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  • 2018/12/20

【恋愛小説おすすめ4冊】甘いだけじゃ物足りない大人たちへ

本好きの皆さん、今回は【大人向け恋愛小説】のおすすめ本のご紹介です。甘く切ない、そしてどこか怖い…酸いも甘いも知る大人たちへ贈る恋愛小説。若い頃は分からなかった感情や人生の深さ、哀しさを味わえる作品を選びました。気になる本がありましたら、ぜひ読んでみて下さい。

手をつなぐカップルのシルエット

恋愛小説は好きですか?

厳しい暑さの夏が終わり、季節は秋~冬へ。読書するのにぴったりの季節がやってきます。皆さんは、いつもどんなジャンルの本を読んでいますか?ミステリー、SF、推理もの、青春もの…数多ある本の中でも「恋愛小説」は女性に人気ですよね。今回は<大人の人向け>の恋愛小説ということでセレクトしてみました。 恋愛小説というと、「男女が出会って好意を持って、すったもんだして最後はハッピーエンドでしょ…」なんてステレオタイプなイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。もちろん、登場人物に感情移入して恋愛の過程そのものを楽しみたい!という読者向けに、そのような王道の恋愛小説もたくさんありますが、今回ご紹介する恋愛小説は、一味違うもの。

例えばミステリーや推理ものであれば、”殺人事件”や”難しいトリック”という核がありますが、恋愛小説においては特段、派手な事件は起こりません。言うなれば”人間関係自体が大きな謎”としてテーマとなっているのです。 自分の恋人が何を考えているか?本当に自分のことを好きなのか?自分の知らない、相手の素顔とは…? 突き詰めると恋愛ももはやミステリーですよね。

そんな、”甘い”だけでは終わらない、切なさや怖さ、人の心の闇を巧みに描いている作品たちをご紹介しますので、 ふだん恋愛小説を読まない人や男性の方にもぜひ手に取って欲しいと思います!


 冷静と情熱のあいだ(Rosso:江國 香織 / Blu:辻 仁成)

(あらすじ)
親の仕事の都合で幼い頃からイタリア・ミラノに暮らすアオイ。母国である日本の大学に進学し運命の恋人・阿形順正と出会う。順正もまた親の都合でニューヨークで育ち、進学のため来日していた。儚げな雰囲気を纏いながらも芯の強さを感じさせるアオイと、純粋で感情豊かに想いを表現する順正。日本人ながらも海外で育った2人は惹かれあうように恋に落ちた。しかし2人の情熱的な恋は悲劇的な結末で終わりを迎え、傷心のままアオイはミラノへ戻る。その後、アメリカ人の恋人と同棲しながらアンティークジュエリーショップで働き何不自由ない生活を送っていたが、ふとした時に蘇る順正の記憶ー。

 

「2000年5月25日、私の30歳の誕生日にふたりでフィレンツェのドゥオモにのぼりたい」

かつて順正と交わした、他愛のない、けれども決して忘れることのなかった約束。"その日"に向かって運命は静かに廻り出す。果たして2人は再会を果たすのかー。


読みどころ1 アオイと順正、2人の物語を味わえる

この作品は、アオイの視点(江國香織)と順正の視点(辻仁成)での物語が交互に月刊誌で連載されるという珍しいスタイルも大きな話題を呼びました。単行本も、Rosso・Bluとアオイ・順正それぞれの物語に分かれて刊行され大ヒットし、映画化もされています。
恋愛小説において恋人両者の感情を作品の中で描き分けたものは多数ありますが、独立した別の物語として作られたのはこの作品くらいではないでしょうか?

アオイと順正が日本で過ごしたのは4年間ですが、Rosso、Bluそれぞれの作品で2人の生い立ち、家族との関係、友人たち、そして仕事のことが描かれています。それらを通して、アオイと順正の人物像がより濃く浮かび上がり読み手の中でイメージが膨らみます。感情移入したところで物語は核心へ進み、もうページをめくる手が止まらない!いったい二人はどうなるの?ラストまで一気読み必至です!


読みどころ2 実在の街の空気を感じることができる

本作品の主な舞台は、イタリア・ミラノ、フィレンツェ、日本・東京の梅ヶ丘など。映画化もされていますが、江國、辻両者とも、その街の空気を感じさせる描写が巧みで、読みながらミラノや東京の光景が浮かんでくるところもおすすめポイントです。
とくにアーティストである順正が表現する、それぞれの街の空。普段は意識しない毎日の空でさえ、一つの舞台装置になってしまうんです


読みどころ3 素敵すぎる約束

本書の一番のおすすめポイントは、なんといってもココでしょう!素敵すぎる約束、その舞台はイタリア。東京タワーでも富士山でもなく、イタリア・フィレンツェのドゥオモですよ!うっとりしてしまいますよね。この作品に影響されて新婚旅行をイタリア・フィレンツェにした、というカップルも続出したそうです。自分の身には決して起こらないであろう出来事も体験できるのが、読書の大きな魅力の一つですよね。




