。『このミステリーがすごい!2023年版』国内編で首位を獲得した『爆弾』や、SNSでネタバレ厳禁として話題になったミステリー『方舟』、さらに本屋大賞ノミネート常連の凪良ゆうさんや青山美智子さんの作品もノミネートされています。

※クリックでレビューに移動
2023年本屋大賞(第20回)
大賞 『汝、星のごとく』(凪良ゆう)
2位 『ラブカは静かに弓を持つ』(安壇美緒)
3位 『光のとこにいてね』(一穂ミチ)
4位 『爆弾』(呉勝浩)
5位 『月の立つ林で』(青山美智子)
6位 『君のクイズ』(小川哲)
7位 『方舟』(夕木春央)
8位 『宙ごはん』(町田そのこ)
9位 『川のほとりに立つ者は』(寺地はるな)
10位 『#真相をお話しします』(結城真一郎)

【書評】各ノミネート作品のあらすじ&感想

毎年感じることなのですが、ノミネートされた10作品はどれも甲乙つけがたい傑作ばかりで、1位を選ぶことが本当に難しい!もちろんどの書店員さんにもミステリーやファンタジー、歴史小説など「自分の好きな文学ジャンル」があると思いますが、<本屋大賞>の趣旨は、世の中の読者に「一番売りたい」と自信を持っておすすめする作品。

『かがみの孤城』(辻村深月)、『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎)、『村上海賊の娘』(和田竜)など歴代受賞作一覧を見ても、おそらく誰もが楽しめるであろう納得のラインナップになっています。それでもやはり、月日の流れとともにノミネートされる作品のコンセプトも多種多様となりました。今回はダイバーシティ(多様性)が重視される作品だったり、パンデミック後の世界が描かれていたりと、時代の流れを強く感じさせる作品が多いのが特徴です。

古本店『もったいない本舗』のスタッフsakuraも、大賞を含めノミネート10作品を実際に読んでみました!個人的におすすめしたい作品は星マークを付けていますので、ぜひ皆さんの読書計画の参考になれば幸いです。

大賞 『汝、星のごとく』(凪良ゆう)

汝、星のごとく

作者 凪良ゆう
出版社 講談社
出版年月 2022年8月
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★スタッフおすすめ!

『流浪の月』で2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうさん。今年も見事大賞受賞となりました!凪良さんは元々はBL作家だったことで知られていますが、以降に出版した一般文芸『わたしの美しい庭』『滅びの前のシャングリラ』そして今回の『汝、星のごとく』。どれも素晴らしいとしか言いようがなく、ジャンルの垣根を超えて執筆される凪良さんに尊敬の念しかありません…!本作は、風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生・暁海と、転校してきた少年・櫂の物語。ヤングケアラー、異常な親子関係、LGBT、SNSの炎上など現代の社会問題がリアルに描かれており、2人のすれ違いにやきもきしながら読み進めました。人生にはいくつかの分岐点があります。例え些細な選択に思えても、それが今後の人生を決定的に左右することもあるのですね。読み終えた後は、ただただ言いようのない切なさとそれを上回る美しさが尾を引き、しばし呆然としてしまいました。凪良作品は、いつも凪いだ心に一石を投じてくれます。

2位 『ラブカは静かに弓を持つ』(安壇美緒)

ラブカは静かに弓を持つ

作者 安壇美緒
出版社 文藝春秋
出版年月 2022年11月
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★スタッフおすすめ!

光の届かない静かな深海をゆらゆらとたゆたっているような…こんなにも深いところまで潜るような読書体験は久しぶりです。音楽の著作権侵害の決定的な証拠を押さえるため、スパイとしてミカサ音楽教室に潜入した全日本音楽著作権連盟(通称:全著連)の青年・樹は、2年にわたり生徒としてチェロのレッスンを受けることに。不眠に悩まされ鬱屈した生活を送っていた樹は、子どもの頃に習っていたチェロの楽しさを徐々に思い出し、凍りついた心が溶かされていきます。でも本来の目的はスパイであり、録音をして動かぬ証拠を押さえなくてはいけないのです。音楽教室のチェロ講師・浅葉との出会い。同じ教室に通う仲間たちとの楽しい時間。スパイという孤独な任務と深海で息を潜めるラブカの姿が重なり、読んでいるこちらまで息苦しくなってくるほどでした。それでも真っ暗な世界でも手を差し伸べてくれる柔らかな光は確実に深海まで届いていて。音楽の持つ力と師弟の揺らぐことのない信頼関係に、思わず涙腺が緩んでしまいました。

3位 『光のとこにいてね』(一穂ミチ)

光のとこにいてね

作者 一穂ミチ
出版社 文藝春秋
出版年月 2022年11月
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★スタッフおすすめ!

