• 2022/07/20
  • 2018/05/08

【ホラー小説おすすめ】スタッフ厳選!背筋が凍る怖い小説22選

ものすごく怖いけどページをめくる手が止まらない!そんなホラー小説に出会ったことはありますか?幽霊?怪奇現象?それとも一番怖いのは人間…?古本店『もったいない本舗』の読書好きスタッフが、思わず震え上がってしまうような<怖い小説>をランキング形式でご紹介します。

ホラー小説TOP画像

<ホラー小説>の魅力とは?

日に日に気温が上がり、夏が近づくにつれてひんやりしたものが恋しくなりますよね!もちろん、冷たい飲み物やアイスで涼しくなるのも良いのですが、怖いホラー小説を読んで、体の内側から冷たくするのはいかがですか?ひとたびページをめくれば、「怖くて読みたくない、もうやめよう」と何度も思うのに手が止まらない…なんてことも。たくさんのホラー好きさんから人気を得ている<ホラー小説>とは、いったいどんな魅力があるのでしょうか?一緒に紐解いていきましょう!

ホラー小説とは

恐怖を主題として、
読者に恐怖感を与えるために
書かれた小説のこと。

(wikipediaより)

ただ一口に<ホラー小説>と言っても、実はその種類はさまざまです。背筋が凍りつくようなものから、どこかノスタルジックな気持ちになるもの、ホラーとは対極にあるような愉快な気持ちになるものまであります。特に最近では、ホラーとファンタジーの境目が曖昧になった「ファンタジーホラー」というジャンルも人気です。幻想・怪奇小説の先駆者ラヴクラフトが手掛けたコズミック・ホラー(※)から、日本ではホラーブームの火付け役となった鈴木光司さんの『リング』など、実はホラーは名作揃い!

今回は古本店『もったいない本舗』のホラー大好き!スタッフsakuraが、定番ホラーからちょっとマイナーなホラーまで、「怖いけど面白い」ホラー小説を22作品ご紹介します。震え上がるような恐怖、体験してみませんか?

※コズミック・ホラーとは…SF要素を持つ宇宙的恐怖を描いた小説。

【幻想系・ファンタジー】ホラー初心者におすすめの5選

まずは、最近人気の幻想系・ファンタジーホラーからご紹介します。「ファンタジーホラーって何?ファンタジーなの?ホラーなの?」と思う人もいるかと思います。明確な定義は難しいですが、ガチガチなホラーではなく、どこか幻想的でファンタジーな要素を含んだ作品のことです。現実と空想の境目が曖昧だったり、ファンタジーな展開の中にもどこか毒を含んでいたりして、読み終わった後には何とも言えない独特な余韻が残ります。ホラーが苦手な人でも比較的読みやすい作品が多いので、ホラー作品が気になっている人はこのジャンルからチェックしてみると良いかもしれませんね!

幻想系・ファンタジーホラー小説

 1位 『夜市』(恒川光太郎)

夜市

作者 恒川光太郎
出版社 角川グループパブリッシング
出版年月 2008年5月
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日本ホラー小説大賞受賞作品。初めて読んだとき、「これがホラーなのか!」と驚きました。それまではホラーといえば、人を震え上がらせるようなとにかく「恐怖感」を与える作品が主流だったので、『夜市』のファンタジックで、それでいて一滴だけぽとりと毒を落としたような世界観に酔いしれました。欲しいものがなんでも手に入るという「夜市」を訪れたいずみと裕司は道に迷ってしまいますが、「何か取引をしない限りは、夜市から帰ることはできない」というのです。表題作の他、『風の古道』という作品も収録されており、こちらは少年が偶然に迷い込んだ古道であらゆる怪異に出会うというお話。個人的にはぜひジブリで映画化して欲しいです。

この本の特徴をcheck!
  • ファンタジー寄りのホラー
  • ホラー初心者でも読みやすい

 2位 『深泥丘奇談』(綾辻行人)

