• 2019/12/03

【角田光代おすすめ】心に刺さる名作をランキングでご紹介

女性の心のうちを描かせたら右に出る者はいない!と評される角田光代さんの小説を『もったいない本舗』スタッフがランキング形式でご紹介。キャリアウーマン、専業主婦、子育てに追われる母親、と立場や環境の違いで変わっていく女性の人生を描いた傑作たち。ぜひお読みください!

夕日の中、振り返る女性

地味にすごい!文学賞総ナメの角田光代作品

角田光代ファンならば、その魅力・力量は十分すぎるほどご存知かと思いますが、「そんなに詳しく知らないな」という人へ、まずは角田光代さんが小説家として成し遂げた偉業をご紹介しておきたいと思います。

1990年 第9回 海燕新人文学賞 『幸福な遊戯』
1996年 第18回 野間文芸新人賞 『まどろむ夜のUFO』
1998年 第13回 坪田譲治文学賞 『ぼくはきみのおにいさん』
2003年 第3回 婦人公論文芸賞 『空中庭園』
2005年 第132回 直木三十五賞 『対岸の彼女』
2006年 第32回 川端康成文学賞 『ロック母』
2007年 第2回 中央公論文芸賞 『八日目の蝉』
2011年 第22回 伊藤整文学賞 『ツリーハウス』
2012年 第25回 柴田錬三郎賞 『紙の月』
2012年 第40回 泉鏡花文学賞 『かなたの子』
2014年 第2回 河合隼雄物語賞 『私のなかの彼女』
2016年 第4回 新井賞 『坂の途中の家』

表にすると一目瞭然、そうそうたる受賞歴ですよね!もちろん文学賞の受賞と作品の面白さ、魅力はまた別物という意見もありますが、角田光代さんが文学界からも高い評価を得ていることがお分かりいただけると思います。

角田光代小説オススメ7選。ランキングでご紹介!

ではさっそく、ここで角田光代さんのおすすめ小説7冊をご紹介したいと思います!各作品のあらすじと感想を書いていますが、内容に関してネタバレを含むものもありますので、ご注意下さい。

1位 『対岸の彼女』

対岸の彼女

対岸の彼女

出版社文藝春秋

出版年月2004年11月

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(あらすじ)
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。第132回直木賞受賞作。

(BOOKデータベースより)

(感想)
仕事に嫌気がさして結婚を機に専業主婦となったものの、子育ても夫との関係も何だか上手くいかずモヤモヤしている主人公・小夜子と、起業してバリバリ働いてきた女社長・葵。一見対極的な二人の女性のそれぞれの過去、現在を行き戻りしながら進むストーリー。

仕事してお給料もらって何だって自由な日々が、結婚や出産で大きく変わってしまうことが多い女性の人生。ふと気付くと「私はこんな生活を望んでいたんだっけ?」と立ち止まるとき、ありませんか?そんな女性たちの不穏で繊細な心情を描き切った傑作。過去に人間関係で躓き、心に傷を負った経験を持つ二人が、もがきながらも逞しく生きていく姿に元気をもらえます。「大人になれば、自分で何かを選べるの?」という帯の惹句が胸に残る、女性必読の1冊。


2位 『紙の月』

紙の月

紙の月

出版社角川春樹事務所

出版年月2012年3月

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(あらすじ)
ただ好きで、ただ会いたいだけだった。わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。正義感の強い彼女がなぜ? そして——梨花が最後に見つけたものは?!  あまりにもスリリングで狂おしいまでに切実な、角田光代の傑作長編小説。各紙誌でも大絶賛され、ドラマ化もされた第25回柴田錬三郎賞受賞作。

(角川春樹事務所より)

(感想)
こちらはドラマ化のほか、宮沢りえさん主演で映画化もされた人気作です。とくに30~40代の女性に読んで欲しい1冊。ごく普通の主婦が若い男との恋に狂い犯罪に手を出し、身を滅ぼしていくーー。というと「自分には絶対あり得ない!」と思うかもしれませんが、なぜか本作には「自分にも起こり得ることなのかも…」と感じさせるリアルさがあります。年下の男の子と知り合ってから、高い化粧品や新しい洋服を買い集める…そんなところから人生の分かれ道は始まっているんです。

