時には、どんよりと重たいものを、読んでみたくなる
ときもある。
そんな気分のときに読んだのが、坂辺周一著の「ドメスティック」
表紙からして、おどろおどろしい雰囲気の作品だ。
主人公は、幼いころ、義父から性的虐待を受けていた真先と、
その事実を知っていた幼馴染の遥。ひょんなことから、大人になった
2人は知り合い、友人になっていく。
しかし、真先は勘違いから遥を激しく憎んでいる。そのため、遥を
苦しめるために、真先はいろいろと罠を仕掛けていく。
何もそこまで・・・と思うほど執拗に遥を苦しめる、真先。さらに
それを、遥に自分の仕業だとわからせないために、関係のない周囲の
人々まで巻き込んでいく。
じわり、じわりと不幸になる遥を見ていると、なんともいえない
気持ちになってくる。
ラストが正直あっけなく、納得できるんだか、できないんだか・・・
という終わり方になっているのだが、まぁ、これはこれでよしなのだろう、
と読んだ後、ぐったりする作品だった。