深泥丘奇談

作者 綾辻行人
出版社 メディアファクトリー
出版年月 2008年2月
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現実なのか妄想なのか、読んでいても一向にはっきりしてこない不思議な連作短編集です。京都(これも本物の京都なのか?)に建つ古びた「深泥丘病院」に通う主人公が次々と出会う怪異。浮かび上がる人面瘡、幽霊列車、まるで記憶を改ざんされていくかのようなめまい。終始ねっとりとまとわりつくような空気感と薄気味悪さがあり、幻想・怪奇小説好きな人にはぴったりです。かなり好みは分かれそうな気はしますが、一度より二度、二度より三度と、読めば読むほど味の出る小説。じわじわと現実を侵食されていくような感覚をお楽しみ下さい。続編に『深泥丘奇談・続』と『深泥丘奇談・続々』が出ているのであわせてどうぞ!

この本の特徴をcheck!
  • 現実、それとも妄想?終始ただよう薄気味悪さ
  • ハードカバーの装丁にも注目したい

 3位 『私の家では何も起こらない』(恩田陸)

私の家では何も起こらない

作者 恩田陸
出版社 メディアファクトリー
出版年月 2010年1月
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装丁が美しい一冊。丘の上にひっそりと立つ幽霊屋敷を舞台にした連作短編集です。かつて数々の惨劇が起こったというこの屋敷は、不思議な静寂に包まれています。『この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする』まるでちょっと不気味なおとぎ話のような雰囲気で語られていくのですが、ヒヤッとした怖さの中にもどこか懐かしさもあって。恩田さんのウィットに富んだ筆力に酔いしれました!さまざまな記憶が蓄積されたこの屋敷では、今後どんな物語が紡がれていくのか?何とも言えない余韻に浸れるホラーファンタジーです。

この本の特徴をcheck!
  • イギリスのホラーが好きな人にもおすすめ
  • 「屋敷」「館」好きな人は必読!

 4位 『Another』(綾辻行人)

Another

作者 綾辻行人
出版社 角川書店
出版年月 2009年10月
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先ほどの『深泥丘奇談』と同じ綾辻行人さんの作品ですが、この『Another』は全く毛色が違い、学校の怪談という雰囲気に近いかもしれません。主人公は転校してきた中学校で、クラスのおかしな違和感に気付きます。なぜかミサキメイという女子生徒を"いない者"として扱っているということ。主人公がミサキと話したことをきっかけに、次々と亡くなっていくクラスメイトとその家族。この「災厄」はどうしたら止められるのか?ホラーとミステリーが上手く融合した作品で、分厚い本にも関わらず一気読みです!クラスに紛れ込んだ「死者」を、あなたは見つけられますか?

この本の特徴をcheck!
  • ミステリー要素も楽しめるホラー
  • 学校という閉塞された空間が魅力

 5位 『私はフーイー 沖縄怪談短篇集』(恒川光太郎)

私はフーイー 沖縄怪談短篇集

作者 恒川光太郎
出版社 メディアファクトリー
出版年月 2012年11月
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沖縄在住作家だからこそ書けるこの作品。沖縄が舞台の短編集なのですが、生と死のはざまをふわふわと漂っているかのような感覚です。沖縄に行ったことがある方なら分かるかと思いますが、沖縄のどこか異国情緒ただよう雰囲気は怪奇譚の題材にぴったり。琉球の時代から独自の文化を持つ沖縄は、何が起こってもおかしくないという気がします。中でも『夜のパーラー』のタイトルとのギャップ、輪廻転生を描いた「私はフーイー」はとても魅力的なお話です。土着文化が好きな人にもおすすめ。文庫化に際して『月夜の島渡り』というタイトルに改題されています。

この本の特徴をcheck!
  • 沖縄の底抜けの明るさとその影
  • ちょっと変わった怪談を読みたい人に

【怪奇系】日本と海外の怖さの違いを楽しめる5選

日本人に最も馴染み深いのが怪奇小説。欧米とアジアでは「怖い」と感じるポイントが違うと言われていますよね。欧米では肉体的な恐怖(血が噴き出る、惨殺シーン…など)、アジアでは精神的な恐怖(暗闇で何かがいるかもしれない、何か聞こえる…など)が「死」への連想とつながって、恐怖を感じやすいそうです。

