おじさん向けだと、どうも敬遠していた作家がいた。国友やすゆきである。
友人に薦められ、「幸せの時間」という作品を読んでみて、やはり読まず嫌いは
してはいけないなぁと思った。
「幸せの時間」は、順風満帆の幸せな家庭が、少しずつ崩壊していく様を
描いた作品。性描写が激しいのは仕方ないとして、ストーリー自体はとても
面白い。読み始めるととまらなくなる。登場人物が全て自分勝手で、どろどろとした
欲望を抱えていて、実は家庭という場所は、安住の地ではないのかもしれないと
さえ思えてくる。でも、最後にはきちんと人と人との絆の美しさが描かれていて、
読後感も悪くない。人間はやはり性善説が成り立つのだと思えてきた。
現在も、続編となる「新・幸せの時間」が連載されている人気作なのだ。
半ばレディースコミック的な印象も受ける作品だが、十分に読み物としても
楽しめるので、ぜひ手にとってもらいたい。何事も、経験せずに敬遠していては
面白いものを見逃してしまうから。
