- 2020/07/20
- 2019/02/14
小学生にオススメなのはどんな本?本が好きになる第一歩とは
「子どもにどんな本を読ませたらよいの?」と頭を悩ませている保護者の方、必見です!読書が楽しくなるような、面白くて笑える本、タメになる本、冒険や感動の物語など様々なジャンルの本を、低学年、高学年別に選んでみました。ぜひ子どもの本選びの参考にしてみてください。
読書のメリットとは?
今、多くの小学校や中学校では「朝の読書運動」と呼ばれる、自分で用意した本を10分間程度読むという時間が設けられています。授業とは違い、自分の好きな本をただ読むだけの時間です。なぜそのような取り組みがされているのかご存知ですか?
大きな目的は、子どもたちに読書の習慣をつけてもらうこと。本は少しずつでも毎日読むことで〈読む力〉が育ち、知らず知らずのうちに〈読解力〉や〈集中力〉が養われます。朝に集中して読書する時間を設けることで、一日を穏やかに過ごせるようになり、子ども同士のトラブルが減った、という学校もあるそうです。
また、他にも読書の効能としては、漢字力や文章力の向上など〈国語力〉がつく、物語を読むことで〈想像力〉がつく、他には良い気分転換になる、などがあげられます。
読書をすることで、人の気持ちがわかる子や、頭の良い子になって欲しいというのはもちろん、ただ純粋に「本が好きな子になってくれたらいいな」という親の願いは共通のものですよね。しかし、いざ本屋で子どもの本を選ぼうと思っても「うちの子の年齢には、どんな本が合うのだろうか?」と手が止まること、ありませんか?
そこで、今回は小学生におすすめの本を、低学年(1~3年生)と高学年(4~6年生)に別けて、様々なジャンルからご紹介していきたいと思います。
【低学年へのおすすめ本】まずは、"面白い&楽しい" から!
低学年といえば、入学したての右も左もわからないピカピカの1年生から、すっかり小学校生活に慣れた3年生まで、学年が上がるにつれて大きく子どもが成長する期間です。基本的には、子どもが読みたい本、好きな本を読ませると良いとは思いますが、それだと「うちの子は漫画や怪獣、怪奇シリーズしか選ばない…」なんて嘆く親御さんもいることでしょう。
ただ、今回低学年の子どもへのオススメ本を選ぶにあたり重視したのは、<読んで面白い、楽しいと思える本>です。なぜかと言うと、大人の目線からだと、どうしても「名作や良作を読んで欲しい」と思いがち。それよりも、まずは「本って面白いんだ!」と子どもに実感してもらうことが大事!それが読書好きになる第一歩だからです。
では、さっそくご紹介していきましょう。
★1~2年生向け
『スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし』 | (レオ・レオニ) |
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(あらすじ) |
こちらはアメリカで1963年に初版が発行されたロングセラーの絵本。
絵本というと乳幼児向け?と思う人もいるかもしれませんが、1年生くらいの子どもには絵本から入るのがちょうど良いと思います。読み聞かせても良いですし、だいたいひらがなが読めるようになる時期なので子ども自身に読ませてみるのも良いでしょう。
★1~2年生向け
『ずーっとずっとだいすきだよ』 | (ハンス・ウィルヘルム) |
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(あらすじ) |
大人も思わず涙してしまう感動のお話。ペットを飼っている人ならなおのことかも。ただ、よくある「飼っていたペットが天に召される話」だから泣けるのではありません。主人公の男の子がエルフィーにいつも語りかけていたこととは?
幼いながらも主人公が気付いた、大切な存在との心の通わせ方にハッとさせられるはず。あなたは大切な人に「大切に思っているよ」ときちんと伝えられてますか?
★1~2年生向け
『なぞなぞのすきな女の子』 | (松岡 享子) |
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(あらすじ) |
子どもって本当になぞなぞが大好きですよね!「なぞなぞ出して」とエンドレスにせがまれて困り果てた経験のある親も多いのではないでしょうか。ただ、この本はいわゆる "なぞなぞブック" のような、なぞなぞだけが羅列された本ではなく、きちんとストーリーのある絵本です。女の子とオオカミの掛け合いがとっても面白く、クスっと笑ってしまいます。また、本の見返しの部分にいくつかのなぞなぞが載っているので、子どもと一緒に考えるのも楽しいですよ。
★1~3年生向け
『おしりたんていシリーズ』 | (トロル) |
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(あらすじ) |
この表紙のキャラクター、一度見たら忘れられないですよね。" おしりのかたちの顔をした名探偵 "という設定がまず、小学生を強力にキャッチ!2012年に幼児向けの絵本シリーズから始まって、2015年には小学校低学年向けの児童書シリーズ(これまでに7冊発売)も加わり、あっという間に子どもたちの愛読書になりました。その人気ぶりから、2018年にはアニメ化もされています。
ストーリーは〈おしりたんてい〉が事件を解決する、というシンプルなものですが、面白キャラクターがたくさん出てきたり、合間にちょこちょこ挟まれる "おしりさがし" や"迷路あそび"など楽しめる要素がてんこ盛り。1年生だと、ひとりで読むには少し難しいところもあるかもしれませんが、そんなときは親子で一緒に読んでみてはいかがでしょうか。
★2~3年生向け
『ざんねんないきもの事典』 | (今泉 忠明 監修) |
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(あらすじ) |
この本は2016年に出版されて以来、じわじわと人気を伸ばしロングセラー大ヒット作品となりました。続編である「続ざんねんないきもの事典」と合わせると、なんと累計100万部を突破!