じめっとした何ともいえない雰囲気、見えそうで見えない怖さ、「かもしれない」という謎の怪奇現象に対する恐怖感はアジアならではですよね。舞台が日本だとさらに他人事とは思えないはず。いつ自分の身の周りに起こってもおかしくないことだと思えば、余計に鳥肌物です…!それでは、おすすめの怪奇系ホラーをご紹介しましょう。

怪奇系ホラー小説

 1位 禁じられた楽園(恩田陸)

禁じられた楽園

作者 恩田陸
出版社 徳間書店
出版年月 2007年3月
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過去に本屋大賞や直木賞を受賞した恩田さんですが、実はとても多くの引き出しを持っておりホラーもお得意ジャンルなんです!恩田ホラーといえば『月の裏側』や『エンド・ゲーム』が代表的ですが、個人的におすすめしたいのが『禁じられた楽園』です。ある美術家によって熊野に作られた野外美術館。そこは、子供の頃経験した<恐怖>を増幅させる迷路のようなインスタレーションだったのです。人間の体内を思わせるゴムのようなカーテンや、突如として訪れる怪奇現象など、読んでいて何度鳥肌が立ったことか。いつ読んでも背筋が寒くなるホラー小説です。

この本の特徴をcheck!
  • 子供の頃のトラウマを思い起こさせる
  • 自分が登場人物なら発狂します

 2位 残穢(小野不由美)

残穢

作者 小野不由美
出版社 新潮社
出版年月 2015年7月
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あるマンションの住人から「畳を擦る音がする」という怪異を相談された主人公が、調査に乗り出すところから物語は始まります。主人公=著者の小野不由美さんと思われるドキュメンタリータッチの作品で、それがなおさら現実味を帯びていて恐ろしいのです。何か派手な怪奇現象があるわけではなく、ふと気がつくとササッと畳を擦る音がするなんて、いかにもありそうな話じゃないですか。終始陰鬱な雰囲気に包まれ、あくまでも冷徹な筆致がじわじわと読者を恐怖へと誘い込みます。タイトル『残穢(ざんえ)』は、穢れ(けがれ)が残る…という意味。さて、その真相はぜひ本書を読んで確かめてみてください。

この本の特徴をcheck!
  • じわじわと恐怖がくる日本人好みのホラー
  • 自分の部屋で一人でいるのが怖くなるかも?

 3位 シャイニング(スティーヴン・キング)

シャイニング

作者 スティーヴン・キング
出版社 文藝春秋
出版年月 1986年11月
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モダンホラーの帝王と称される大御所作家スティーヴン・キングは、過去に数々の名作ホラー小説を手掛けています。『ミザリー』『キャリー』『IT』など、タイトルだけは聞いたことがある!という人も多いはず。中でもホラー愛好家なら絶対読むべき小説が『シャイニング』です。雪深く冬の間は閉鎖されるホテルに、一冬の管理人として妻子とともにやってきた小説家志望の主人公。でも実はそのホテルは、過去にある惨劇があり、今でもホテル内を亡霊たちがさまよっていたのです。精神的に追い詰められていく主人公、次々と起こる怪奇現象、そしてやがて見えるはずのない人間の姿も…。スタンリー・キューブリック監督による映画版では、俳優ジャック・ニコルソンが徐々に精神を蝕まれていく主人公を演じ話題となりました。ホラー好きなら、絶対に読んでおきましょう。

この本の特徴をcheck!
  • 外界から隔離された雪深いホテル
  • 映画もまた名作です

 4位 火のないところに煙は(芦沢 央)

火のないところに煙は

作者 芦沢 央
出版社 新潮社
出版年月 2021年6月
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「怪談」をテーマにしたドキュメンタリータッチの連作短編集です。いやぁ、これがまた怖いのなんのって!夜には読みたくないですね。一つひとつは日常の些細な違和感から始まるのですが、それだけにリアリティがあります。「火のないところに煙は」とはよく言ったもので、あまりにもその小さな違和感を追求しすぎると、きっと知らなくても良いことまで知ってしまう。こういう怪異は深入りしすぎない距離感がちょうど良いのでしょう…。それにしても隅々までよく練られた小説で、きっと読了後にある人物の名前をググってしまったのは私だけではないはず。版元と一緒になって壮大な仕掛けを作るスタンスは非常に面白いなと思いました。