『光のとこにいてね』これはどういう意味なのだろうと思い、手に取ったのですが…これが最後の最後まで大事なキーワードになるとは…!ひょんなことから出会った2人の女の子、結珠と果遠。一方は裕福な家庭で、もう一方は団地住まい。住んでいる環境も性格もまるで正反対にもかかわらず、まるで磁石のように引き寄せ合う関係性に心震えました。小学生、高校生、そして大人になってからも。四半世紀にもわたり出会いと別れを繰り返す2人。打算も駆け引きもない、友情とも恋愛感情ともつかない特別な感情はなんと美しいのか。同時に、同調圧力や世間のしがらみって、ここまで足枷になるのかと恐ろしくも感じます。誰の視点で読むかで印象がガラリと変わりそうな作品ですね。夫の視点で読むと…また違った世界が見えるのでは。でも一度きりの人生、こんなにも一人のことを想えるのは幸せなことなのかもしれません。恋愛小説という安易なジャンルに括って欲しくない、珠玉の作品でした。

4位 『爆弾』(呉勝浩)

爆弾

作者 呉勝浩
出版社 講談社
出版年月 2022年4月
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『このミステリーがすごい!2023年版』『ミステリが読みたい! 2023年版』でともに2冠を達成した本作。これは間違いなく映像化すると思います。活字からこれほどまでに臨場感が生まれるのは凄いですし、取調室での知的攻防戦は手に汗握るの一言!ある微罪で連行されたスズキタゴサクという男は、取調べの最中に秋葉原での爆発を「予言」するのです。そして「ここから三度、爆発する」との予言。人を食ったようなのらりくらりとした言動と、愚かな人間を装いながらも目の奥では怜悧な知性を覗かせるスズキが、とにかく薄気味悪い。警察もこの男の言葉遊びに翻弄され続けるのですが、後半のスズキvs類家の知能戦はまさにジェットコースターのようなスピード感!正義や倫理、今まで当たり前だと思っていた価値観がひっくり返されるような極上のミステリー小説です。ひとつ注文をつけるなら、警察側のキャラクターにもう少し掘り下げた魅力が欲しかったところ。

5位 『月の立つ林で』(青山美智子)

月の立つ林で

作者 青山美智子
出版社 ポプラ社
出版年月 2022年11月
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青山さんの作品は、決して派手な展開だったり大きな起伏があるわけではないのですが、人間関係に悩んだときや、忙しない毎日に自分を見失ってしまいそうなときに手に取ると、まるですべてを包み込んでくれるような優しい気持ちになれるから不思議です。本作に登場するキャラクターたちは、私たちと同じように悩みを抱えています。自由奔放な弟にキツい態度を取ってしまう元看護師。夢を捨てきれない売れない芸人。仕事と家族の間で揺れ動く新進気鋭のアクセサリー作家。「月」をテーマにしてすべてのエピソードが緩やかに繋がり、やがて日常はほんの少しだけ違う方向に進み始めます。<新月>のように、大切なものは目に見えないけれど確かにそこに存在している。そんな気付きを与えてくれる素敵な作品でした。2021年、2022年ともに本屋大賞「2位」の青山さんですが、今年も残念ながら大賞とはならずでした。

6位 『君のクイズ』(小川哲)

君のクイズ

作者 小川哲
出版社 朝日新聞出版
出版年月 2022年10月
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『地図と拳』で第168回直木賞を受賞した小川哲さんの最新作は、なんとクイズ小説!やはり目の付け所が違うというか、小説としてはマイナーな部類に入るであろうテーマをミステリー仕立てのエンタメ小説にしてしまうとは、恐れ入りました。何度も優勝経験のあるクイズプレーヤー・三島玲央は、生放送のクイズ番組で対戦相手のタレント・本庄絆に負けてしまいます。しかし物議を醸したのはその回答。絆は、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し、優勝を勝ち取ったのです。玲央はこの「ゼロ文字正答」という不可解な事態を訝しみ、絆の調査を始めるのですが…。今までクイズとは知識と記憶力と場数に裏打ちされたものだと思っていましたが、本作を読んで本当に大事なものは「観察眼」と「想像力」なのだとわかりました。回答が思い浮かぶ前にまずボタンを押す。それから短時間で脳をフル回転させる。今までまるで経験したことがないような想像を絶する世界です。<ヤラセではないのなら、なぜ問題が読まれる前に回答することができたのか?>この究極のクイズの答えは、なんとも清々しく痛快なものでした。

7位 『方舟』(夕木春央)

方舟

作者 夕木春央
出版社 講談社
出版年月 2022年9月
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★スタッフおすすめ!