これまでにも動物の生態を説明した本や図鑑はさまざまありましたが、本書のヒットの秘訣は、何と言っても "ざんねんな" という着眼点でしょう。動物学者なら当たり前の知識も、普通の人にとっては面白いネタの宝庫だったのです。そこが子どものみならず大人も惹きつけたところでしょう。イラストと文章が半分ずつで見やすいレイアウトなので、読書に興味のない子どももサクサク読めますし、この本をきっかけに動物へ興味を持ってくれたら嬉しいですよね。
【高学年へのおすすめ本】読書の喜びを知ろう
高学年になると、挿絵のない長文や抽象的な説明文も読めるようになります。本が好きな子はどんどん難しい本にチャレンジしていき、6年生くらいにもなると大人が読むような一般書を選ぶ子も出てきますよね。しかし今回は、どんな子にも読みやすく、想像力がどこまでも広がるような、ワクワクさせてくれる物語たちをチョイス。小学生といえども、高学年は学校での友達関係や、塾や習い事などのストレスが出てくるお年頃。また思春期にさしかかり心身のバランスが不安定になる時期でもありますので、読書がストレス発散や気分転換の方法の一つになってくれたら、という願いも込めて選んでみました。
★4~5年向け
『怪談オウマガドキ学園』シリーズ | (怪談オウマガドキ学園編集委員会) |
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(あらすじ) |
低学年へのおすすめでは<なぞなぞ><おしり>と、子どもが必ず食いつくテーマをご紹介しましたが、こちらも定番中の定番、<怪談>です!「こわいこわい」と言いながらも聞かずにいられないのが子どもたち。1話3~5ページほどの短い怪談が1冊に10数話載せられており、飽きずに読み進められます。今風のイラストもふんだんに描かれていますので親しみやすく、シリーズ化されるのもうなずけます。「怪談レストラン」の姉妹版。怖いけど面白い!怪談を入り口に、本の面白さを感じて欲しいと思います。
★5~6年生向け
『黒魔女さんが通る‼』シリーズ | (石崎 洋司) |
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(あらすじ) |
こちらもシリーズもので、表紙が今どきのアニメ風のイラストで目を引き、とくに女の子の間で人気の作品です。<魔法><異世界>も、子どもが好きなジャンルですよね。 2005年発表の第1作目「黒魔女さんが通る!!チョコ、デビューするの巻」から5年間にわたって刊行され、いったん終了しましたが、子どもたちの熱いリクエストにより再び「6年1組黒魔女さんが通る!!」となって発売され、現在も続いています。
このシリーズには実にさまざまな性格のキャラクターたちがたくさん登場するので、必ず感情移入できる子がいるはず。自分のお気に入りキャラを追いながらシリーズ全巻制覇を目指しましょう!
★4~6年向け
『トム・ソーヤの冒険』 | (マーク・トウェイン) |
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(あらすじ) |
こちらは誰もが知っている世界的名作です。トム・ソーヤを知らない大人はいないのでは?それにしても <冒険> というキーワードは、なぜこれほどまでに好奇心を掻き立てるものなのでしょうか。アメリカを舞台に、わんぱくでいたずらっ子のトム・ソーヤが 友人たちと繰り広げる冒険の日々。驚くことに作者マーク・トウェインの実体験も多く盛り込まれているのだとか。
現実に目を向けると、小学校高学年の子どもたちの毎日は、残念ながら冒険とはちょっと遠いものかもしれません。でも本を開けばそこにはハラハラドキドキの冒険の世界が待っています。文字を追いながら、頭の中には映画のシーンのようにトムの冒険が鮮やかに浮かび上がる――。ぜひそんな読書体験を楽しんでほしいと思います!