この本の特徴をcheck!
  • フェイクドキュメンタリーというらしいです
  • 夜には読みたくないリアルな恐ろしさ

 5位 夜は一緒に散歩しよ(黒史郎)

夜は一緒に散歩しよ

作者 黒史郎
出版社 メディアファクトリー
出版年月 2009年8月
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とてつもなく嫌な気持ちにさせられるホラーです。(褒めてます)気持ち悪さもしかり、そしてところどころに挿入される擬音語の不気味さもまたしかり。主人公は、妻を亡くした後、幼稚園児の娘・千秋と2人で暮らしています。千秋は、ときどきあらぬ方向を眺めていると思えば、人の死んだ場所を好んだり、頻繁にスケッチブックに青い顔の女を描くのです。もしも自分の子どもだったとしても、こんな幼稚園児は気味が悪すぎるだろう…。登場人物が思うように行動しないのにイライラさせられるのはホラー小説の定石ですが、それこそが作者の思惑なのでしょうね。

この本の特徴をcheck!
  • 気味が悪いホラーが好きな人に
  • 映像で観なくて良かった

【現実系】結局一番怖いのは人間?ざらりとした怖さの6選

世の中で一番怖いものはなんだと思いますか?幽霊?怪異?それとも…?!次にご紹介するのは人間ホラーです。お化けや怪奇現象も勿論怖いですが、人間が持つ狂気や深層心理には想像もできない程の恐怖が潜んでいます。常軌を逸した人間、全く道理の通じない人間、冷血な人間…等々、心情表現のリアルさにはゾクッとさせられるものがあります。やっぱり、一番怖いのは人間なのかもしれませんね。

現実系ホラー小説

 1位 黒い家(貴志祐介)

黒い家

作者 貴志裕介
出版社 角川書店
出版年月 1998年12月
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人間はここまで残酷になれるのだろうかと思うぐらい、恐ろしい話です。生命保険会社の主人公が、顧客に呼ばれて子供の首吊り死体の発見者になってしまうところから悪夢は始まります。生命保険業界は色々裏があると言われていますが、人間の闇や狂気、異様さが中盤以降これでもかというほど際立ってきます。これがサイコパスというものでしょうか。タイトルの『黒い家』とはよく言ったもので、後半黒い家で追い詰められたときの恐怖感と言ったらもう筆舌に尽くしがたいです。思わず息を止めて読んでしまうこと必至!それにしても主人公の若槻は、若干脇が甘い感は否めません(笑)

この本の特徴をcheck!
  • 貴志さんはサイコパスを描かせると一流
  • 徐々に浮き彫りになる人間の狂気

 2位 リカ(五十嵐貴久)

リカ

作者 五十嵐貴久
出版社 角川書店
出版年月 1998年12月
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もう20年近く前の作品だということに驚きです。「出会い系」サイトから始まる恐怖なので、今読むと少し古く感じるかもしれませんが恐ろしさは今も変わらず。妻子ある主人公が、ほんの出来心で始めた出会い系で知り合った女性・リカ。リカは徐々に主人公をストーキングし始めるのですが、その手段は常軌を逸していて…というストーリー。この本を読むと、少なくとも誰もが出会い系を利用するのはやめようと思いますよ。リカは粘着質な人間なのか、それとももはやモンスターの域なのか、とにかく常識の通じない相手というのはこんなに怖いのかと震え上がりました。ストーカーは、怖い。

この本の特徴をcheck!
  • ある意味主人公も自業自得
  • 読了後は「リカ」という名前に反応してしまう

 3位 闇祓(辻村深月)