この本は絶対に!!!「ネタバレ厳禁」です。わりとミステリーは読み慣れてきているはずだったのですが、ラストのあの衝撃といったら筆舌に尽くしがたいです。SNSでも話題になり、なんとか皆さんネタバレにならないようレビューに気を遣っていましたね(笑)主人公は、従兄・友人たちと共に山奥の地下建築を訪れ、途中で偶然出会った三人家族と一緒に夜を越すことになります。しかしそこで突然起こった地震により出口がふさがれ、さらに水が流入し始める非常事態!クローズド・サークルにおける殺人事件は、世の中のミステリーマニアの心を掴むお馴染みの設定ではありますが、ラストのどんでん返しには肝をつぶしました。「方舟」とはよく言ったもので、読了後にこのタイトルの意味がじわりと効いてきます。本格ミステリーは一にも二にもまずはプロットありきなので、「感情移入しづらい」というデメリットはありますが、そんなことすらどうでも良くなるほどの至極の読書体験をお約束します。

8位 『宙ごはん』(町田そのこ)

宙ごはん

作者 町田そのこ
出版社 小学館
出版年月 2022年5月
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<親ガチャ>という言葉があるように、子どもは親を選ぶことができません。本作で登場する女の子・宙(そら)は、2人の母親が存在するというちょっと複雑な家庭環境で育ちます。宙を産んだ"お母さん"と、宙を育ててくれた"ママ"。"お母さん"であるカノさんは、美人でバリバリ仕事ができるけれど子育てがまったくできず育児を放り出します。最近は一風変わった家庭環境を描いた作品が、本当に多くなったなと思います。それだけ現代の家族の有り方は多様化してきているし、<家族>という単位は決して血の繋がりだけによるものではないということなのでしょう。『宙ごはん』というタイトルから受ける柔らかい印象とは裏腹に悲しいエピソードが多いのですが、それ以上に温かいごはんが持つ力というのを再認識させられました。そして何と言ってもビストロサエキのやっちゃんがいい男すぎて!やっちゃんから無償の愛と美味しいご飯が引き継がれていくのだと思うと、本当に涙が止まりません…。

9位 『川のほとりに立つ者は』(寺地はるな)

川のほとりに立つ者は

作者 寺地はるな
出版社 双葉社
出版年月 2022年10月
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表紙のファンタジックな美しさとは裏腹に、痛みを伴う作品。カフェで若き店長として働く有能な清瀬。彼女はある日、しばらく連絡を取っていなかった恋人・松木が怪我をして意識不明になっていることを知らされます。温厚だった松木がなぜ親友と殴り合いの喧嘩をしたのか?清瀬は松木の部屋で秘密のノートを見つけ、恋人が自分に隠していた秘密が徐々に明らかに…。清瀬はいつも正論だし、カフェのスタッフの仕事ぶりにやきもきする気持ちも痛いほどよくわかります。でも、人間ってどうしても自分の目に見えているものでしか判断ができないのですね。価値観を相手に押し付けることほど傲慢なことはなく、無知であるがゆえに人を傷つけていることにも気づかない。他人と優劣をつけて、勝手に自己嫌悪に陥って、人間ってなんとも因果な生き物だなと感じます。「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」のだけれど、それでも精一杯想像力を働かせることはできる。寄り添うこともできる。本作で明かされる真実は、切なくも優しさにあふれていて、改めて人間関係を大切にしようと思える作品でした。

10位 『#真相をお話しします』(結城真一郎)

#真相をお話しします

作者 結城真一郎
出版社 新潮社
出版年月 2022年6月
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この作品、話題になりましたね!メディアではもちろんのこと書店でも平積みで宣伝されているのをたびたび目にしました。マッチングアプリやYouTuber、リモート飲み会など現代ならではのガジェットが惜しげもなく使われているので、若い人なら「あるある」と頷けるだろうし、とても読みやすい短編集なので読書初心者の人には最適のノミネート作なのではないでしょうか。5つの短編から成るミステリーなのですが、本作の特徴はすべての作品に<罠>が仕掛けられていること。どの作品も読み進めていくうちに、形にならない小さな違和感が散りばめられていることに気付きます。その違和感がきちんと像を結ぶかどうかで、この作品に対する評価が分かれるのではないでしょうか。「気持ちよく騙された!」と思うか、「ミステリーとして少し物足りない」と思うのかはあなた次第。コミカライズもされたので、あわせてお楽しみ下さい!

まとめ

2023年で記念すべき20回目を迎える<本屋大賞>。今年ノミネートされた10作品をご紹介してきましたが、気になる作品はありましたか?今や本屋大賞は、読者にとっても作家にとっても、非常に価値のある文学賞になりました。全作品をコンプリートして大賞を予想してみるも良し、興味のある作品だけを拾って読んでみるのも良いでしょう。

そして「大賞」受賞作品だけがすべてではありません。ノミネートされた10作品すべてが本当に面白いので、機会があれば過去のノミネート作品も含めて手に取っていただきたいです。本屋大賞歴代の作品を遡っていくと、その時代がリアルに反映されていることに気付くはずです。古本店『もったいない本舗』では、過去の本屋大賞ノミネート作品を数多く取り揃えています。ぜひあなたのお気に入りの一冊を見つけて下さいね!

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sakura
ライティング担当 : sakura

札幌在住30代。本や少年コミックを読むことが大好きで、家事の合間にハイボールを飲みながら読書をするのが至福のとき。小説はイヤミス、ホラー、児童文学まで好きなジャンルは多岐にわたり、ラストですべてがひっくり返される「大どんでん返し」本を好んで読む。子どもの頃からホラー映画が好きで、最近は『死霊館』や『インシディアス』など心の奥底まで恐怖心をかきたてられるようなジェームズ・ワン監督作品に魅了されている。

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