角田光代さんならではの書き込まれたディテールが物語に生々しさを与え、脳内で映画が再生されているように一気読みできる作品。手に汗握る異国でのラストシーンも印象に残ります。「あなたは梨花の人生をどう思いますか?」読んだ皆さんに聞いてみたい質問です。


3位 『ひそやかな花園』

『ひそやかな花園』

『ひそやかな花園』

出版社毎日新聞社

出版年月2010年7月

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(あらすじ)
幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。「あの集まりはいったい何だったのか?」別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める——。 親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、角田光代の新たな代表作誕生。

(BOOKデータベースより)

(感想)
いつもの角田作品とは少し違う雰囲気をまとった本作。子どもの頃に毎夏一緒にキャンプをしていた人たちとはどんな関係だったのか?登場人物がそれぞれの理由、感情を持ってその謎に迫っていく過程はさながらミステリ小説のよう。やがて解き明かされる謎も驚愕の一言ですが、そこは角田作品、人間の心理の奥深さを掘り下げて描き出しているので、“謎が解けて終わり”、ではなく思索を深めながら読むことができます。

ミステリ調のストーリーに「家族とは、親子とは」「幸せとは」という普遍的なテーマを織り込んだ、角田光代さんの実力を結晶化させた傑作小説。終盤、あるジャーナリストが綴った手紙が静かな感動を与えてくれます。


4位 『三月の招待状』

『三月の招待状』

『三月の招待状』

出版社集英社

出版年月2008年9月

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(あらすじ)
8歳年下の彼氏と暮らす充留は、ある日、大学時代からの友人夫婦の「離婚式」に招かれる。昔の仲間が集まるそのパーティで、充留は好きだった男と再会するが、彼は人妻となった麻美とつきあいはじめ…。出会って15年、10代から30代へと年齢を重ねた仲間たち。友情、憧れ、叶わなかった想い―再会をきっかけによみがえるあの頃の記憶と、現在の狭間で揺れる姿を描く、大人の青春小説。

(BOOKデータベースより)

(感想)
大学時代に仲が良かったグループの、メンバーそれぞれの人生を連作短編に仕上げてあり、まるで上質な連続ドラマを観ているような小説です。物語の始まりは、一組の夫婦の“離婚式”。学生時代から付き合って結婚したカップルはなぜ離婚に至ったのか?そして離婚式に参列するかつての仲間たち。久々の再会から始まるいくつかのストーリー。つかみもバッチリで何ともドラマ的な展開が読者を離しません。

学生時代の未熟だけど懸命だった恋愛を、卒業したようでしていない、大人になったようでなりきれてない登場人物たちにもどかしさを感じたり呆れたり。気付くと自分もグループの一員だったかのように物語に入り込んでしまいます。テンポも良くスラスラと読めるので、忙しくて時間のない人にもオススメの1冊。


5位 『森に眠る魚』

『森に眠る魚』

『森に眠る魚』

出版社双葉社

出版年月2008年12月

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(あらすじ)
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。

(BOOKデータベースより)

(感想)
子どもを通じて仲良くなった母親たちの関係が、少しずつ歯車を狂わせていくストーリー。「子どもをどこの幼稚園に通わせるか」「私立の小学校を受験させるか」ー。お互いの何気ない一言や行動に振り回され、疑心暗鬼にかられて常軌を逸した行動を取り始める母親たちの姿には恐怖すら感じます。人の心の闇をテーマとした“ホラー小説”と呼べるかもしれません。

実はこの小説、“お受験殺人”と呼ばれた、東京で実際に起きた幼女殺人事件をモチーフにしているとの説も。関東や大都市以外ではあまり馴染みがない“お受験戦争”をリアルに描いているので、フィクションではありますが本書を通じて一種独特な世界を垣間見ることができますよ。


6位 『八日目の蝉』

『八日目の蝉』

『八日目の蝉』

出版社中央公論新社

出版年月2007年3月

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(あらすじ)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。