闇祓

作者 辻村深月
出版社 KADOKAWA
出版年月 2021年10月
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現代はさまざまなハラスメントが存在します。「セクハラ」「モラハラ」「パワハラ」…などなど。でも今回、辻村さんが他人とのいびつな関係性を圧倒的な筆力で描き出したのは「闇祓(ヤミハラ)」です。普段みなさんは生活していて、あまりにも距離感がおかしい相手と接するときだったり、悪気のない押しつけの善意を不快に感じることはありませんか?それがヤミハラです。一見すると何の繋がりのない短編集に見えるのですが、最後にそれがすべて繋がっているのに気付いたときには、あまりのおぞましさに肌が粟立ちました…!もしかすると、私たちのまわりには思った以上にヤミハラが存在しているのかもしれません。

この本の特徴をcheck!
  • 最後にすべてが繋がる連作短編集
  • 「こういう人いるいる!」と感じるかも

 4位 異端の祝祭(芦花公園)

異端の祝祭

作者 芦花公園
出版社 KADOKAWA
出版年月 2021年5月
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得体の知れない民俗学カルトホラー作品として、発売後またたく間に人気を集めた『異端の祝祭』。何となくsakuraは、アリ・アスター監督のカルト映画『ミッドサマー』を思い出しました(笑)人生なにもかもがうまくいかず、就職面接も失敗ばかりの主人公。その原因は、彼女には生きている人間と死んでいる人間の区別がつかないこと。ある日ダメ元で受けた大手食品会社「モリヤ食品」の青年社長に気に入られ内定を得るのですが、その会社の研修で見たのはおぞましい光景だったのです。カルト教団ものがお好きな人には、ぜひこの気持ち悪さを体感してもらいたい…。

この本の特徴をcheck!
  • 鳥肌ものの気持ち悪さ
  • カルト・宗教・民俗学が気になる人はぜひ

 5位 ぼっけえ、きょうてえ (岩井志麻子)

ぼっけえ、きょうてえ

作者 岩井志麻子
出版社 KADOKAWA
出版年月 2002年7月
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タイトルの『ぼっけえ、きょうてえ』とは、岡山弁で「とても怖い」を意味する言葉だそうです。著者の岩井さんは、メディアではなんとも個性的なキャラクターで注目されていますが、こんなにも陰鬱で恐ろしい物語を書ける作家さんだとは思いませんでした。岡山の遊郭で、自分の身の上を語り始めた醜い女郎。人間が持つ業の深さだとか、腹の底からにじみ出てくるような愛憎だとか、こんなにもドロドロとした世界があるのかと何年経っても忘れられない本です。閉鎖的な村社会と禁忌、女の怨念と貧困。横溝正史さんの作品が好きな方にもおすすめしたい一冊。

この本の特徴をcheck!
  • 著者の強烈なキャラに引っ張られずに!
  • 美しさとおぞましさは紙一重

 6位 よもつひらさか(今邑彩)

よもつひらさか

作者 今邑彩
出版社 集英社
出版年月 2002年9月
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この本は、スタッフsakuraも過去に色々な人に紹介するほど大好きな作品です。"黄泉比良坂"(よもつひらさか)とは、古事記に登場する"この世とあの世の境目にある道"のこと。一人で歩くと死者に出会うことがあるという不気味な言い伝えのある道で、主人公は登山姿の青年から生ぬるい水を差し出されます。本作は、奇妙な表題作『よもつひらさか』の他、狂気に取り付かれた人間を描いた日常ホラー作品を含む短編集で、思わず「人間って怖い」と思ってしまうはず。2013年、著者の今邑さんはまだ若くして亡くなってしまいましたが、著作は傑作揃いなのでぜひ過去作品も読んでみてください!