★5~6年生向け(読書感想文にもおすすめ)
『西の魔女が死んだ』 | (梨木 香歩) |
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(あらすじ) |
主人公は学校へ行けなくなった中学生の女の子。"魔女"ことおばあちゃんと過ごした日々が彼女に与えてくれたものとは?温かな心の交流と、傷ついた女の子が再生していく物語。読後は静かな感動を覚えます。
子ども向けの作品というわけではありませんが、難しいところはないので、ぜひ手に取って読んでみて欲しい1冊です。そして、だんだん反抗期に入って「コミュニケーション取るのが難しくなってきたな…」と感じている、娘を持つ保護者の方たちにもおすすめです。思春期の子どもとの接し方のヒントとなるかもしれません。
★5~6年生向け(読書感想文にもおすすめ)
『くちぶえ番長』 | (重松 清) |
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(あらすじ) |
こちらは読みやすいのに内容が深いことで定評のある重松清が、子ども向けに書いた作品です。舞台はとある小学校の4年1組。主人公の女の子・まことがとても魅力的で、「こんな子がクラスにいたらいいなあ」とつい思ってしまうのではないでしょうか。しかも単なる<正義は勝つ>だけのお話ではないのが重松作品です。主人公の背負っている悲しい過去、他の登場人物の内面の感情の変化・成長が見事に織り込まれており、大人にもぜひ読んで欲しい作品となっています。
【番外編】読みやすさ抜群!知識も身につくこんな本も
さて、ここまで<低学年>・<高学年>それぞれオススメの本をご紹介しましたが、こちらは番外編として、違うジャンルの本をいくつかご紹介したいと思います。
『科学漫画サバイバルシリーズ』 (ゴムドリCO.)
この表紙を見たら、多くの子どもは「知ってる!」と声を上げるのでは。本屋でも児童書コーナーにずらっと並んでいるので目を引くと思います。 もともとは韓国で出版された人気作品で、日本でも翻訳、発売したところ大きな話題を呼び、瞬く間にヒットシリーズとなりました。他に、中国、台湾、タイなど世界各国で広く発売されています。
<サバイバル>とだけあって、"無人島"、"砂漠"、"宇宙" などでのサバイバル術のほか、"地震"、"異常気象"、"大気汚染"、"新型ウイルス" など、現代の世界的諸問題を積極的にテーマとして取り上げ、その中で人間はどう対応すべきなのか、また必要な知識を自ら学ぶことが過酷な状況の中で生き延びる術であるということを、漫画形式でとてもわかりやすく伝えています。
全編ほぼ漫画なので「文字ばかりの本がちょっと苦手…」という子どもにもオススメですし、1冊読めば「他の巻も読んでみたい!」となるので、読めば読むほど科学の知識も自然と頭に入りGOOD!
『冒険図鑑』 (さとうち藍・松岡 達英)
まずタイトルからして興味をそそりますよね!「冒険の図鑑ってどんなのだろう?」と手に取ったらもう最後のページまで読んでしまうこと間違いナシ。
内容はタイトル通り、野外で過ごすときの必要な知識、道具の説明、使い方などが一通り載っています。文章と図解で丁寧で書かれているので子どもにもわかりやすいと評判です。
実にシンプルな本ですが、実は発行は1985年、なんと30年以上前!しかし今でも色あせることなく人気のある本です。キャンプがブームの今、十分使える本ですので一家に1冊あると便利ですよ。
まとめ
「本を読むことは、とても良いことだ」と漠然とわかってはいても、実際には「どういう本を子どもに与えたら良いのかわからない…」と頭を悩ませている人は意外と多いのではないでしょうか。「本」は無数にジャンルがあり、その本を読むのに適した年齢や好みもあるので選ぶのが難しいものですよね。自分があまり読書をしてこなかった、という人ならなおさら、「書店の児童書コーナーで何時間もにらめっこ…」「よくわからないけど、とりあえず1番売れてるものを買ってきた」という経験がある人も少なくないはず。そんな方へ少しでも本選びの参考になれば幸いです。
最近では、「小学生がえらぶ!"こどもの本" 総選挙」など、子ども向けの本の人気ランキングも発表されているので、インターネットなどで見てみるのも参考になるのでおすすめです。
知識を増やすような勉強になる本ももちろん良いと思いますが、子どもたちには、まずは楽しく読めて、読書が好きになるような本と出会って欲しいと思います。
ライティング担当 : otake札幌在住の40代2児の母。趣味は読書。小説からエッセイ、漫画まで何でもこいの雑食派。好きな作家は横山秀夫、誉田哲也、角田光代、篠田節子、乃南アサなど。とくに人間の本音や心の闇に迫る作品に惹かれる。テレビも好きで、笑えるバラエティで忘れた笑顔を取り戻す。一度手放した思い出の漫画たちを買い戻すことを目標に日々働く。すべての家事を終えて飲む一杯が一番の癒し。 |