 私のなかの彼女 (角田 光代)

(あらすじ)
地方から大学入学のため上京した18歳の和歌は、大学で知り合った一つ年上の彼氏・内村仙太郎と交際を始める。レイトショーの映画、小劇場の芝居、隠れ家のようなスタジオで行われるアートイベント…和歌の知らない世界を次々と教えてくれる仙太郎。「そんなになんにも知らないでよく18年も生きてこられたな」と仙太郎に笑われることすら”愛されている”という特別感に思え、幸せいっぱいだった。

時代はバブル景気でどの業界も浮かれるさなか、散文やイラストを描いていた仙太郎は在学中に「アーティスト」として雑誌の連載を始め、まだ学生ということも業界で面白がられ、徐々にその名前は売れていった。和歌はといえば大学4年間で特にやりたいことも見つけられずなんとなく小さな出版社へ就職することに。卒論の担当教官に「(和歌なら)おもしろいこと見つけて書けると思ったんだけどな」と言われた一言が、その後の和歌の運命を動かすことになる。

就職してすぐのゴールデンウイーク、母から「蔵を取り壊すので手伝ってほしい」と連絡を受け実家へ戻り蔵を整理していた和歌。偶然、祖母・山口多栄が書いた1冊の本を見つけて、今まで知らなかった祖母の人生に興味を持つ。「どうして祖母は小説を書くのをやめたのだろうか…。」浮かんだ疑問に導かれるかのように自ら創作の道へ進みだす和歌。一編の小説を書き上げ新人賞へ応募したところ、予期せず作品が入選し、そこから和歌と仙太郎の関係は少しずつ変化していくー。


読みどころ1 二人の関係性の変化

田舎者の和歌に仙太郎が様々なことを教えるという、先生と生徒のような関係だった二人。しかし和歌が「小説を書く」という夢を持ち形にしていくにつれ二人の関係は変わっていくのですが、このあたりの微妙な感情の描写が本当に上手いです!共働きの男女で一緒に暮らした時の家事分担のくだりなど、経験したことがある人には「この気持ち分かるー!!」と共感すること請け合いです。

本作は全編を通し和歌の視点で書かれているのですが、仙太郎のことが大好きで付き合い始めたはずなのに、次第に純粋な恋情ではなくなっていく和歌の心の変遷が緻密に書き込まれています。和歌が作家としての才能を開花させるにつれ嫉妬心を滲ませる仙太郎。ただしこれは和歌の主観であって実際の仙太郎自身の心情は語られないので分かりません。仙太郎は本当に和歌に嫉妬していたのか?和歌の妄想、勘違いなのか。はたして仙太郎は本当に和歌のことを愛していたのかどうかー。読者に2人の関係性を生々しく想像させるところが大きな読みどころでもあります。


読みどころ2 恋愛とは?を考えさせられる

そもそも人を好きになるって、どういうことだったっけ?「物知りで尊敬できる人」がいつの間にか「傲慢で上から目線の人」になってしまったり、「優しくて言うことを聞いてくれる人」が「優柔不断で頼りない人」になってしまったり…。一言で「恋が冷めた」というのはかんたんだけど、そこに至るまでに2人の間にどのような事があったのか?それを追体験できるのが本書の一つのポイントでもあります。相手が変わってしまったのか、それとも自分が変わったのかー。和歌と仙太郎の関係の変遷は、誰にでも経験がある、恋愛における永遠に解けない難問の一つのように思います。二人の結末、読んだあなたはどう感じるでしょうか?




 紙の月 (角田 光代)

(あらすじ)
銀行でパート勤務の梨花・41歳。子どもに恵まれぬまま夫と二人穏やかな暮らしを送っていたが、少しずつ積もってゆく夫への違和感。そんなある日出会った、顧客の孫・光太。大学生の光太に好意を寄せられ、徐々に距離を縮めていく2人。まだ若すぎる光太との関係にのめり込んでいく梨花。光太と釣り合うためには高額な化粧品や洋服が欲しい、自主制作映画に夢中になっている光太を援助したい…。次第に梨花は銀行の金を横領するという常軌を逸した行動に走り、人生は大きく変わって行くー。


読みどころ1 スリリングな展開

こちらも角田光代の作品。宮沢りえ主演で映画化もされました。恋愛小説、という枠でくくるのはちょっと強引かもしれません。とにかく読み始めるとラストまでやめられない本です!梨花が銀行のお金に初めて手を付けた夏の終わりの蒸し暑い一日を、じっとり感じる。また、若い光太と一緒にいても不自然じゃないように自分を装いたい、若くいたい、光太を失いたくない、という梨花の切実な気持ちー。どの場面もなぜか自分が感じているかのような現実感をもって読むことができます。