(BOOKデータベースより)

(感想)
こちらもドラマ化&映画化された、角田光代さんの代表作のひとつ。「不倫相手の赤ちゃんを誘拐して育てる」という非常にショッキングなストーリーながら、多くの人の胸を打つ感動作となりました。子どもを持つ女性が読むと複雑な心境になるかもしれませんが、赤ちゃんを誘拐するという決して許されない大罪を犯した主人公・希和子を、どうしても悪と断罪できない読者も多いことでしょう。

人を罪へ駆り立てるのは何か、また人の心の傷を癒すのは何か、ということを考えずにはいられない作品です。同時に“やっぱり不倫は不幸を招く”という教訓も得られるかも…。


7位 『空中庭園』

『空中庭園』

『空中庭園』

出版社文藝春秋

出版年月2002年11月

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(あらすじ)
郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影……ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。第3回婦人公論文芸賞受賞。

(文藝春秋より)

(感想)
家族が1話ごとに主人公をつとめる連作短編の形で物語が進みます。感想を一言で言うと、「濃厚」。各話、家族それぞれが持つ秘密、心の闇、過去がドロドロと流れ出てきて息苦しさを覚えるほど。後半、京橋家の父・貴史の浮気を発端に話は大きく展開し、家族は揺れ動きます。いったい京橋家はどうなってしまうのか?サスペンス小説のようにラストまで一気読み必至です。

「家族ってなんだろう?」という疑問に、明確な答えはないのでしょう。自分がどんな人間たちと“家族”になるのかは運命の領域。その面白さ、哀しさ、愛おしさを見事に物語へと昇華させている作品だと思います。

番外編:ファンも知らない?隠れた名作の時代小説も

人形文楽

オススメ小説を一気にご紹介しましたが、いかがでしたか?番外編として、ファンにもちょっと意外な、角田光代さんの時代小説をご紹介しておきたいと思います。

曾根崎心中

近松門左衛門原作の人形浄瑠璃を角田光代さんが翻案した小説です。江戸時代、元禄期の大阪で実際に起きた醤油屋・徳兵衛と遊女・お初の心中事件をもとに書かれた本作。名作古典の口語訳はいろいろ出版されていますが、本作は角田光代さんの視点で原作にない部分も描いた意欲作です。
いつもの角田作品を読んでいると、時代小説というジャンルにピンとこないかもしれませんが、そこは我らが角田光代さん、江戸時代の古典を見事に「愛」「人生」という普遍的なテーマを軸にぐいぐい読ませてくれます。あとはもう圧倒的な悲恋物語に身を委ねるだけ。時代小説に苦手意識を持っている方も、読まずにいては損ですよ!

絶対にはずせない!角田光代さんエッセイ3選

角田光代さんといえば、小説のみならずエッセイの名手としても高い評価を受けています。著作もたくさんありどれも紹介したい作品ばかりですが、今回は【3冊】を厳選しました。

いつも旅の中

いつも旅のなか

いつも旅のなか

出版社アクセス・パブリッシング

出版年月2005年4月

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モロッコ、ロシア、ギリシャ、アイルランド、タイ、ミャンマー、キューバ…とまさに世界中を旅する著者が綴った旅行記。一人でぶらりと訪れる異国の中で著者が出会う人や出来事を鋭い感覚で記しています。一遍の紀行文としてももちろん楽しく読めますし、角田光代ファンならば「ああやはりこういう感じ方をするのね」と、より著者を知ることができたような気がするエッセイでもあります。

『ときに示唆する旅』の作中に、「先に何があるのか分からなくても自分一人で動き出さなきゃいけないときがある、でも大丈夫。自分に向けて差し出されるてのひらが必ずある」というような一文があります。“日常”という旅を続ける私たちへのエールのような名言ではないでしょうか。


幾千の夜、昨日の月

幾千の夜、昨日の月

幾千の夜、昨日の月

出版社角川書店

出版年月2011年11月

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“夜”をテーマとしたエッセイ集。子どものころの夜、旅先での夜、親を看取った夜などタイトル通り幾千もの夜についての話が綴られています。旅行中の外国で危険な目に遭った夜や、無数の虫が飛び込んでくる“地獄列車”で過ごした夜など。ハラハラドキドキするものや、恋をしていたときの話など、読者もさまざまな夜を読むことができます。