この本の特徴をcheck!
  • 珠玉のホラー短編集
  • 表題作「よもつひらさか」の完成度の高さ

【心臓に悪い系】挫折覚悟!最後まで読めたらすごい3選

ホラー小説にはとにかく気持ちが悪い、心臓に悪いホラーがあります。このようなジャンルにあまり耐性がない人は要注意!人には安易におすすめできないけれど、想像力を掻き立てられる文章の表現力は見事です。文章だけでもこんなに恐怖を感じてしまうとは…!と脱帽してしまいます。本を媒介に何かがウイルスの様に伝染してきそうで怖いですね。

心臓に悪い系ホラー小説

 1位 天使の囀り(貴志祐介)

天使の囀り

作者 貴志祐介
出版社 角川書店
出版年月 2002年12月
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生理的に受け付けないのに、ページをめくる手が止まらないほど面白いという、何故か相反する2つの要素が同居しているのがこの『天使の囀り』です。アマゾンでウアカリという猿を食べたことで、人々が連鎖のように謎の自殺を遂げていくというホラー。死恐怖症だった人間が、突如として死に魅入られるようになり、徐々に精神を破壊されていく恐ろしさ。グロ描写に耐性のない人、虫が嫌いな人は要注意ですが、その不快感にもかかわらず最後まで読ませてしまう何かがあります。教訓は、アマゾンにはいかない。得体の知れない動物は食べない!

この本の特徴をcheck!
  • セミナーハウスのあのシーンはもう…!
  • 虫嫌いな人は読まないでください

 2位 殺人鬼(綾辻行人)

殺人鬼

作者 綾辻行人
出版社 角川書店
出版年月 1996年2月(改訂決定版:2011年8月)
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皆さん、『13日の金曜日』はお好きですか?まさにあの殺人鬼ジェイソンばりのスプラッタ・ホラーがこの『殺人鬼』です。スタッフsakuraはホラー小説もホラー映画も大好きですが、正直この作品だけは人生で初めて挫折しそうになりました。とにかく生半可な描写ではないのです…!サマーキャンプに来ていた男女が次々と殺されていくという、ホラーの王道といえば王道のストーリーなのですが、容易にそのシーンを想像してしまえるような文章表現。やっぱり綾辻先生、すごいです。トラウマ級のホラー小説なので、勇気のある人は読んでみてください。

この本の特徴をcheck!
  • この本を最後まで読めますか?
  • 人に安易にすすめると嫌がられます

 3位 隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)

隣の家の少女

作者 ジャック・ケッチャム
出版社 扶桑社
出版年月 1998年7月
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「ケッチャム」と聞いただけで、中にはこの本を思い出して戦慄するほどトラウマになった読者もいるかもしれません(汗)それくらいとにかく凄惨でおぞましい悪名高き小説のひとつです。主人公の隣の家に引き取られた身寄りのない女の子が地下室に監禁されるお話なのですが、もう絶え間ない暴力の連鎖に何度本を置こうと思ったことか…!恐ろしいのは、アメリカで起こった実際の事件をもとに書かれたこと。事実は小説より奇なり。人間の内奥に潜む狂気と鬼畜ぶりが一番恐ろしいと感じます。スティーヴン・キング絶賛のベストセラー小説ですが、安易におすすめはしないでおきます。本当に興味のある方だけ、どうぞ…。

この本の特徴をcheck!
  • 読みたくないのに目が離せない衝撃作品
  • この本を読む前と後では確実に何かが変わる

【吸血鬼系】ヴァンパイアものは根強い人気!おすすめ3選

最後に紹介するのは、ちょっと毛色の違うホラー。「吸血鬼」「ヴァンパイア」を題材にした吸血鬼系ホラーです。「吸血鬼」といえば、人間の生き血を吸って生きる怪物で、日の光に弱く、十字架やニンニクが嫌い、黒いマントというイメージを持つ人がほとんどではないでしょうか?しかし、このイメージは実は映画の影響も強く、昔から言い伝えられた伝承にさまざまなエピソードが積み重なって今の吸血鬼像が出来上がりました。ここでご紹介する小説に出てくる吸血鬼とはちょっとイメージが違うかもしれませんが、どれも幻想的でミステリアスな世界観が魅力的です。

吸血鬼系ホラー小説

 1位 屍鬼(小野不由美)

屍鬼

作者 小野不由美
出版社 新潮社
出版年月 2002年1月
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「村は死によって包囲されている。」という書き出しから始まる『屍鬼』。文庫で全5巻という超大作ですが、あっという間に読み終えてしまう面白さです。ある夏、深い山に囲まれた集落で相次ぐ不審死。未だ土葬の風習が残る閉塞的な村、夜に引っ越してきた謎の一家。終始物語に漂う不穏な空気と、物語が進むにつれて区別のつかなくなる善悪…恐ろしくて、それでいて哀しい物語です。登場人物が多いので、人物表を確認しつつ置いていかれないように注意しましょう。吸血鬼モノとして一番おすすめです!