読みどころ2 秀逸な登場人物の描写

本作品に深みを持たせるのが、梨花の友人や昔の恋人などの物語。横領事件を知って梨花を回想するとともにそれぞれの人生も描かれているのですが、そこがまた面白く読みどころなんです!登場人物が皆、複雑な事情と心の闇を抱えています。1冊の本でこんなにもたくさんのストーリーを堪能させてくれる作家はなかなかいないのではないでしょうか。




 息がとまるほど  (唯川 恵)

(あらすじ)
恋愛をテーマにした8編の短編集。上司と不倫しているが将来のため見切りをつけ同僚との結婚を決めたOLが最後の送別会で知ることとはー。昔から美人で周りにもてはやされたアラフォー独身OLの空虚な日々ー。仕事で成功を収め充実した生活を送るバツイチ女社長が年下の男性との出会いにときめき、華やかな妄想を膨らませていくがー。


読みどころ1 赤裸々に暴かれる女の本性

どの作品も女の計算高さや嫉妬深さ、狡猾さをこれでもかと赤裸々に描き出しており、男性が読んだならばホラー小説と思ってしまうのではないでしょうか?この作品を紹介したのは「恋愛というものがただ甘いだけのものではない」と痛いほど分かっている大人の人に読んでほしいからです。とくに女性なら、親友にですら抱く嫉妬心や劣等感、不倫している人への嫌悪感と羨望のないまぜになった感情など、「分かる…」と共感できる部分があるのではないでしょうか。他人には知られたくない、悟られたくない、内に秘めたドロドロした感情を、巧みなストーリー展開で読ませてくれます。


読みどころ2 幸せになる、とは?

いずれの作品に登場する女性も、ドロドロした感情にまみれながらも、幸せを掴みたい、でも思った通りにはいかない…、という哀しみを漂わせています。独身の人は結婚を夢見て、結婚したけど夫婦関係が上手くいかない人は自由を夢見て…と、いったいどこがゴールなのか、何が幸せということなのか、考えさせられます。若い頃に読んだ「好きな人と結ばれてハッピーエンド!」という物語には、実は長い続きがあることを知ってしまった大人だからこそ、深く読みこめる、おすすめの作品です。



児童向けの恋愛小説ってあるの?

手をつなぐ学生カップル

今回は『大人向けの恋愛小説』をおすすめしましたが、「児童向け、低年齢向けの恋愛小説ってあるの?」と聞かれることがあったので探し方をご紹介したいと思います。

児童向けの恋愛小説は作者やレーベルで探すのがベスト。漫画やアニメのような挿絵があったり、内容も児童向けに配慮されているものが多いので安心です。

また、書店にはたくさんの本がずらっと並んでいますが、“ティーンズ向け”の文庫が置かれているコーナーを設けている書店がほとんどです。「作者やレーベルもどれを選べばいいかよくわからない…」という人はそのコーナーを中心に探してみてください。きっと希望の本に出会えるはずです。


<児童向けレーベル>



● 講談社 青い鳥文庫
● 角川つばさ文庫
● 小学館ジュニア文庫
● 双葉社ジュニア文庫
● 集英社みらい文庫

恋愛小説が無料で楽しめちゃう?!

最近では、漫画や動画をスマホで見る人も多いと思いますが、小説が無料で読めるWebサイトもあるんです。少し前までは、小説家になりたいと思ったら出版社主催のコンテストに応募するのが小説家になるための近道だったと思いますが、今では小説の投稿サイトで話題になってデビューするという話もよく聞きます。

そんな作家になるための登竜門的存在の投稿サイトで発表されている小説はプロと同じくらい良い作品が多数あります。ジャンルも幅広く、いろんな作品があるのでお気に入りの作品がみつかると思います。ぜひ一度みてみてくださいね。

小説家になろう https://syosetu.com/

エブリスタ https://estar.jp/_novel_top

アルファポリス https://www.alphapolis.co.jp/novel

魔法のiらんどNOVEL https://novel.maho.jp/


まとめ

夕日を眺めて思い出に浸る女性

恋に恋していた若い時には分からないような、人生の機微やほろ苦い感情。それらを感じてもらえるような、大人の人にこそ読んで欲しい恋愛小説を選んでみました。なかには「これが恋愛小説?」って思うくらいちょっとゾッとしてしまう話もありますが、どの本も人間の心の奥底を覗き、真正面から描いた傑作だと思います。

そして、恋愛小説と一言でいっても、甘い恋・切ない恋・美しい恋や悲しい恋などフォーカスされる恋愛の種類は実にさまざま。また、恋とは視点が男性と女性でこうも違う風に感じるものなのかと考えさせられたり、恋愛のヒントを得られる恋愛小説はまるで〈恋愛の教科書〉のよう。この恋愛の教科書を参考にあなたの恋愛にもベストの解答をみつけてみてはいかがでしょうか。

また、恋愛小説というと女性向けと思われがちですが、男性が読んでも面白いと思います。ぜひ気軽に手に取って読んでみてくださいね。

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