印象的なのはモロッコの砂漠で見た、月が昇る瞬間の描写。角田光代さんいわく「UFOが来た!」という、朝日ならぬ“夜月”の出現は、やはり旅に出た人にしか見られない景色なのでしょう。


わたしの容れもの

わたしの容れもの

わたしの容れもの

出版社幻冬舎

出版年月2016年5月

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「私というものの容れものになっている、体」について書いたエッセイ。50歳を目前にして感じる身体の変化を、角田光代さんらしくシビアに観察してユーモラスに描いています。例えば『変化の速度』にある、「三十代後半で、体のかたちが変わった、と実感したときがあった。太ったとかたるんだというのではない、“かたちが変わる”としか形容できない変化」という一文には「分かる分かる!」と思わず膝を打つ女性も多いのでは。軽く読めてクスっと笑えるところも多く、気分転換にオススメのエッセイ集です。

今回はたった3冊だけのご紹介ですが、まだまだ読んで欲しい角田光代エッセイは他にもたくさんあります。“食”や“お金”にまつわる作品もとても面白いので、ぜひお試しください!


まだまだあります!″角田光代″で検索!

角田光代にハマったら~こんな女流作家もオススメです!

ここまで角田光代さんの小説やエッセイをおすすめしてきましたが、最後に「角田光代さんの小説が好きなら、この作家も好きになるはず!」という視点で、他の作家もご紹介したいと思います。

巨大な本の上に横たわる女性

江國香織

恋愛小説の名手。繊細で不安定で魅力的な女性たちの恋愛を瑞々しく描いた小説多数。ハッピーエンドばかりじゃない大人の恋愛を、磨き抜いた言葉で綴っています。タイトルのセンスも秀逸で本棚に置いておきたい本ばかり。
 ★オススメ書籍: 冷静と情熱のあいだ(Blu)(Rosso)』 『号泣する準備はできていた


篠田節子

骨太で読み応えある小説に定評のある、日本を代表する女流作家。SF、ホラー、医学、音楽など執筆ジャンルが多岐にわたり読者を飽きさせません。絆を見失う家族の姿や、高齢化社会で親子の確執に悩む長女を題材にした作品などは世代や性別問わず受け入れられると思います。
 ★オススメ書籍: 女たちのジハード』 『コンタクト・ゾーン』 『長女たち


桐野夏生

女性作家としては珍しくハードボイルド小説を得意とし、強くて魅力的なヒロインが登場する小説が多いのが特徴。著者の作品からは女性の力強さ、たくましさ、生きる力を感じ、読者もエネルギーをもらえるはず。
 ★オススメ書籍: 顔に降りかかる雨』 『柔らかな頬』 『だから荒野

まとめ

今回は角田光代さんについてご紹介しましたが、いかがでしたか?「読んでみたい!」と興味を持ってもらえる作品があれば嬉しいです。

角田光代さんの小説を読んでいると、「自分に似ただれか」「身近にいるだれか」を見つけることができます。さまざまな登場人物たちに自分の姿を重ねるもよし、自分は選ばなかったであろう人生に思いを馳せるもよし。心地良く物語の世界に没入して、読書の楽しみを感じることができるはずです。

また、最後に紹介した他の作家たちの作品も素晴らしいものばかりですので、ぜひ手に取って読んでいただきたいと思います。


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otake
ライティング担当 : otake

札幌在住の40代2児の母。趣味は読書。小説からエッセイ、漫画まで何でもこいの雑食派。好きな作家は横山秀夫、誉田哲也、角田光代、篠田節子、乃南アサなど。とくに人間の本音や心の闇に迫る作品に惹かれる。テレビも好きで、笑えるバラエティで忘れた笑顔を取り戻す。一度手放した思い出の漫画たちを買い戻すことを目標に日々働く。すべての家事を終えて飲む一杯が一番の癒し。

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