この本の特徴をcheck!
  • 屍鬼か、人間か、怖いのはどっち?
  • 閉鎖的な村社会が好きな人におすすめ

 2位 血の季節(小泉喜美子)

血の季節

作者 小泉喜美子
出版社 宝島社
出版年月 2016年8月
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幻の名作として、2016年に復刊した作品です。幼女惨殺容疑で逮捕された男は、物静かで知的な雰囲気をまといつつ、でもどこか普通ではないように思われるという不思議な人物。落ち着いて刑の執行を待つ彼が語り始めた物語は、あまりにも幻想的で狂気に満ちていて…。中盤までは幻想小説か?ミステリー?と思わせるのですが、ラストのページで一気にそれが覆されます。舞台は戦時中の日本ですが、これが例えばヨーロッパに置き換わったとしても違和感はなかったでしょう。ミステリーとホラーの融合をお楽しみください。

この本の特徴をcheck!
  • ミステリーととるか、ホラーととるか?
  • 復刊希望が多かったのも頷ける名作

 3位 MORSE(ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト)

MORSE

作者 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
出版社 宝島社
出版年月 2016年8月
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これぞ北欧ホラー!!スウェーデン発『ぼくのエリ 200歳の少女』というタイトルで映画化されました。そしてその後ハリウッドで『モールス』としてリメイクされたほど人気のヴァンパイア小説。いじめられっ子の主人公オスカルの家の隣に、エリという美しい少女が引っ越してきます。次第に仲良くなる二人ですが、エリにはある秘密が…。北欧特有の凍てつくような空気感、登場人物たちが抱える心の闇、常に物語の底に澱のようにたまっている湿ったような暗さ。ヴァンパイア好きとしては、なんとも心惹かれる作品です。映画版もぜひあわせてどうぞ!

この本の特徴をcheck!
  • 北欧ホラーの独特な暗さ
  • 哀しいヴァンパイア物が好きな人に

まとめ

キャンドルの明かりで本を読む

色々なタイプのホラー小説をご紹介してきましたが、読んでみたいと興味を持った作品はありましたか?ホラー小説と一言でいっても、恐怖の種類はさまざま。巧妙にちりばめられた伏線、活字なのに映像が鮮明に浮かぶようなリアルな描写は、読み手を一気にその世界へと引き込みます。

やめたいのに、やめられない。怖いのに、"怖いもの見たさ"でついつい、読み進めてしまう。「恐怖」と「快感」は背中合わせと言っても過言ではないような、ホラー小説にはそんな魅力がありますよね。

ホラー初心者の方は残虐なシーンなどが少ない、ファンタジーやミステリーの要素が強い作品から読むことをおすすめします。ホラー小説の中には、幽霊や化け物は一切登場しない作品や、どこか切なく懐かしいノスタルジックな余韻が残る作品もありますので、そういったものから読み始めると意外とはまってしまうかもしれません。

今回は、「ホラー」というジャンルを掘り下げて、おすすめ作品をいくつかご紹介させて頂きましたが、古本店『もったいない本舗』では、この他にもたくさんのホラー小説を取り扱っております。今回ご紹介しきれなかった素晴らしい作品がまだまだありますので、ぜひ自分のお気に入りを探してみて下さいね。

sakura
ライティング担当 : sakura

札幌在住30代。本や少年コミックを読むことが大好きで、家事の合間にハイボールを飲みながら読書をするのが至福のとき。小説はイヤミス、ホラー、児童文学まで好きなジャンルは多岐にわたり、ラストですべてがひっくり返される「大どんでん返し」本を好んで読む。子どもの頃からホラー映画が好きで、最近は『死霊館』や『インシディアス』など心の奥底まで恐怖心をかきたてられるようなジェームズ・ワン監督作品に魅了されている。

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